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『フールの大冒険 ~聖なるマップを手に、異世界でまだ見ぬ両親を探します~』  作者: ☆☆アダム☆☆


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13/14

第13話 捕まえたのに


「待て!」


王子様の声が。


夜のアデューに響く。


前。


黒いフード。


速い。


「右だ!」


兵士が叫ぶ。


フードの人物。


細い路地へ。


曲がる。


私たちも。


追う。


【TARGET LOCK】


【距離:31m】


聖なるマップ。


光ってる。


「三十一メートル!」


「縮めろ!」


オラクルが叫ぶ。


「どうやって!?」


「走れ!」


「走ってる!」


【28m】


【25m】


王子様。


速い。


剣を持ってるのに。


どんどん。


距離。


詰める。


「殿下!」


兵士が。


横道。


回り込む。


フード。


前。


兵士。


後ろ。


王子様。


「挟んだ!」


……と思った。


フードの人物。


壁。


蹴る。


「え!?」


窓枠。


看板。


屋根。


一気に。


登る。


「上!」


王子様。


止まる。


「逃がすな!」


オラクル。


にや。


「屋根は俺の領分だ」


「待って!」


もう。


いない。


壁。


駆ける。


窓。


飛ぶ。


「猫すごっ!」


「猫じゃねえ!」


屋根。


オラクル。


フード。


追う。


私は。


下。


走る。


【20m】


【18m】


「こっち!」


地図を見ながら。


路地。


曲がる。


上。


ドン!


音。


「うおっ!」


オラクル。


屋根から。


落ちてくる。


「オラクル!」


地面。


くるっ。


回転。


着地。


「平気!?」


「猫なめんな」


「だから猫じゃないんでしょ!?」


「今それどころか!」


フード。


上から。


何か。


投げた。


「伏せろ!」


王子様。


私を。


引く。


パァン!


地面。


カード。


弾ける。


煙。


白い。


一気に。


広がる。


「煙幕!?」


「視界を奪うカードだ!」


兵士。


咳。


「くっ……!」


見えない。


真っ白。


でも。


地図。


ある。


【TARGET:12m】


「近い!」


私は。


走る。


「フール!」


「地図で見える!」


【9m】


【7m】


煙。


抜ける。


いた!


「いた!」


フード。


扉。


開ける。


古い建物。


入る。


「あそこ!」


王子様。


後ろ。


「包囲しろ!」


兵士。


左右。


回る。


私は。


入口へ。


「待て」


王子様。


腕。


伸ばす。


「私が先に入る」


「でも」


「中に何があるか分からない」


「……」


分からない。


焦らない。


「分かった」


王子様。


剣。


構える。


オラクル。


短剣。


抜く。


「俺は?」


「お前は逃げるな」


「信用ねえな!」


「脱獄しただろう!」


「だから牢が勝手に――」


「今する話か!」


扉。


ゆっくり。


開く。


◇◇◇


中。


古い。


カード工房。


さっきの場所とは。


違う。


でも。


似てる。


壊れた机。


棚。


床。


大量の。


失敗作。


カード。


「誰もいない?」


兵士が。


灯り。


上げる。


「奥を調べろ」


王子様。


静か。


「フール」


「何?」


「地図は?」


私は。


王子様が背を向けた一瞬だけ。


服の中。


確認。


【TARGET:6m】


「いる」


「どこ?」


「奥」


指差す。


王子様。


少し。


疑問の顔。


「なぜ分かる?」


「……勘」


オラクル。


横で。


吹きそうになる。


「何」


「いや」


絶対。


信じてない。


奥。


細い廊下。


扉。


一つ。


【3m】


「ここ」


王子様。


扉の横へ。


兵士。


反対。


「開けるぞ」


頷く。


バン!


扉。


開く。


「動くな!」


そこ。


フードの人物。


いた。


窓。


開けようとしてる。


「終わりだ」


王子様。


剣。


向ける。


フード。


止まる。


「カードを置け」


返事。


ない。


「王宮から盗んだカードだ」


「……」


フードの人物。


ゆっくり。


振り向く。


顔。


まだ。


見えない。


右手。


白いもの。


「それ!」


私。


叫ぶ。


フード。


カード。


掲げる。


「下がれ!」


王子様。


私を。


後ろへ。


カード。


光る。


……と思った。


何も。


起きない。


「……?」


オラクル。


眉。


ひそめる。


「それ、カードか?」


フード。


動く。


窓。


飛ぶ。


「逃がすな!」


王子様。


踏み込む。


剣。


フード。


服。


引っ掛ける。


ビリッ!


