13.これからのこと
文章がおかしい、誤字脱字等ありましたら申し訳ございません。
これからのこと。そう、僕らが今後どうしていきたいか。
皆の視線が、僕に集まるのを感じる。カイも僕をじっと見ているのが分かる。
「まず、僕たちはマルクとアリアの所に行ったほうがいいよね。」
「そうですな。一旦は合流したほうがいいかと思います。無論わたしもついて行きますぞ!」
ゲインがその大きな胸を、ドンッと音がするくらい強く叩いた。
まあ、それはそうだろうね。僕のために来てくれてるわけだから、護衛として付いて来てくれるんだろう。
そして僕は、カイに前から考えていた事を伝える。
「カイ。」
「……なんだ。アルス様って呼べってか?」
カイが半笑いのような顔で僕に言う。カイは、僕たちを自分の仲間だと思って、今まで接して来てくれた。
実はその仲間が貴族、しかも皇族だと分かった。別れるしか無いと考えているだろう。
――だが、僕は用意していた策があるんだ。それをカイが受け入れてくれるか分からないけど。納得はしてくれるはずだ。
「カイ。僕たちは君たちに助けられた。それに、カイにもらった役職だって、まだちゃんと果たせてないよ。」
「何言ってんだ。アルス……お前とメルは住む世界がやっぱり違う。これからママとパパと幸せに暮らせよ。」
カイ少し意地悪な言い方しているのが分かる。僕はカイの言葉を無視して続ける。
「カイ、僕たちと一緒に来ないか?」
一瞬カイが驚愕して目を見開いた。他の皆も一緒だ。マーガレットだけは、パイプをふかしてニヤニヤ笑ってる。
「な、何言ってんだ。俺たちは孤児だぜ。スラムでやっていくって決めたんだ。
アルスーーお前俺たちに同情してんのか。」
カイが、少しだけ怒りながらこっちに来た。そして、最後の言葉は、俺にだけ聞こえるように小さく言った。
「違うよカイ。傭兵団を作るんだよね?それなら、必要なものが沢山ある。何よりも必要なものがあるでしょう?」
「なんだ。金か?それならある程度はあるぞ。」
僕は首をゆっくりと振る。
「違うよ。まず人だよ。それも信頼できる大人が必要だ。」
「……それがお前たちの両親だって言うのか?言ったはずだ。俺はスラムの、俺たちみたいな奴らを救ってやりてえんだ。」
分かってるよカイ。だからこそだ。
この世界で子供だけで何かするのは難しい。
傭兵団を作ると言って誰が子供の傭兵団に入るだろうか。しかも、ある程度武器を揃えたって、金があったって、信用がなければ仕事も来ない。
僕はその事をカイにちゃんと話した。
「それは!分かってる……。」
カイもそれは薄々気付いていたんだろう。だから、その方法を僕みたいな子供にでも聞いたんだ。
「カイ。マルクとアリアはある程度魔法が使えるんだ。それに、マルクは警備隊の人だし、アリアは教会の神官だったんだ。」
「大人に頼りたくねえんだ。自分たちでどうにかしたいんだ。」
すると、話を聞いていたマーガレットが吹き出した。
「ブッ…ハハハハハ!馬鹿だなお前は。てめえらが、傭兵団を作れるわけねえだろ。」
その言葉にエルナが反応する。普段は見た目の割に静かだが、カイがバカにされたのが許せなかったらしい。
「なんでよ!カイができるって言ったんだ。絶対にできる!」
「だから、そのカイが馬鹿だって言ってんだよ、赤毛のお嬢ちゃん。
お前らだけで傭兵団を作る?アルスって小僧の方が余程世の中を知ってるな。」
マーガレット……完全に悪役みたいだよ。パイプの煙を吐きながら話す感じは、まさに魔女だ。
「いいか?お前らみたいな小僧が、傭兵団だぞ!って言って誰が来てくれるんだ?
お前らが言ってるのは、赤ちゃんたちが剣のおもちゃで傭兵団だ!って言ってるようなもんだぞ?」
……そこまで言わなくてもいいような気がするけど。
でも、マーガレットが言ってることはその通りだ。
「お嬢も昔、ボスになるって言って剣持っていた気がしましたが……」
「メイズ、てめえ!ふざけんなよ!ぶっ殺すぞ!」
マーガレットが顔を真っ赤にして、パイプをメイズさんに投げた。メイズさん……普通にキャッチしてるし。
「と、ともかくカイ。大人に頼りたくないってのは分かるよ。けど、僕たちだっていつかは大人になるんだ。
誰でも頼れって訳じゃない。信頼できる大人を頼るんだ。」
「信頼できる大人……。」
カイは凄いと思う。普通その歳であれだけ言われたら、逆に意固地になる。
けれど、カイは人の話を聞くことができるやつだ。それは、今後多くを率いていくなら必要なスキルだ。
「マルクとアリアはとてもいい人たちなんだ。僕のことも真実を知っていたと思うけど、子供だと思って育ててくれたんだ。」
「アルスはお父さんとお母さんの子供だよ?」
メルはよく分かってなさそうだけど、本当にそう思って接してくれていた。それはサリエラだって同じだった。
「そうですな。サリエラ殿たちは良き御仁。信頼できる方々なのは間違いありませぬ。それにカイとやら、今後鍛えるのであれば、わたしが指導してやっても良いぞ!」
「え?ゲインが?」
「は!わたしは騎士団を辞した身。残りの命は、全てアルス様と共におる所存!」
ゲインが畏まって答えているが、それ決定事項ぽいね。皇族ってだけで仕えるなら、ちゃんとした皇族の人の方が良くないかな。
「ゲインはそれでいいの?皇族に仕えるなら皇帝陛下の所に戻らなくていいの?」
その言葉を聞いたゲインは、眉をギュッと寄せた。
