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16/20

16 BBQ

浩二はさっきのことを「何となく、美人だと思ったからさ」と言っているが、結果的に浩二がバブルスちゃんをリクエストしたことでさっきの客は帰り、事態は収束していたのだ。


彩葉はそこであることに気づいたような気がした。この浩二という人はちゃらんぽらんで冷たそうに見えるが、実は心の底に温かいものを持っている人なのではないかと。


ふとそんな考えに至った時、彩葉は急に胸がキュンキュンしたような気がした。けれどもそれでは浩二の言う「最初の出会いが最悪の時ってドラマとかだと最後にはラブラブになるパターンが多い」の通りになってしまい、癪なのでこれからも浩二のことは大っ嫌いだし無関心であることを装いながら彼を注意して観察することにした。


 今夜も彩葉はルナに来ている。正面にはミナミちゃんがいる。そしてどういうわけか隣には浩二がいる。彩葉は小声でミナミちゃんに

「ねえ、どうしていつも私の隣はこの憎たらしい人がいるの?」

「マスターがこういう風に座るように指示するからよ」


「どうしていつもいつもこういう配置になるの?」

「多分マスターは面白がってるんだと思う。2人がケンカするのを。ここのマスターってちょっとそんなところがあるのよね」


「ふーん。いい迷惑だわ。あっ、それって私とこの人がケンカすることが期待されてるってこと?」

「いや、そんなことないと思うけど。ところでどう、お腹空いてない?」


「お腹ペッコペコ。だってウチのセクションでシステムトラブルがあっててんやわんやで、お昼は食堂で食べるつもりだったのに時間が無かったのよ。だから何か早く食べたい。何か提案ある?」


「BBQは?」

「えっ、キャンプに行くわけ?


「違うわよ。ここでよ。ほら」

ミナミちゃんが手元の引き出しの取手を手前に引くといつものようにガスコンロと鉄板が現れた。

「えっ、すごーい。BBQやりたい、やりたい!」


彩葉はまるで小学生のようにはしゃいだ。

「BBQ ! BBQ ! BBQ!」


すると隣で女子としゃべっていた浩二にも聞こえたとみえて

「おい、何で子供みたいにはしゃいでるんだよ。しかもBBQなんて。どういうこと?」


「あんたも参加していいわよ。許可するわ。さあ、見てなさい」

浩二は言いたいことはあったがとりあえず状況を正視することにした。


そして3人はガスコンロ上の鉄板にウインナー、もやし、キャベツ、玉ねぎ、椎茸、しめじ、にんじん、茄子、ピーマンをのせて焼きながら食べ始めた。


浩二は

「君、珍しくビール飲んでるね。やっぱりBBQにはビールが合ってるよね。もっとも俺はビールしか飲めないから常にビールなんだけどさ」

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