布。


裂ける。


顔。


見えた。


若い男。


知らない人。


「くっ!」


男。


着地。


失敗。


兵士。


飛びかかる。


「取り押さえろ!」


「離せ!」


二人。


三人。


押さえる。


「殿下!」


「確保しました!」


「……」


終わった?


私は。


息。


切らしながら。


近づく。


「カードは?」


王子様。


男の手。


見る。


白いもの。


落ちてる。


拾う。


「……紙?」


ただの。


白い紙。


カードですら。


ない。


「何これ」


「囮だな」


オラクル。


舌打ち。


王子様。


男へ。


「盗んだカードはどこだ」


「知らない」


「王宮へ侵入したな?」


「知らない」


「地下牢にも来ただろう」


男。


一瞬。


目。


動く。


オラクル。


見逃さない。


「今反応したぞ」


「知らねえ!」


「顔に出てんぞ」


「黙れ!」


「じゃあ何で俺の牢の前に来た?」


男。


固まる。


「……」


「白いカード持ってたよな?」


「……知らない」


「そればっかだな」


王子様。


しゃがむ。


男。


目線。


合わせる。


「誰に命じられた」


「……」


「目的は何だ」


「……」


「カードはどこだ」


男。


口。


閉じる。


「答えろ」


「知らない」


王子様の顔。


険しくなる。


「連れていけ」


「はっ!」


兵士。


男。


立たせる。


その時。


私は。


聖なるマップ。


見る。


【TARGET】


表示。


残ってる。


「……え?」


【距離:147m】


「待って」


「どうした?」


王子様。


見る。


「違う」


「何が?」


「この人じゃない」


全員。


止まる。


「何?」


「白紙のカード」


地図。


数字。


増えてる。


【距離:152m】


動いてる。


遠ざかってる。


「まだ動いてる」


王子様。


男。


見る。


「どういうことだ」


オラクル。


目。


細める。


「こいつは囮」


「でも地下牢に来た人物と同じじゃ……」


「同じ格好だ」


オラクルが言う。


「同じ人間とは限らねえ」


「……」


そうだ。


黒いフード。


顔。


見えてなかった。


私。


勝手に。


同じ人だと思ってた。


「……まただ」


「何が?」


「分かったつもりになってた」


王子様。


私を見る。


「……」


でも。


今は。


落ち込んでる場合じゃない。


【距離:161m】


「離れてく!」


「方向は?」


私は。


地図。


回す。


光。


町。


西。


さらに。


その向こう。


「西」


「また西か」


オラクル。


王子様。


即座。


兵士へ。


「西門を封鎖!」


「はっ!」


「通行記録を確認しろ! この数分で外へ出た者を全員!」


兵士。


走る。


「馬を!」


王子様。


「追うぞ!」


私は。


頷く。


でも。


その時。


地図。


光。


【QUEST UPDATE】


『盗まれた白紙のカードを取り戻せ』


【手掛かり:4/?】


その下。


新しい表示。


【TARGET STATUS】


『分裂』


「……」


「え?」


「フール?」


文字。


増える。


【TARGET A:西区】


【TARGET B:王宮】


「……二つ?」


「何が二つだ」


オラクル。


覗き込む。


私は。


周囲。


確認してから。


少しだけ。


地図。


見せる。


二つ。


白い点。


一つ。


西。


遠ざかる。


もう一つ。


王宮。


動かない。


「どういうこと?」


「盗まれたカードが二枚ある?」


「でも王子は一枚だって」


「じゃあ」


オラクル。


顎。


触る。


「どっちかが偽物か」


「……」


偽物。


その言葉。


なぜか。


嫌。


地図。


もう一度。


点滅。


【CAUTION】


『対象の識別に失敗しました』


「地図でも分からないの?」


初めて。


聖なるマップが。


迷ってる。


そんな感じ。


「おい」


オラクル。


声。


低い。


「王宮の点」


「うん」


「どこだ」


地図。


拡大。


王宮。


地下。


「……地下?」


「牢か?」


「違う」


もっと。


奥。


王子様。


地図は見えてない。


でも。


私たちの顔。


見る。


「何か分かったのか?」


私は。


迷う。


王子様に。


聖なるマップ。


まだ。


見せたくない。


でも。


王宮。


危ない。


「王子様」


「何だ」


