鬼を討ち滅ぼした英雄パーティ
五稜郭内の治安維持を担う衛門府は、かつてないほどの騒然とした空気に包まれていた。
開拓奉行・キリヤ左衛門尉様がお亡くなりになったのだ。
しかも、それは単なる死ではなかった。
衛門府内を駆け巡る知らせに、役人や武士たちは色めき立つ。
やがて十数人の家臣たちによって運び込まれた遺体を目にした瞬間、その場を包んでいたざわめきが凍り付いた。
「・・・これは、本当に左衛門尉様なのか?」
震える声が、こだまする。無惨すぎるのだ。
遺体は原形すら留めておらず、見る者すべてに強烈な戦慄を与えたのだ。
「なんということ・・!」
「馬鹿な・・人間がここまで!」
思わず顔を背ける者。
青ざめた表情で立ち尽くす者。
誰もが目の前の現実を受け入れられずにいた。
異様な骸・・常軌を逸した損傷。
そして、なお漂う不気味な気配。
不安と恐怖の声が広がる中、衛門府の空気はますます重く沈んでいった。
開拓奉行キリヤ左衛門尉の死。
それは単なる一人の武人の最期ではない。
五稜郭そのものを揺るがす、大事件なのだ。
事件の報を受け、エノモト総裁はただちに駆けつけてくる。
集められた証言。 残された痕跡。 そして犯行の動機。
それらを総合すれば、導き出される答えは一つだった。
犯人は間違いなく・・シズク侍従。
エノモトは険しい表情のまま、低く呟く。
「・・父、マキビ参議の無念を晴らすための復讐か!」
だが、事態はそれだけでは終わらない。
報告によれば、大江山の英雄として名を馳せた剣士・・"オキタ・ソウジロウ"までもが、シノブ侍従の側についたという・・!
さらに、目撃者の証言によれば、侍従の姉・シズク姫も侮れない能力を秘めていたという。
強烈な念動力で、多数の者を同時に足止めしたというのだ。
そこでエノモトの脳裏に、ある記憶がよみがえった。
「待て・・そういえば」
彼の目が鋭く細められる。
「シズク姫もまた、大江山鬼討伐に名を連ねていたはずだ」
その言葉を口にした瞬間、背筋に冷たいものが走った。
もし記憶が正しければ・・・
今、自分たちが相手にしようとしているのは、
鬼を討ち滅ぼした英雄たち一行・・そのもの。
「まさか・・・」
エノモトは息を呑む。
大江山の英雄たち全員を、敵に回したというのか!
これは厄介なことに・・
「こんなことになるなら・・マキビ参議をもっと擁護しておくべきであったか・・!
いや、それとも・・キリヤ左衛門尉とマツウラ外記。
あの二人を、この五稜郭へ招き入れるべきではなかったのだ。
獅子身中の虫!
幕府再興よりも、自己の権力に執着する奴らめ・・」
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そんな英雄たちは・・白いホールを後にし、静寂に包まれた"秘密の通路"へと歩みを進める。
幅は広く、天井も高い。
まるで地下ではなく、巨大施設の内部を歩いているかのような開放感があった。
壁にはところどころ、案内板らしきプレートが貼られているが・・暗くてよく見えない。
そんな広い通路の先頭を歩くのは、異星人の記憶を受け継いだシズク。
この通路は、かつて異星人によって築かれたものであり、人類の知るところではない。
ゆえに追手が迫る心配は、当面はないはずである。
「・・・おっと。体が、軽い」
弟シノブはふと足取りの異変に気付いた。
そして・・姉のシズク、ジロウ君、そして"ゆきたん"へと視線を向ける。
「おっ、軽いね」「不思議な気分だ」「ちょっと歩きにくい・・」
三人とも・・・地面に引き留める"重さ"が、抜け落ちてしまっているようだ。
歩くたびに身体がわずかに浮き上がってしまう。
五稜郭を支える重力制御装置・・・
重力子(graviton)の影響範囲外に、踏み出してしまったということ。
つまり、ここは・・要塞の外なのだ。
幸い、この地下通路には最低限の空気が満ちているらしく、呼吸に支障はない。
「ここから先は、もう五稜郭の"内側"じゃないのよね」
その言葉と同時に、シズクの身体から淡い仙術波動が広がり、月面地下の闇を探るように空気を震わせた。
これは・・一種の索敵の術。付近の様子を探ってみたのだ。
たぶん、危険はないはずだが、一応・・念のため。
彼女は警戒を怠らない。
シズクは、この先に待ち受けるものの正体をすでに知ってはいる。
異星人の記憶が示すその場所には、密かに隠された古代の航宙艦が静かに眠っているはず。
通路は徐々に下り坂となり、一行は地下の深淵へと誘いこまれる。
そして、その先に広がっていたのは、まばゆい光に満ちた巨大なホールに、その中央に鎮座する、圧倒的な黒き影・・
それは幕府の航宙艦すら足元にも及ばない、常識を遥かに超越した巨体であった。
「ほぉぉ これは!」「異星人の・・・船ですか!」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




