16.鉄嶺堡《てつれいほ》の戦い_ 上
体調が悪くても!妄想は止まらない!投稿します。
これで昨日の分は帳消しに……なればいいな。ストックなんて無いです。
要塞のAIイメージもURL張っておきますね。このイメージで小説を書いております。
https://mitemin.net/imagemanage/top/icode/1254118/
文章がおかしい、誤字脱字等ありましたら申し訳ございません。
その知らせが来たのは皆が寝静まった頃だった。急に鐘を鳴らす音が砦の中に響き渡った。
「っ! なんだ! メル!」
「うん!」
僕とメルは同じ部屋で寝ていて、そばには魔族の子もぼー、とした表情で起きているのが見えた。
ともかく状況を整理しないと、たぶん襲撃が来たな。いったん部屋に来るだろう伝令を待った方がいいかな。
これは傭兵団のルールだ。奇襲が来た時、各戸撃破を防ぐために斥候隊が連絡に来るまではその場を動かないようにしているのだ。
その時扉の外が騒がしくなるのが聞こえた。伝令が来たようだ。
「アルス様! メル! 魔物の奇襲です! レオの代わりに連絡に参りました!」
「その声はリュシアか! わかった! カイからはなんて!?」
「地図の部屋に集合にて! 現在ドワーフたちがガンテ指揮のもと城壁上で交戦を開始! 数は不明!」
「わかった! すぐに僕たちも向かう!」
メルと僕はお互いに顔を見合わせて一度うなずく、この場合はメルは救護班としてアリアと合流して負傷者の治療を優先する。
「えと、マコもメルと一緒に行ってくれるかな?」
魔人の子――名前がないと不便なので僕が愛称として呼び始めたが、皆マコと呼んでいるし本人もそ満更でもなさそうなので定着した。
「わかった……」
マコがメルと支度をしているのが見えたので、僕は後ろを向いて着替え始めた。といっても、上を着ておしまいなので、僕は先に部屋を出て地図部屋の方へ向かう。
近くにあった松明を外し、渡り廊下のようになっている通路を少し小走りで進む。
途中、前を歩くカイとガストと合流した。
「カイ! 状況はまずそうなの?」
「アルスか。今上から見てきたが、下にたいまつを投げたら凄まじい数がいたぞ」
うわ……まじか。しかし、このタイミングでここを攻めてくるなんて、まるで、僕がやったことの裏返し、あっちも優秀な指揮官がいるみたいだ。
僕は頭に魔力を流し始め、砦の配置を思い出しながら防衛策を考え始める。今攻められているのは魔族領と面している南門だ。東と西は攻められてはいない。
構造として砦は出城みたいになっているからその内攻められるだろう。
「とりあえず、南門は一番守らないとまずい場所だ。主力はほとんど砦の奪還で出払っている。カイが残りの傭兵たちを率いて守ってほしい」
「分かった」
「僕は西門に行くよ。父さん! 東門を頼めるかな?」
「おうよ! 任せろ!」
この配置が一番いいだろう。ゲインやルビーは遊撃に回した方がいい。少数精鋭で戦場のやばそうな所を補填してもらう。
「わしらはアルス坊についていくのじゃ! アルス坊。わしらを使ってくれや!」
「うん! 頼むよ!」
ガンテたちはこの要塞に来てから、自分たちで武器や防具を製作した。黒い鈍く光る鎧。自分たちよりも大きな大楯。そして左手には鉄の槌を持っている。
10人の部隊だけど並ぶと迫力がある。皆目がぎらついていてやる気もすごいし安心感がある。
「よし! 皆アルスのいうとおりに配置を頼むぞ! やばくなったらすぐに伝令を飛ばせ!」
カイが最後に言葉をつなぐ。経験があるから怖気づいてしまう者は皆無だ。フィンやノエルは救護班と一緒だが、武器の補充等も大事な仕事だ。
怖い。
けど、僕が指示を出さないと皆が動けない。慣れないな……。戦場独特のこの雰囲気は。
だけど、やるしかない。やるしかないんだ。
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――西門に走っていた。かがり火が多すぎて、夜なのに昼のように明るい。
南門を通過したときにちらっと外の様子を見たが凄まじい数の魔物だ。魔物側も火を使っているのか、南門に広がる森全体が明るい。
「……すごい数だね」
「そうですな。私の推測ですがこれだけの数……手前に見える数だけでも数千近くはいますな。森にいるのも合わせると、万を超えるやもしれません」
「そっか。結構絶望的だね」
僕は苦笑いを返した。笑うしかないほど絶望的だ。前世の記憶が当てはまるかわからないが、籠城戦は3倍の法則だ。
こっちは非戦闘員を合わせても千人くらいだし、魔物は体内に魔力を持つものが多い。
魔物は強い。人間なら数人がかりでようやく倒せるやつもいる。
「基本的にはゴブリンが主体でしょうな。それくらいであれば子供でも倒せますが……如何せん数が多いですからな」
