海の世界
真っ白・・・とても白く白く染まるまるでこの世の
異物を全て取り除いたかのような白意外なにもない
場所、そんな所にテーブルを挟んで座り優雅に紅茶を嗜んでいる二人の人影の姿があるのでした。
「はぁ、クラーケンってあの伝説の怪物ですよね?
なんで私が討伐しないといけないのですか?」
そう言ったのは全身が黒の衣服で包まれ頭でさえ黒い帽子を被り、少年は優雅に紅茶を嗜んでいた。
「そうなんじゃよ、最近あ奴が私の世界で暴れまくっていての・・・これ以上は見過ごせない事態まできたんじゃが儂ではどうにもできん、そこでお主の出番という訳じゃ」
黒い少年と話しているのは見た目は何処にでもいそうな優しそうな老人である。だがしかし、実際は違う。
「しかし海神様、貴方は今回初めて俺に依頼しますなんで俺なんかに依頼したんですかご自分では何とか出来ないのですか?」
そうなにを隠そうこの老人は数多ある世界で海の世界を管理する中位神である。
「さっきも言ったじゃろう・・・儂ではどうにもできのじゃ、だからこそお主にわざわざ出向いてきてもらったんじゃろうて」
「まあ、事情はわかりました。今回はクラーケンの
討伐という事で間違いありませんね。」
「ああ、頼むぞい。間違えてイカを狩ってこんようにな」
ふぉふぉふぉ、と笑う海神・・・なにを考えてんのかさっぱりわからん・・・と思う黒い少年。
「では、いってこい」
と海神が言った瞬間目の前で紅茶を嗜んでいた
黒い少年の姿が消えた。
○○○
「ふひー、今日は魚が取れねえなー」
ここは海の世界、この世界では陸と呼べる場所は島ぐらいしかなく、ほぼ全てが海で構成された世界である
そんな南の方にある島の近くの沖合で小さな船に乗った一人の少年がいた。
「ありーおかしいなー、いつもなら沢山獲れる筈なのになー、こんな事は初めてだ?」
彼の名はルー、16歳にしてすでに一端の漁師である彼は日課である漁を行っていた。
「噂で聞くあれに似てるけど・・・ま、まさかな?」
だんだんと小麦色で日焼けした肌が青白くなっていくルー。
噂とは此処より遥か北のほうにある島から流れてきた噂である。
曰く魚が獲れなくなったらそこにいる。曰く巨大な影が海中に見えたらそばにいる。曰く目の前に現れたらその怪物に喰われるだろうと。
「ま、此処とは全然違う場所の話だしそりゃないか」
とケロッと表情が元に戻りまた漁に戻ろうとすると。
「・・・・〜〜うわーーーー!!!!」
ドボーーーーン!!!
「ん!?何だ?」
何かが空から降ってきた、此処で鉱山で働く少年がいたら、親方!!空から○○!!がと叫ぶところであろうが残念ながら此処は海であり山はない・・・
「プハァーー!!あのクソ神!!!今度会ったら覚えとけよぉ!!転移させるならさせるっていええ!!」
「な、何だありゃ・・・人か?人が空から降ってきたのか?と、とりあえず助けるか・・・おーいそこの人〜大丈夫か〜」
5分後・・・
「た、助かったー、ありがとうな、えーとルーだっけ?」
「おう、それで何でお前は空から降ってきたんだ?」
とルーが言うと気まずそうな顔をする黒い少年。
「言えないなら別にいいんだけど・・・」
「そ、そうか助かる・・・あ、あのさ俺がなにも答えれなくて聞くのは悪いんだけどさ。この辺でクラーケンていうの知らないか?」
「はぁ!?クラーケン!!あんたあの怪物を探してんのか!?やめとけやめとけ、クラーケンはな勇者様でさえ返り討ちにしてしまったんだぞ。そんな怪物と会った日には命がいくつあっても全部喰いつくされちまうぞ・・・それにクラーケンはなこの辺にはいないだよ、もっと此処からずーっと北のほうにいるんだよ」
と長々と説明してくれるルー、だが黒い少年ははて?と首を傾げながらルーの後ろを指差す。
「なら、あれは一体なんていうんだ?」
「へ?何だよ、あれって・・・」
と言いながら振り向くルー・・・だがこの時ルーは後悔した振り向かなければ良かったと、振り向かなければこの先自分に起こる悲劇をもしかしたら気付かずに済んだかもしれなかったかもと・・・
「グキャャャャャャーーー!!!!」
一鳴きで大気が震える・・・まるでドラゴンの咆哮を凌駕するかの様な鳴き声でルーは体が軋み動かなくなる。
ああ・・・死んだ。
そう思いそっと瞼を閉じる、せめてこれから起こる惨劇を目の当たりにしない様にと・・・だが、惨劇は起きなかった・・・何故なら。
「・・・セット2加速」
ドコォン!!!
