第61話 公開昇格戦
翌朝――
王都アルディア郊外大演習場は熱狂に包まれていた。
完全公開のSランク昇格試験。
三重結界、王都騎士団待機、満席の観覧席。
中央にはギルドマスター、ジョン。
「これよりSランク昇格公開試験を開始する!」
歓声が天を揺らす。
⸻
一番手 アンナ
静かに前へ出るアンナ。
対戦相手はAランク上位三名。
「開始!」
「多重雷槍。」
瞬時詠唱。
空を埋め尽くす雷槍が軌道を自在に変え、結界の隙間を縫って撃ち抜く。
氷結拘束。
爆裂火球。
三十秒制圧。
「……合格。」
場内が震えた。
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二番手
紅白・赤白・楽白・サクラ
――契約チーム
四人が前へ出る。
相手は重装戦士部隊十名。
「開始!」
〈真正面、割るぞ〉
紅白が盾ごと押し潰す。
〈右、三枚〉
赤白が側面へ。
楽白は上空から強襲。
だが敵も精鋭。
魔法斬撃が飛ぶ。
赤白の肩が裂ける。
〈すぐ治しますのぉ〉
サクラが両手を掲げる。
〈ハイヒールですのぉ!〉
柔らかな光が裂傷を塞ぐ。
〈攻撃強化をかけますのぉ〉
〈防御も上げますのぉ〉
淡い光が三人を包む。
〈押し切るぞ〉
〈了解〉
速度が一段階上昇。
突破、分断、撃破。
数分で全滅。
「合格。」
歓声が弾ける。
⸻
三番手 容子
肉球斧を担ぎ前へ。
「ほんまにやるん?」
「私が確認する。」
ジョンが構える。
「開始!」
瞬間移動級の踏み込み。
肉球斧が振り下ろされる。
轟音。
結界に亀裂。
「まだや!」
二撃、三撃。
ひび割れ拡大。
「終わりやぁ!」
全力の一振り。
結界粉砕。
直撃。
ジョンが吹き飛び地に叩きつけられる。
動かない。
「……心拍低下!」
場内凍結。
「やば……やりすぎた?」
容子が青ざめる。
その瞬間。
〈下がってくださいですのぉ!〉
サクラが駆け込む。
両手を掲げ、魔力を解放。
「エクストラヒールですのぉ!」
眩い白光がジョンを包む。
裂けた皮膚が塞がり、折れた骨が再生。
沈黙。
やがてジョンの胸が上下する。
咳き込む。
目が開く。
「……生きているか。」
場内に安堵の波。
〈本気を出しすぎですのぉ……〉
サクラが肩で息をする。
容子が苦笑。
「手加減したんやけどなぁ。」
ジョンが立ち上がる。
「……合格だ。」
歓声爆発。
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最終 宥子
静寂。
宥子が前へ出る。
「やめとき。」
淡々と。
「うち、手加減でけへん。」
空気が張り詰める。
「本気出したら、今度はサクラでも間に合わんで。」
サクラが小さく頷く。
〈……正直、その通りですのぉ〉
ジョンは沈黙の末、剣を下ろす。
「……戦闘確認は不要と判断する。」
「宥子、合格。」
割れんばかりの歓声。
⸻
ジョンが中央へ。
「アンナ、容子、宥子――」
一拍。
「以上全員をSランクと認定する!」
演習場が揺れた。
容子が笑う。
「ほんまにSやて。」
アンナが静かに。
「当然の結果です。」
宥子が空を見上げる。
「これで堂々と最強パーティやな。」
そして誰もが理解した。
今日、王都アルディアの歴史は塗り替えられたのだと。




