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異星人の古代遺跡


シズクの仙術が発動すると、

見えなかったはずの扉が、闇からそっと浮かび上がるように姿を現した。

それは未知なる扉・・未知なる世界!


扉の向こうには・・おそらく異星人によって築かれた遺跡が広がっているのだろう。

何が待ち受けているのか分からない。ある種の危険地帯なのだ。


だからこそ、最初に踏み込むのは白狸"ゆきたん"。

それは・・式神としての役割ゆえなのだ。

もちろん、これは肉壁やら、生贄などではない。

むしろ・・・


「うちは式神っすからね! 何があっても絶対に死なないっすよ・・・!」


胸を張って進む"ゆきたん"に、シズクが軽く手を振る。


「頼んだよ、がんばってね〜、ゆきたん」


少し薄情に聞こえるが、式神は不滅!

白狸のゆきたんは聖獣なのだ。

神にも等しい力を宿す"無敵の存在"ともいえる。



・・・・こうして、ゆきたんが先頭に立ち、その後ろをシズクと弟シノブが静かに歩む。

三つの影が、謎めいた扉を、そっとくぐり抜けたその瞬間・・!


「あっ!」


姉弟は同時に声を漏らした。

背後の扉が、まるで霧に溶けるように・・すっと消えたのだ。

思わず振り返る二人。


だが、シズクは小さく笑みを浮かべ、弟をなだめるように言った。


「心配いらないよ。ただ・・見えなくなっただけ。仙術を使えば、また"見える"ようになる。

閉じ込められたわけじゃない・・というより身を隠す隠れ家ともいえるわね。これは都合がよい」

 

そんな姉の言葉に・・弟シノブは目を丸くし、そして愉快そうに口角を上げた。


「ほぉ・・なるほど、それならいい。

あれだけ暴れまわり・・死傷者を出したのに僕たちは、扉の中で悠々と身を隠す。

奴らは・・僕たちの行方をまったく掴めない。

これは、かなり笑える展開になりそうね」


シズクは肩をすくめ、静かに微笑む。


「そうね。私が牢屋から突然いなくなって、行方も分からない・・

きっと向こうは、大混乱でしょうね」


実際、外では怒号が飛び交い、牢衛たちは負傷者の救出と襲撃者への対応に追われ、

さらにシズク姫の行方不明が重なって、地下牢獄はまさに蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていたが・・・

しかし、この領域だけは、嘘のように静かだった。


ゆきたん、シズク、シノブ・・・・

三つの影は、消えた扉の奥へと、音もなく歩みを進めていく。




-*- - - - - - *-


そして、その頃・・・

五稜郭の治安維持局、すなわち"衛門府"は混乱の渦に飲み込まれていた。


キリヤ左衛門尉のご子息、そして関係者を二人も殺害され・・

牢衛も多数の死傷者を出した。


しかも、その一連の犯行を成したのは、おそらく・・

マキビ参議の御子息・・シノブ侍従!

姉のシズク姫を救うため、単身で切り込んできた可能性が高い。


特に・・その"シノブ侍従"の剣術はかなりの達人・・仙術も扱えるという。

大江山の鬼退治の際、"オキタ・ソウジロウ"とともに活躍した人物なのだ。

まさに一騎当千の怪物!



この時、衛門府に急ぎ姿を見せたのは五稜郭の実質的最高責任者・エノモト総裁。

彼は持てる戦力を全て投入し、なんとしても事態の解決を図らなければならない。


「マキビ参議の御子息・・侍従殿(シノブ)!

将軍家の血筋ゆえに捜索をためらっていたが・・・もはや猶予はない。

これだけ派手なことをしてくれたのだ! もはやテロリスト!

必ず仕留め、処刑せよ。姉のシズク姫も同様だ」


「はっ!」


総裁の命令書が、衛門府全体を駆け巡る。


このまま放置すれば禍根を残す。

いや、この五稜郭体制そのものが瓦解しかねない。


かつてマキビ参議に属していた者たちが、今も多くいるのだ。

"シノブ侍従"を担ぎ出し・・事を起こす可能性が十分にある。

この危機を前に、エノモトは静かに決意を込めた。


「シノブ侍従にシズク姫・・将軍家の血筋だろうと関係ない! この両名の首をここに持ってこい」


総裁の激が飛んだ。

・・・と同時にその頃、地下深くを進むシズクとシノブもまた、静かに腹を括っていた。




地上ではかなりの騒ぎとなっているだろう。

憎きマツウラ外記やキリヤ左衛門尉だけではなく、エノモト総裁の首も取る!

