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琴陵姉妹の異世界日記  作者: A愛
第二章【セブール】

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第83話 工房大騒動

 二週間の猶予は、遊びと訓練と実験の坩堝になった。


 


 その中心にいるのは――やはり容子(まさこ)である。


 


 


「はい、全員集合! 携帯とパソコン持ってリビング来る!」


 


 


 パンパンと手を叩き、即席講座が始まった。


 


 カーテンを閉め、プロジェクター代わりに壁へ画面を映す。


 


 


「ええか。まずは携帯からや」


 


 


 電源の入れ方。


 指のスワイプ。


 アプリの開閉。


 


 


 真剣な顔の元奴隷達。


 


 


「不要なソフトを入れたら本体壊れる可能性ある! 怪しい広告は触るな! 分からん物は絶対に押すな!」


 


 


「は、はい!」


 


 


 イスハパンが妙に緊張している。


 


 


「何かあったら初期化する羽目になる。バックアップも覚えとき」


 


 


 午前中は携帯、午後はパソコン。


 


 


 キーボード入力で大混乱。


 


 


「エンターって何?」


 


 


「確定や!」


 


 


 ワウルが必死に補助。


 


 


 どうにか基礎は終了。


 


 


「次。USOユニバーサル・スタジオ・オオサカか枚方パークン、どっち行くか決めるで」


 


 


 多数決。


 


 


 子供達は可愛いグッズ目当て。


 大人はパレード目当て。


 


 


 結果――USO(ユニバーサルスタジ大阪)。


 


 


「団体チケット取る。割引効くからな。物大量購入する時は他に行く予定ある奴に声掛けろ。割引アプリも事前DLや」


 


 


 全員が一斉にダウンロード。


 


 


「財布持っとるか? 名前呼ぶから前来い」


 


 


 一人ずつ三万円からパス代を差し引いた金額を渡す。


 


 さらに交通費入りのITAKAカード。


 


 


「この四角いカードは移動用。無くすな。デコりたいならシール箱使え」


 


 


 宥子(ひろこ)の名とオフィス住所入りデコシール。


 


 


「宣伝かよ」


 


 


 と小声で呟くが無視。


 


 


「最後に金の数え方教えるで」


 


 


 二千円ずつ渡し、コンビニ実習。


 


 


 物価高いと嘆く声はスルー。


 


 


 ◇◇◇


 


 そしてUSO当日。


 


 


 帰宅後。


 


 


 お土産交換会。


 


 


「これ可愛いやろ!」


 


 


「パレード凄かった!」


 


 


 皆の笑顔。


 


 


 容子(まさこ)は少し誇らしい。


 


 


 だが――。


 


 


「イスハパン、明日からボトルノルマ手伝って」


 


 


「おう」


 


 


 楽しい時間は終わり。


 


 


 ◇◇◇


 


 翌日、アトリエ。


 


 


 化粧品ボトル製作をこなしつつ、容子(まさこ)は別の事を考えていた。


 


 


 後衛武器。


 


 


「イスハパン、協力して」


 


 


「飛び道具が妥当だろう」


 


 


「弓、ボーガン、クナイ……超電磁砲とか?」


 


 


「超電磁砲?」


 


 


 説明すると、イスハパンの目が輝く。


 


 


「作り方は分かるのだな?」


 


 


 お前チャレンジャーか。


 


 


「じゃあコイルガンからやるか」


 


 


 二人で机に工具を並べる。


 


 


「ここで電流流れる。スイッチ必須」


 


 


「ふむ」


 


 


 黙々と組み立て。


 


 


 ティムカルテットが材料棚をうろつく。


 


 


「触るな!」


 


 


 手で払いのけつつ作業続行。


 


 


 数時間後、試作コイルガン完成。


 


 


「これの上位が超電磁砲。銅主体で強度ある素材探してな」


 


 


 イスハパン、完全に火が付いた。


 


 


 一方容子(まさこ)はワイヤー操作クナイ製作。


 


 


 ヒュン、と試し投げ。


 


 


「悪くない」


 


 


 夕方、片付けて帰宅。


 


 


 ◇◇◇


 


 玄関開けた瞬間。


 


 


「聞いてや容子(まさこ)!!」


 


 


 宥子(ひろこ)がヒャッハーしていた。


 


 


「ディゼニーから車で三十分の廃病院、格安で買えたで!!」


 


 


「は?」


 


 


「工場にも保養所にもなるお得物件や!」


 


 


 狂喜乱舞。


 


 


「訳ありやろそれ」


 


 


 視線逸らす姉。


 


 


 確信。


 


 


「して欲しい事あるんやろ」


 


 


「ヒールで除霊して」


 


 


「やっぱりか!」


 


 


「アンデッドなら一発昇天やで」


 


 


 蔑みの視線。


 


 


「イーリンとジャック借りる。修行や」


 


 


「除霊なるん?」


 


 


「武器作るから待っとき」


 


 


 ダイニングへ逃亡。


 


 


 ◇◇◇


 


 夜。


 


 


 計画会議。


 


 


 廃病院改め、新拠点候補。


 


 


「除霊終わったら改装やな」


 


 


「まず安全確認」


 


 


 アンナ冷静。


 


 


 イーリンとジャックは震えつつもやる気。


 


 


「修行やからな」


 


 


 容子(まさこ)はニヤリ。


 


 


 二週間。


 


 


 テーマパークで浮かれ。


 


 武器開発で燃え。


 


 廃病院除霊という新ミッション追加。


 


 


 拠点改装が始まる頃には。


 


 


 この集団はもうただの保護者付き元奴隷ではない。


 


 


 技術を持ち、金を扱い、武器を作り、幽霊も祓う。


 


 


 とんでもない集団へと進化していく。


 


 


「忙しすぎやろ……」


 


 


 ぼやく容子(まさこ)の横で。


 


 


「最高やん」


 


 


 と笑う宥子(ひろこ)


 


 


 工房も、廃病院も。


 


 全部まとめて面倒見てやる。


 


 


 二週間はまだ、折り返しですらなかった。

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