表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
琴陵姉妹の異世界日記  作者: A愛
第二章【セブール】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/118

第74話 耳飾大騒動

 新しく仲間になったパンジー。


 元幽霊、現ドモヴォーイ(家の精霊)。


 そして現在――完全実体化済み。


 


 体力∞の体力馬鹿である。


 


「顔は綺麗なんやけど、死んでたさかいなぁ」


 


 思わず昔の名残でそう言ってしまうが、今はちゃんと生身や。触れるし、飯も食うし、風呂にも入れる。便利やな精霊。


 


 顔立ちは完全に私の好みだ。


 白磁みたいな肌に整った目鼻立ち。儚げなのに、どこか芯が強い。着せ替えマネキンにするなら最適解。


 


 アンナさんもイザベラも美人やから着飾らせるのは楽しい。


 ただしイザベラ、お前の色彩感覚はどうにかせぇ。


 


 


 朝。


 キッチンでオムライスを量産しながら、私は思案する。


 


 パンジーは実体化してから食欲旺盛だ。


 精霊なのに、やたら腹が減るらしい。


 


「精霊もカロリー必要なん?」


 


「動くとお腹が空きます!」


 


 元気よく答える。


 体力∞やのに燃費どうなっとんねん。


 


 売り子をぶっ通しでやらせても倒れへんやろうし、掃除も完璧。実体化させたのは大正解やった。


 


「飯出来たでー!!」


 


 リビングに声を掛けると、ワラワラ集合。


 


 各自トレイを持って席へ。


 


「合掌、頂きます」


 


 宥子(ひろこ)が手を合わせる。


 


「「「「頂きます」」」」


 


 パンジーもちゃんと両手を合わせる。


 


「いただきます!」


 


 そして一口。


 


「……美味しいです!!」


 


 目を輝かせる。


 前は幽霊で味覚も曖昧やったらしいが、実体化してからは味がはっきり分かるらしい。


 


「こんなに美味しい料理、毎日食べていいんですか!?」


 


「働いたらな」


 


「はい! 一生働きます!」


 


 ブラック企業の洗脳みたいな流れやめぇ。


 


 パンジーはもりもり食べ、お代わりまで要求した。


 


 体力∞+大食い。


 食費が微妙に怖い。


 


 


 食事が終わった頃、宥子(ひろこ)が唐突に言う。


 


「イザベラな、不幸666やねん」


 


「朝から不穏な数字出すな」


 


「バッドステータスえげつない。何とかするアイテム作って」


 


 さらっと無茶ぶり。


 


「無理やろ!!」


 


「好きな素材使ってええから」


 


 素材を餌にされると弱い。


 


「……へいへい」


 


 


 洗い物はパンジーが担当。


 


「任せてください!」


 


 超高速で片付けていく。


 皿割らないのが偉い。


 


 私はティムカルテットを連れてアトリエへ。


 


 現在幸運値トップは紅白(こうはく)


 平均化出来ればイザベラの不幸も相殺できるかもしれん。


 


〈運を分けるアイテム作りたい〉


 


〈概念が無理ゲーやな〉と赤白(せきはく)


 


〈そもそも運って削れるん?〉


 


 分かってる。無謀や。


 だが不幸666は放置できん。


 


「巫女の耳飾りでいくか」


 


 私は阿迦留姫命(あかるひめのみこと)の加護持ちや。


 神系装備ならワンチャンある。


 


 


 素材展開。


 黄金の羽根。


 魂の護符。


 慰霊の願糸。


 ピンクの魔石。


 楽白ちゃんの糸。


 


 研磨、溶解、塗布、編み込み。


 ワウルだけ鈴仕様。


 


 完成。


 


 ステータス確認。


 


 物防25700

 魔防31000

 スキル:豪運+1000


 


「違う、そうじゃない」


 


〈十分やろ〉


 


「共有が欲しいんや!」


 


 


 第二段階。


 


〈わし等の素材混ぜたら?〉と紅白(こうはく)


 


〈身体の一部融合や〉


 


 やってみる。


 


 再錬成。


 革、羽根、魔石、願糸、精霊糸を融合。


 


 完成。


 


 ステータス表示。


 


 会心+60%

 運共有化

 バッドステータス無効化

 回避+50%

 電光石火

 バーストストリーム(20連撃)

 冥府の癒し手(HPMP全回復/永続)


 


「……は?」


 


 運共有は成功。


 だが副産物が戦争。


 


「怒られるやつや」


 


 


 全員分を持ってリビングへ。


 


 パンジーは既に掃除を終えていた。


 


「お帰りなさいませ!」


 


 精霊万能すぎる。


 


「出来たで」


 


 宥子(ひろこ)に渡す。


 


 数秒沈黙。


 


「何これ」


 


「耳飾り」


 


「兵器やん」


 


 発狂。


 


 アンナは即計算。


 


「市場価格、白金貨三百枚超」


 


 イザベラは可愛いしか見てない。


 


 パンジーは


 


「皆様とお揃いですか!? 嬉しいです!」


 


 純粋。


 


 


 装着。


 


 空気が変わる。


 


 イザベラの不幸666消失。


 


 全員の幸運値が均される。


 


 パンジーの運200も共有対象。


 


「体力∞+運共有……最強メイドやん」


 


「売り子無双出来ますね!」


 


 キラキラしている。


 


 


「……成功やな」


 


「成功やけど過剰火力」


 


 


 こうして。


 


 パンジーは実体化して飯を食い、


 家事をこなし、


 戦闘も可能なチート精霊となり、


 イザベラの呪いも消え、


 


 私たちはまた一段階おかしくなった。


 


 翌朝。


 


「この耳飾り、商品化出来る?」


 


 宥子(ひろこ)が真顔で言う。


 


「出来るかボケ」


 


 食費と素材費を計算しながら、私は天井を仰いだ。


 


 平穏な日常は、今日も来ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