エノモトは・・父の処刑に見て見ぬふりをした。同罪だ。


シズクは歩みを止めず、しかし揺るぎない声で言い放った。


「もはや後には引けない。これは天下取りだ! 天下布武よ

次期将軍を私・・いや! シノブにすり替える。この五稜郭を、私たちで乗っ取るの」


「えっ・・ ねーちゃん!」


「仕方ないのよ。ここから逃げる道はない。

航宙艦はすべてエノモト総裁の管轄下・・・ならば、戦うしかないのだ。

しかも幸いな事に、まだ父の名声は健在なのよ。味方する者も少なくはないはず」


弟シノブは一拍置き、口元をゆるめた。


「ふっふふ。いいね! おもしろい!

暴れて戦果を上げれば、僕たちに期待する者も出てくるのか!」


「そう、面白いでしょ! 私たちが・・初代イエヤス公になるのよ」


「そりゃ・・最高だな!」


そんな姉弟の楽し気な天下取り密談・・・

物騒すぎる話に、白狸の"ゆきたん"は、思わず尻尾をしゅんと下げた。

「本気!? 本気っすよね!?」


-- -- -- -- -- -- -- -- --


エノモト総裁がシノブの抹殺命令を発していた・・まさにその同じころ。


総裁の思惑とは別に、ひときわ激しい憎悪を燃やしている者がいた。

それはほかでもない、キリヤ左衛門尉である。


次男の"シュウジ"は、仙火に焼かれ、さらに首まで跳ね飛ばされたのだ。

その惨状を目にした瞬間、左衛門尉の胸に渦巻いたのは・・怒り、復讐、そして深い恨み。

目には目を・・だ!


「シ・・・シュンジ! なんて姿に・・・ゆ、許さん。マキビの子せがれ・・必ず殺してやる!」


顔を真っ青にしながら吠え、

目前の柱へ太刀を何度も叩きつける左衛門尉。

刃が柱に食い込み、木片が飛び散る。

その荒れ狂う姿に、長男"シュウイチ"ですら近寄れなかった。




一方その頃・・・。

左衛門尉の次男"シュウジ"の死を聞いたマツウラ外記も、

ただちに家族の安全、防備を固めるよう命じていた。


シノブ侍従の本当の仇はキリヤ左衛門尉ではない。

本当に狙われている"本命"は、間違いなく自分なのだ!

その事実を理解しているからこそ、胸の奥にじわりと広がる恐怖は、尋常ではない。



そう・・あの時の光景が脳裏に蘇る。


マキビ参議を捕らえようと兵を差し向けた際、

それを阻止するために現れた"シノブ侍従"の暴れぶりは、まさに常軌を逸していた。


兵士十数名を斬り捨て、

数十名を負傷させ、

さらに仙術の炎で付近一帯を包み込み、

町の一角を丸ごと焼失させたのだ。


・・・たった一人で。


中隊規模の兵力と互角に戦える、

いや、それ以上の戦果を挙げる化け物。


その事実を知っているからこそ、

マツウラ外記の背筋に走る恐怖は、

時間が経つほど濃く、重く、深く沈んでいった。


-*- - - - - - *-



シズク、シノブ、そして白狸の"ゆきたん"。

その三つの影は、仙術技によって封印されていた扉の向こう・・地下に向かう階段を下りていっているのだ。

先ほどまで地上へ向けて駆け上がっていたというのに、今度は反転し・・地下へと降りるという予想外の展開w



シズクは感じていた。階段の下から、かすかに響く仙術波動!

それは、古代遺跡・・いや、異星文明が残した痕跡そのものなのだろうか!?


鎌倉の世を襲った異星人来襲・・"外宙寇"。

その来訪者たちが残した遺構が、この地下に眠っているのだと予想されているのだ。


静寂の中、二人と一匹は、かつて日本を脅かした異星人文明へと続く階段を、期待を膨らませながら下りて行っていた。





--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




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