15 カスタマーハラスメント
美味しいあつあつの餃子を食べていると少し離れた席でいきなり客の怒鳴り声が聞こえた。
「俺はホットのカシスハイを注文したのに、一口飲んでみたら冷たいじゃねえか。これじゃあ体を冷やしちまうじゃないか」
バブルスちゃんは
「ホットとコールドを間違えてしまってごめんなさい」
「ごめんなさいで済むかよ。土下座して謝れ」
「ですから謝ってるじゃないですか。それにもうここにホットのカシスハイを持ってきてありますから」
「何だ、てめえ、開き直りやがって。その態度は何だ。さあ、土下座しろ」
「謝ってるのにどうしてダメなんですか。じゃあ、お客さんはビジネスでもパーソナルでも絶対にミスとかしない人なんですか?」
「何だと、生意気言いやがってこの野郎!」
するとマスターが割って入り、
「お客さま、本当に申し訳ありませんでした。本人もこの通り反省して謝罪しておりますので、どうかお許しください」
「だめだ。さっきの俺に対する言い方も頭にきた。さあ、土下座しろ」
「お客さんの言動は明らかにカスタマーハラスメントです。どうしてもとおっしゃるのなら警察に連絡しますよ」
するとその客は顔を真っ赤にして
「何だと、俺を脅すのか?警察に連絡したら、SNSでこの店のことをめちゃくちゃこきおろすぞ」
「お客さま、それはあんまりです」
ミナミちゃんは
「あのお客さん、どうしようもないわね。困ったわね」
すると浩二が
「大丈夫だよ」
彩葉は彼の無責任な言葉を聞いてカチンときた。
「こんな時にいい加減なこと言わないでよ!」
すると浩二は
「ポプラちゃん、バブルスちゃんを呼んで」
「えっ、それってリクエストってこと?」
「そうだよ」
「私とバブルスちゃんが交代するってこと?」
「そうだよ。早く」
ポプラちゃんはムッとした顔つきをして奥へ行ってしまった。ポプラちゃんからリクエストの件を聞いたマスターはバブルスちゃんにささやいた。するとバブルスちゃんはわめいている客に向かって
「お客さん、私は呼ばれたのでこれで失礼します」
と言って足早にその場を立ち去った。
これには興奮している客も反論できず、呆然としてしまい、急にシュンとしたと思われた瞬間いきなり会計を済ませて帰ってしまった。
浩二の席についたバブルスちゃんは
「あれ、私、お客さんとは初めてですよね。どうして面識も無いのに私をリクエストしたんですか?」
「何となく、美人だと思ったからさ」




