無理です・・・w
封印された扉がゆっくりと開き、その奥へと進んでいく一団。
その様子を、白狸"ゆきたん"は遠く離れた影から、ひそかに監視していた。
本来なら、もっと近くで様子を探りたいところだが、あの一団の中の最強陰陽師に感知されてしまうために、あまり接近できないのだ。
だが、その陰陽師たる"ウズマサ君"は、なにやら揉めている様子を確認! 口論となっている模様。
あげくのはてにキリヤ左衛門尉の一団から離脱したようだった。
「・・ほおぉぉぉ いいね〜、都合の良いことだ」
シズクの口元がゆっくりと吊り上がる。
あの一団で最も手強い陰陽師がどこかに行ってしまったのだ!
はっきり言うと・・あのウズマサ君は危険だ。
かつて大江山の剣鬼と呼ばれた"オキタ・ソウジロウ"よりも、ある種の脅威なのである。
ウズマサ君は仙術による乱れ撃ちが得意なのだ。
遠距離から術を連射し、一人だけで・・"長篠の戦い"を再現してしまう恐ろしさ!
接近戦を許さない。剣撃など成立させない。
一方的な攻撃をしかけてくるのだ。
ゆえに、ウズマサ君と真正面から対決できるのは、同じく仙術を扱うシズクだけ。
もし両者が術をぶつけ合えば、仙術弾が雨のように降り注ぎ、互いに身動きが取れなくなる。
そんな最悪の事態を、回避できた。
「ウズマサ君・・やっぱり彼は友達だった。私との戦いを避けてくれたんだね♡」
そう呟いたシズクの声には、安堵と少しの温かさが混じっていた。
こうなると残る障害は、剣鬼と呼ばれた"オキタ・ソウジロウ"のみなのだが、彼もまた油断ならぬ強敵だ。
正面から斬り結ぶのは避けたい。
シズクは静かに息を吐き、次の一手を考え始めたところ、弟シノブが声をかけてきた。
「僕に考えがある。ジロウ君の動きを止めてみせるよ」
自信に満ちたその言葉に、シズクは目を細めた。
「出来るの!?」
「もちろん!」
弟シノブの自信満々な発言をきっかけに、シズクたちは・・例の白く輝く巨大ホールへと移動した。
中央には、呪われし異星人が"ぷかりぷかり"と浮かぶ巨大水槽・・・
その禍々しい光景(呪い)を背に、シズクたちは静かに陣を敷く。
狙うはキリヤ左衛門尉の一団。今か今かとその到来を待つ。
すると、不意にシズクが小さく笑った。
「ふっふふ、このドキドキ感・・ワクワク感がたまらないのよね」
その独り言は静寂に包まれたホールへ響き、やがて消えていく。
そして、その時は訪れた。
通路の先に現れたのは、キリヤ左衛門尉の一団。
シズクたちもまた、その姿を捉える。
互いの視線が交差した瞬間、場の空気は一変した。
ついに両者は、相まみえたのである。
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白く輝く巨大ホール。
宙には不可思議な立方体が浮かび、その傍らには異星人を封じた巨大水槽が鎮座している。
常人であれば思わず足を止め、目を奪われるであろう異様な光景。
だが、キリヤ左衛門尉にとっては些細なこと。
彼にとって優先すべきは、目の前の戦い・・・ただそれだけだった。
シズクと、シノブ・・そしてキリヤ左衛門尉。
互いに向ける視線は、もはや隠しようのない殺意がこもっていた。
父親の仇に・・息子の仇!
もはや後には引けない。
最後まで殺し合うことは決定事項、避けられない運命だった。
だが・・
この時点でキリヤ左衛門尉は戸惑っていた。何かがおかしい。
事前に得ていた情報と、目の前の光景が食い違っていたからだ。
左衛門尉の前に立っていたのは、巫女姿の二人の姫!
装束も顔立ちもよく似ている。
まるで双子の姉妹が並んでいるかのようだった。
ただ一つ違いがあるとすれば、右側の巫女である。
どうやら慌てて身支度を整えたらしく、長い髪は少し乱れ、衣装にもわずかな着崩れが見て取れる。
しかし、それを除けば驚くほど瓜二つだった。
シズク姫が二人いる!? なぜだ!?
狐に化かされた!? そんな感じの異様な光景を前に、キリヤ左衛門尉は思わず目を見開いた。
「馬鹿な・・シズク姫が双子など聞いておらん。それに、大江山の化け物"シノブ侍従"はどこにいる!? どこにかくれた!?」
鋭い視線で周囲を探る左衛門尉。
しかし、それらしい人物の姿は見当たらない。
そんな中・・
目前に並ぶ二人の巫女姫が、まるで悪戯を仕掛けた子供のように、同時に口元を吊り上げた。
不敵な笑みが、白いホールにじわりと広がる。
その瞬間、左衛門尉の傍らに立つ"オキタ・ソウジロウ"は、何かに気付いたように目を細め・・
そして呆れ混じりに肩をすくめた。
「・・お前か。また女装しているのか。まったく、昔から変わらん奴だな」
その一言で、シズクの唇が少し歪み・・隣に立つ自分そっくりの巫女姫を見た。
「また、なの!? たまたまじゃなく・・趣味!?」
呆れ半分、感心半分。
いや! うすうすと感じていたが・・人から言われると、来るものがある。
こんなとこで巫女服に着替えて、敵の度肝を抜くとか言ってたので・・
"そうなんだ"と思っていたが・・やっぱし趣味か!
「まあ・・似合っているから良いのだけど」
そして・・その言われた本人、弟シノブは視線をそらし苦笑いした。
「可愛い自分が好きなんだよ。似合っているからやめられない」
正真正銘のナルシストであるw
シズクも我が弟ながら・・絶句した。
だが、そんな事情など知ったことではない人物がいる。
キリヤ左衛門尉である。
その額には青筋が浮かび、怒りはすでに限界へ達していた。
「ふざけるな・・・・!」
押し殺した怒りではない。
空気を震わせるような怒声がホールに響き渡った。
「男の姫君だと!?
もうそんなことはどうでも良い。死体に男も女もないのだからな! 斬ってしまえ・・」
キリヤ左衛門尉は傍に立つ"オキタ・ソウジロウ"に目線を向けると・・彼は静かに首を振った。
「・・・無理です。斬れません」
「なに!? どういうことだ」
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