「王宮の地下に」


言葉。


選ぶ。


「何かあるかもしれない」


王子様の目。


変わる。


「なぜそう思う?」


「……」


「フール」


「今は説明できない」


「……」


「でも」


私は。


まっすぐ。


見る。


「お願い。確認して」


長い。


沈黙。


王子様。


私を見る。


「分かった」


「信じるの?」


「信じたわけではない」


「え」


「確認するだけだ」


少し。


笑う。


「分からないものを、分かったつもりにはなれないからな」


「……!」


私。


笑った。


「うん」


「私は王宮へ戻る」


王子様。


兵士へ。


「半数は西門へ!」


「はっ!」


「残りは私と来い」


「殿下!」


「フール」


「はい」


「君たちは?」


私。


地図。


見る。


西。


遠ざかる点。


王宮。


止まる点。


二つ。


どっち。


追う?


オラクル。


隣。


「決めろ」


「え?」


「お前のクエストだろ」


「……」


私。


考える。


焦らない。


王宮は。


王子様。


兵士。


いる。


西。


逃げてる。


今しか。


追えない。


「西へ行く」


「よし」


王子様。


頷く。


「無茶はするな」


「王子様も」


「私は王子だぞ」


「だから?」


「……」


オラクル。


吹き出す。


「気をつけろって意味だよ」


「……そうか」


王子様。


少し。


笑う。


「分かった」


◇◇◇


外。


馬。


用意される。


「乗れるか?」


兵士。


聞く。


「……乗ったことない」


「俺はある」


オラクル。


言う。


「本当?」


「たぶん」


「たぶん!?」


「落ちなきゃ乗れてる判定だ」


「不安!」


兵士。


頭。


抱える。


結局。


私は兵士の後ろ。


オラクル。


別の馬。


「行くぞ!」


西門。


向かう。


風。


強い。


町。


流れる。


聖なるマップ。


手。


握る。


【TARGET A】


【距離:432m】


速い。


相手も。


動いてる。


「もっと速く!」


「これ以上は危険だ!」


「でも逃げる!」


「落ちたら追えないぞ!」


「……!」


その通り。


焦るな。


考える。


私は。


地図を見る。


【TARGET A】


【467m】


【501m】


「……」


遠ざかる。


そして。


突然。


【TARGET A:LOST】


「え?」


白い点。


消える。


「消えた……」


オラクル。


横。


「どうした!」


「西の反応が消えた!」


「見失った?」


「分からない!」


地図。


王宮。


点。


一つ。


残ってる。


【TARGET B】


変わらない。


そして。


新しい文字。


【QUEST UPDATE】


『盗まれた白紙のカードを取り戻せ』


【現在の手掛かりでは追跡不能】


「そんな……」


あと少し。


だったのに。


「フール!」


オラクル。


叫ぶ。


「終わってねえ!」


「え?」


「追えねえなら」


黄色い目。


前。


見る。


「追えるようになるまで調べるだけだ!」


「……」


そうだ。


クエスト。


失敗。


とは。


出てない。


私は。


地図。


見る。


【QUEST ACTIVE】


まだ。


続いてる。


「うん!」


その時。


遠く。


王宮の方角。


鐘。


鳴る。


カン。


カン。


カン。


一回。


二回。


三回。


兵士。


顔色。


変わる。


「これは……」


「何?」


「王宮の緊急警鐘だ」


「……!」


王宮。


地下。


もう一つの。


白い点。


私。


振り返る。


その瞬間。


聖なるマップ。


激しく。


光った。


【EMERGENCY QUEST】


『王宮地下の異変を確認せよ』


【推奨:至急】


「……」


オラクル。


地図。


見る。


「帰るぞ」


「うん」


馬。


向き。


変える。


西へ逃げた何か。


王宮に残った何か。


捕まえた。


黒いフード。


なのに。


何一つ。


終わってない。


むしろ。


増えてる。


私は。


王宮を見た。


「王子様……!」


夜空。


その向こう。


白い王宮の。


地下深く。


誰にも見えない場所で。


一枚のカードが。


静かに。


脈打っていた。


白。


黒。


白。


黒。


まるで。


何かを。


選ぶみたいに。

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