「ふへ!?な、何が・・・」
ルーは閉じた目をそっと開ける、そこには信じられない光景が広がっていた・・・
「く、くそぅ。ぬ、抜けん・・・抜けんぞう!!」
ルーが見たのは全身が真っ黒な鎧に包まれ背中には大太刀を背よっている人間?らしき物がクラーケンの額に片足をめり込ませて足掻いている風景だった・・・はっきり言ってシュールである・・・
「・・・・」
余りの光景に顎が外れそうになるのを必死に堪える。
「こうなったら、こいつで・・・」
そう言うと黒い鎧は太刀を抜き放ちすぐさまクラーケンの額を切り裂いた。
「ギョェェェェェ!!!」
額が切り裂かれた事で叫ぶクラーケン・・・この痛みの元凶に向かって自らの触手を畳み掛ける。
「あらよっと」
黒い鎧は額を切り裂いた瞬間すぐにその場から離脱し
ルーの船へと飛び降りる、そして当然ながら・・・
バシシシシン!!!
「ビョブェェェェェ!!!」
ああ、哀れなり自分の放った触手で自ら食らうクラーケンその叫びはなんか悲しい事になっている(笑)
「あいつ・・・怪物じゃなくてお笑い芸人目指した方がいいんじゃないか・・・」
そう言いながら黒い鎧はルーのいる船に着地する。
「おーいルー大丈夫かぁー?」
黒い鎧は半ば気絶状態のルーに声をかける。
「はっ!!此処は!?」
「よし、大丈夫そうだな・・・ッと、斬り裂け!!
【一閃】!!」
安心したのも束の間、突然ルーの船目掛けてクラーケンの触手が振り下ろされる・・・それを黒い鎧が
太刀から発生した斬撃で辛うじて吹き飛ばす。
「あーあ、あちらさん完全に切れてやがる・・・
どーしたもんかな?」
どうやらクラーケンは完全にキレてしまった様だ今度は自らの触手を使える限り使いルーの船へと振り下ろす。
「セット58不可視の盾・・・」
そう、黒い鎧が言うと全ての触手が止まった・・・否
何か見えない物にぶつかり触手が止まったのだ。
「さて・・・このままだと、捲き込んじまうしなー
うーんと・・・お、島発見!!」
黒い鎧が見つけた島はルーの故郷の島である。
だがクラーケンも馬鹿ではない。上がダメなら下だとばかりに海中から触手を船の真下へと移動させそのまま船ごと突き上げるがのごとく攻撃をするが・・・
「・・・狙いはいいが遅い、セット50転移」
するとその場から船は消え去った、触手はただ空しく空をきり、突然出来事に怪物であるクラーケンも動揺隠せないでいるのか、必死に船を探している・・・
○○○
「おーい、起きろ〜起きろって〜」
「・・・・はっ!!!ここは!?」
「安心しろ、多分お前の地元だろ?」
「へ?あ、本当だ、ここは俺の島・・・て、え?さっきまで沖にいたはず!?そ、それにクラーケンに・・・」
ルーが動揺隠しきれないのも無理はない、この島からさっきの場所までは軽く10キロ以上は離れていた筈
なのにほんの数分でここまで移動するなんてありえない・・・だったのだが。
「よし、起きたのなら安心だ、じゃ短い間だったけど助かったよ、この借りはいつか返すわ」
じゃーねーと言いながらルーの目の前から姿を消す黒い鎧、そしてルーは思った。
「もう意味わからん・・・」と。
○○○
「さーて、タコさんそろそろ蹴りをつけようか?」
黒い鎧は再びクラーケンの前にいた・・・正確には
クラーケンより少し離れた真正面で浮いていた。
クラーケンは既に臨戦態勢だ、どの様な攻撃が来ようとも対応するかの様な姿勢で黒い鎧の動き見ている。