「そもそも、我ら……元ではありますが、月影騎士団は皇帝直属というわけではないのです。ですので、問題はありません!」
そうなんだ。でも、絶対次の騎士団長さんは怒ってると思うよ……。
というか、帝国の諜報部隊的な存在じゃないの?皇帝直属じゃないとまずくないかな。指揮系統どうなってんのさ、それ。
そんなことを思っていたら、カイが僕に声をかけてくる。
「アルス……さま?俺たちも連れて行ってくれ!」
急にどうしたの、カイ。そんな畏まって言わなくても。そもそも僕自身ゲインをそのまま呼んでるのおかしいから。
僕も身元不詳なのには変わらないからね。
「やめてよカイ!さまは要らないよ。もちろん、僕は、命を救ってくれた仲間たちを見捨てないさ。」
カイの仲間たちも、僕が言うと口々に声をかけてくれる。
「ありがとうな!お前最高だぜ!」
「アルスー。いいやつだなー」
「アルス…ありがとう…。」
「アルス……ありがと!」
「「アルスー!ありがとー」」
皆喜んでくれているみたいだ。
「い、いいんだよ!それよりこの後のことを話そう。マーガレットはどうするの?僕たちは決まったけど、マーガレットはそれで問題ないの?」
マーガレットはメイズさんからまたパイプをもらったようだ。火をつけている所だ。
「ああん?小僧がそんなこと気にしてんじゃねえよ。おいメイズ。黒蛇の帳はまだ屑鉄市場にいるのか?」
「さあ、どうなのでしょうか。もしかしたらアジトに着いてるかもしれませんね。そういえば、先ほどルビーが起きまして、倒しに向かいましたよ。」
え、ルビーさん行ったの?あの人も結構重症じゃなかった?
ゲインが思い出したかのように言う。
「ああ。あの元気な娘ですな。私は少し回復魔法を使えますのでな。応急処置を軽く施しましたな。」
「ちっ、勝手なことしやがって。まあ、バン?って言ったか?あいつくらいなら余裕だろ。」
マーガレットは、灰月のアジトの方をパイプで差しながらそう言った。
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帝都アルベリア スラム街 灰月の手アジト バン
ーー同時刻。灰月の手アジトでは。
「なに!なんで誰もいやがらねえ!どこに行きやがった!くまなく探せ!」
「で、ですがバンさん。本当に人っ子ひとりいねえですぜ。」
「そんなわけあるか!せめて子供くらいは居るだろうがよ!」
バンは焦りを感じていた。マーガレットを殺し、金髪の子供たちも殺せば大金が手に入る。
名実と共にスラムの王となれるチャンス。それを流すわけにはいかなかった。
「ちっ、なぜいやがらねえ……なんだ?表が騒がしいな?」
その時、灰月の手のアジトの入り口が凄まじい音共に吹っ飛んだ。
「な、なんだ!」
ピンクの髪の女……。ま、待て!コイツまさか!
「はあーい。バン?久しぶりだねー。じゃあー死ねよ!」
「ち!ルビー!野郎ども!殺せ!」
手下たちが剣を抜いてルビーに向かっていく。
「さっきよおー。暴れ足りなかったからよー。〈身体強化〉!死ねよーあははは!」
ち!まずいぜ!だがルビー1人くらいなら余裕だ!
「やれ!てめえら!〈身体強化〉!」
バンも身体強化を発動させ、ルビーとの戦闘に加わる。
「あはは!弱いなあ!ほらほら!」
ザシュ!バキンッ!
ハハハハッ!
「つ、強すぎる!」
「ひいいぃ」
笑いながら手下たちは次々と斬られていく。バンも戦闘に加わっているが、バンが攻撃をしている間に、ルビーは手下たちをついでとばかりに倒していく。
「こ、こいつ!こんなに強かったか!?」
バン自身、ルビーとは何回も戦っていた。しかし、そこまで圧倒するような戦いではなかった。互角、もしくは格下だと思っていたのだ。
ザシュ……。
アハハハハハッ!
笑い声が聞こえる。見渡せば30人近く居た手下たちは全て倒されていて、自分だけになっていた。
そんな!ありえない!今までこんな……こんなに強いやつじゃなかった!なんで急に!
バンは目に見えて焦っていた。気づけば自分の魔力もほとんど尽き掛け、身体中傷だらけになっていた。
キンッ!
目の前の女が、石突きで床を叩く音がした。
「あーはははっ!いやー、久しぶりに本気出せたなー。きもちー。」
「あ、ありえない!ルビー!お前、今までそんなに強くなかったはずだ!俺はお前と何度も戦ってきた!お前何をした!」
「あー?何言ってんだお前ー?」
ルビーは血に濡れた髪を掻き上げ、笑いながらハルバードをクルクル回して言った。
「今まではー、マーガレットさんから、殺すなって言われてたんだよー。やっさしー私。手加減上手だったでしょ?
それにー。周りに仲間いると一緒に切っちゃってー。あねきにめっちゃ怒られちゃうからさー。」
「な!なんだと!」
い、今までが手加減……だと?この俺が?遊ばれてた?
「く、くそが!俺は弱くねえ!弱くねえ!俺は王になる男だああああ!」
俺はこんなところでやられるような奴じゃねぇ!
「あっそ。ばいばーい。」
あ?
なんで、お前逆さに……な……い……。
「あはははは…あは…は…」
真っ暗になる視界の中、ルビーの笑い声だけが最後に聞こえた。
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改稿すみません。もう少し手直ししたいかも…けどとりあえずは!ルビー強い!




