17 浩二の意外な話
彩葉はビールを飲んでいるせいかほろ酔いかげんになっていて、なるべく関わらないようにしているはずの浩二に調子にのって話しかけた。
「美味しくて野菜たっぷりで体も喜んでる感じがするわ。ところでBBQというとキャンプってイメージがあるじゃない。あなた、BBQ結構好きみたいだけど、キャンプも好きなんじゃないの?」
「いつもつんけんして俺のこと嫌っているくせに今夜は馴れ馴れしいな。それにプライベートな話かよ。
俺は友達とキャンプに2回くらい行ったことがあるけど、それだけさ。誘われてつきあいで行っただけさ。別に好きなわけじゃないよ。ただ、その時に一つ感じたことはあるよ」
「えっ、大自然の中でBBQにビールって最高とか?」
「違うよ。俺たちはキャンプ場で食器とか全てレンタルで借りたから後片付けは楽だったんだけど、他の人たちを見ていたら、皆さん大きな車にキャンプ用のテントや食器、鉄板とかを積んで来ているんだけど、食事が終わった後、それぞれの家族で旦那はたらふく食べてお腹いっぱいになって気持ち良さそうに寝ているのに、ふと炊事場のように目を向けると、奥さんたちが鉄板とか食器類を一生懸命洗ったり拭いたりしてるのさ。
それが、のんびり眠りこけている旦那たちと食器を懸命に洗っている奥さんたちのコントラストを見ていると、これでは家とまったく同じじゃないかという感じがしたのさ。
そりゃあ、奥さんたちは専業主婦の可能性が高いし、旦那たちは会社とかで苦労して働いているんだろうけど、こんなレジャーの時くらい奥さんたちを家事から解放してあげればいいのに、なんて思っちゃったのさ」
彩葉にとっては、自己中心主義で自分が楽して生きていくことしか考えていないように見える浩二がそんなことを考えているなんて意外だった。
口では女性を蔑視しているかのようなことを言いながら、先日はさりげなくカスハラに会っている女子を助けたり、キャンプ場での女性たちに寄り添うような視点をもっていることを意外に感じると共に、案外優しいところがあるんだな、と好ましく思えたりするのだった。
浩二がトイレに行った。するとミナミちゃんが
「浩二君てね、自称シャーロッキアンなんだって」
「シャーロッキアン?」
「小学生の時から熱狂的なシャーロックホームズのフアンなんだって」
「勝手に俺のプライベートなことを話すなよ」
いつのまにかトイレから戻ってきた浩二がすぐ後ろに立っていた。ミナミちゃんは
「まあ、いいじゃない。もっと話してあげたら?」