「そうだね……とりあえず西門と南門は距離が近いから連携を強化しようか。東門は狼煙で連携するしかないかな」
その会話をしているときに、早速東門の方からのろしが上がった。東門側にも魔物が押し寄せたみたいだ。
早いな……侯爵の援軍が来るのは早くて三日だ。それまでは頑張って持たせるしかない。
「父さんがいるなら大丈夫だとは思うけど、一応ゲインは南門で待機してもらってもいいかな?」
「わかりました。リュシアをつけますので何かあれば駆けつけますぞ」
そう言ってゲインは南門へ向かっていった。
「よし、僕たちも気合を入れないとまずいね。今のうちに……〈リミテッドブレイク〉」
僕は周りにいる100名ばかりに魔法をかけておく。うちの傭兵隊のほとんどはカイが率いているから、ほとんど砦のドワーフだ。
ガンテたちの驚きようはすごい。他は少し体が軽くなった程度だろう。
「さて、こちらも始めようか……」
目の前で南門からあふれた魔物たちが詰め寄せてくるのが見える。
魔物のくせに梯子なんて……と、場違いなことを考えてしまった。
「アルス様。来ます」
リュシアが耳元でささやく。ちょっとくすぐったい。
「うん――総員! 戦闘準備! まずは弓矢で敵を近づけるな!」
「「「応!」」」
「気張れや! 気張れや! アルス坊に恩を返すは今じゃぞ! 敵は一体も坊のところに近づけるんじゃないぞい!」
ドワーフたち――特にガンテは槌を肩に担ぎ、ゴンズは盾を叩きながら仲間たちを鼓舞している。大楯隊のほかのドワーフたちも武器を鳴らし、足を鳴らし、自分たちの気合を入れていた。
そして、体の周りが青く発光し包まれている。青い光は僕の魔法が体表に漏れ出ているのだろう。
すごいな。カイたちよりも効きがいいかもしれないな。
そこまで信頼を寄せてくれることに、僕は嬉しくなった。だが、すぐにリュシアの凛とした声が響き渡る。
「来ます!」
敵が眼下でひしめいている。よく見ると大きな二足歩行の豚――オークが巨大な長い梯子を持っている。そして、勢いのまま梯子を次々とかけ始める。
「弓矢隊! 最初に梯子を抑えているオークを狙って! 登ってくる奴は、そのままはしごごと地面に叩き落せ!」
「落とせ! 落とせ!」
「ぎゃぎゃっぎゃ! ぎぃ……」
ついに一体のゴブリンが上り詰めてきたが、すぐにドワーフたちに串刺しにされて、城壁の下へ落されていった。
だが、その後も次々の上り詰めてくる。落としていくが、次の梯子がすぐにかかる。終わりが見えない。
……このままじゃ押し切られる。どこかで流れを変えないと。
僕自身もケトルハットを被り、梯子を押し返していた。だけれども、腕がすぐに悲鳴を上げた。指揮に回るしかない。
8歳で身体強化もほとんど使えないんじゃ、ほぼ役立たずだな……。だけれど!皆を導かないと!
「リュシア! 南門側の下に〈エアブレイク〉を! 梯子をまとめて吹き飛ばす! ガンテたちはリュシアと僕を守ってほしい!」
「応! 任されたのじゃ!」
こっちもだいぶ苦しいが南門が破られるのはまずい。あそこは地下通路の出入り口もある。つまり、破られるとほかの要塞もまずいのだ。
次々とくる敵を何とか撃退しながら――
朝日が差し込んできた。
僕たちの体力は限界を迎えていた。見渡すと皆疲れ果てていて、僕の魔法の効力もほとんど消えかけている。
敵はゴブリンが多く、たまにオークが登ってくるくらいでこちらは重傷者はいたが死者は0だ。敵から遠吠えのような声が、あちこちで鳴り響き始めた。
「撤退……していくのか……」
僕はずれたケトルハットを被り直しその場で座り込んだ。
「アルス様! 大丈夫ですか!」
リュシアが駆け寄ってきて僕の顔を心配そうにのぞき込んでくる。
「ああ、大丈夫だよ。疲れただけ……足がじんじんしてる」
こうして初日を何とか乗り切った僕らは、作戦部屋へ集まっていた。
どうやら東門は、相当な被害を受けたらしい。中位級のゴブリンメイジが出現し、魔法を城壁付近で放ったらしい。
マルクが交戦し何とか倒したが、30人近くが死んだらしい。カイのところも中位級が現れたらしいが、ゲインが瞬殺。
そのため被害は大きくないが、それでも10人は亡くなった。
「初日だけで数十人が倒れた。重傷者を含めれば百人規模だ」
カイが苦々しくつぶやいた。この世界は回復魔法があるおかげでよほどの重傷者じゃない限りはすぐに戦線に戻れる。
だが、その分回復魔法でも治らない者は相当な重症だ。つまり相当数がやられていることになる。
「そうだね……それも半日も経っていないから、明日はそれ以上だ。つまり侯爵が来るまでに――
半数は命を落とすことになる」
僕のその言葉は部屋の中で静かに、そして重く響き渡った。
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