「あーあのさ〜いいよ〜そんな構えなくて、だってもう終わってるんだから・・・セット60重力管理・・・」
そう言うとクラーケンの体が浮き出した。文字通りの意味でクラーケンは海中から引きずり出され空中で浮いている状態である。
「ギャャャャャャャ!!!!」
必死に暴れるクラーケン・・・だが悲しいかなどんなに抵抗しようともクラーケンは浮き続ける。
「・・・俺のセット60はな、一度でも触れた相手の重力を俺自身の管理下に置くことができるんだわ、それで今お前を浮かせているんだよなぁ〜っていてもわかんないんか・・・あり?」
クラーケンは浮き続けるかと思ったが途中で止まった
丁度黒い鎧の位置から太陽を覆い隠すぐらいの位置で
(さすがに容量がデカすぎでこれ以上はムリか・・・
なら・・・)
黒い鎧はふと目を閉じる。
「セット9天使の騎士・・・」
そう言うと黒い鎧の姿が突如光に包まれる。
光が消えるとそこには純白の鎧を包み背中から翼を生やした一人の天使がいた・・・
「そーれ仕上げだ、セット80穿つ槍」
今度は天使の片手に禍々しい一本の槍が出現した。
クラーケンにはそこまで高い知能はないが、だがわかる本能が・・・わかる、あれからは逃れられないと。
「さぁ、その巨体でお天道様が見えないからね・・・
全てを穿て!!!穿つ槍!!!!」
刹那・・・その一瞬に置いてクラーケンは貫かれ否、
余りの熱量を前に突き刺さるクラーケンの体を消失してしまった・・・
「よーし!!依頼終了!!!帰るかー・・・あれ?」
天使は何に疑問思ったのか?それは槍が帰ってこないことであった。穿つ槍には自動回収機能がある。それにより対象を穿てば使用者の手元に戻る仕組みなのだが今回は対象を穿つ前に消失してしまった・・・ここまで言えばわかるだろう槍は今何処にあるかを・・・
「ま、まさか・・・」
そのまさかであった・・・天使が見上げた時には
お天道様が真っ二つになっていた・・・
「やっちまったーー!!!!!!」
○○○
「バカモンが!!!」
ゴン!!!
白い世界に鈍い音が響き渡る。
「儂が頼んだのはクラーケンの討伐じゃ!!誰が太陽を討伐せいと言った!!!!」
「いや〜もうそれは本当すいませんでした、って何回も言ってるじゃないですか〜それにちゃんと俺の能力で太陽も戻しましたし〜」
「それとこれとは別じゃ!!!あの世界の住人たちは慌てふためいておるのじゃぞ!!やれ世界の終わりだ!!やれ神の怒りだー!!とかのう!!記憶操作する、儂の身になってみろ、儂を過労死させる気か!!」
神様って過労死すんのかなぁ?と黒い少年が考えていると。
「するわボケェ!!」
と心を読まれる始末である。
「しかし、儂は今回初めてお主に会い依頼したが、なんじゃあの力は・・・太陽を穿つなど例え神といえど簡単なことではないぞ・・・」
そうこの世界の神は万能ではない、確かに神たちはそれぞれの世界を管理している存在だが力を無限というわけではない限界はあるだからこそあんな簡単に太陽壊せる力を秘めている神はほんの少数しか居ないのだが・・・
「お主は一体何者なんじゃ・・・」
目の前にいるのは神ではない上位神の使徒であるつまり普通では神たちの様な力でさえ届かない存在の筈
なのだが・・・
「知りたいですか?俺の力の秘密?」
「まあ、多少はのう・・・」
「なら今回のお詫びとして余り話したことはない事なので何処から話せばいいのやら〜・・・ならまず、最初の話をしましょう、私が生まれた話を・・・」




