24話 アスタロトとのデート?
連続投稿します
前日は、美穂とデートをした。
あまり気が進んでなかったが、美穂と話ができたのは良かったと思う。
なかなか中身のある話ができたと思える。
今日はアスタロトとデートをすることになった。
デートすると聞いてすまし顔だったので何か考えがあるのだろう。
デートにもいろいろあるからな。
その点カレンが美穂の時と違い、今回はおしゃれをせずに身軽な冒険者の格好をしていけというのだから驚いた。
デートをこんな格好でするのか?
と思っていたがどうやら本当にそうらしい。
格好はさておき、待ち合わせは闘技場の近くであった。
なにやら大きなイベントが闘技場であるようで大変賑わっている。
てか、いつまで待たせるんだ?
待ち合わせ時間から一時間は経っていた。
心なしか周りにいるのが二人連れの男女ばかりで、1人寂しく待つ俺を笑っているように見える。
なんでこんなことをしてるんだ?
そう疑問に思っていると、なにやら赤いドレスを着たアスタロトが来た。
やたら目立って仕方ない。その証拠に周りの人々がアスタロトを見ている。
「またせたな、すまない。」
ここは、デートをしているのでテンプレを口ずさむ。
「いや、今来たばかりだから全然大丈夫だよ。」
「そ、そうか、ならいいんだ。」
アスタロトはホッとしたように息をした。
「それはそうと待ち合わせがなんでここなんだ?
闘技場のイベントでも見ていくのか?」
「いや、今回は見ていくのではなく参加する。」
ん?
今、なんて言ったんだ?
「あ、あの、アスタロトさん?
今、参加するとか聞こえたんですけど聞き間違いですよね?」
「あぁ、もちろん聞き間違いなどではなく参加するけど。」
「やっぱり参加しないですよね。
デートなのに参加なんて……、なんで参加すんの?」
「その、賞品の中に欲しいものがあってな。
ランキングごとに賞品が決まっていて私が欲しいのは2位のなんだ。」
「2位なんだろ?
でもなんでそれに俺が出れば手に入るんだ?」
「1位になるやつを用意すれば手に入ると思って。
さすがにわざと負けるとかだと相手に失礼だから。でも悟とかなら全然失礼じゃないでしょ。」
「なるほど。でもこういうのって事前に登録しとかないとだめなんじゃないのか。」
「もちろん事前に登録は必要だった。
すでに登録ができる日は過ぎていたけどね。
でもカレンにお願いしたら「別にいいよ。任せといて」って言われたから大丈夫だと思う。」
「そこまでしてなにが欲しいんだ?」
王女の力まで使って欲しがるものが気になる悟だった。
「内緒」
このままじっとしていても目立つだけなので闘技場の中の控え室へと向かった。
控え室へと向かうためには受付を済ませなければならなかったが、アスタロトが受付の女性と話をすると通してもらえた。
どうやら本当にカレンが根回しをしたらしい。
控え室は個人個人でわかれており、アスタロトと別の部屋だった。
室内は綺麗で、外の闘技場の外観からは思わせないほどのものだった。
そして悟はイスの上に座ってあることを考えていた。
どうしてこうなった?と。
俺はデートをしに来たはずなのに今の現状……。
そして、しばらくして放送で闘技場の中央に集まるように指示が出された。
それに従うように悟はイス片付け、足早に闘技場の中央へ向かった。
中央は真ん中に戦うためのリングがあった。
大きさは縦横ともに100メートル程だろうか。
人数はかなり多い。200人ぐらいいる。
その中にアスタロトがいた。
よく見たらシューラまで、参加しているようだ。
なにしてんのこんなところでと言いたくなったが少し抑えて目の前の話を聞くことにしよう。
最初、カレンから挨拶があったあとすぐにルール説明へと移った。
ルールは簡単だ。
このメンバーで、一斉に戦って最後まで立っていた人物が優勝ということらしい。
もちろんリングの外に落ちれば失格となる。
トーナメント戦と違い日数をかけずに行われ、一気に決まるので楽だ。
そしてルール説明が終わりそれぞれの参加者が立ち位置に立った。
いよいよ、王女カレンから試合開始の合図が伝わる。
「それではこれより、第20回アルテマバトルロワイヤル王者決定戦を始める。
それでは各自構え。
それでは、試合開始!」
最初に動いたのはアスタロトだった。
デートに着てきたドレス姿で参戦するようだ。
魔法を使い敵を翻弄していく。どうやら幻惑魔法で、敵に幻を見せてリングの外へ落とすつもりのようだ。
中には聞いていないやつも何人かいるがだいぶ減っていった。
しばらくして、現在リングの上に立っているのが5人となった。
ほとんどの参加者がアスタロトの幻惑魔法でリングの外へ落とされている
賞品をもらえるのが5位までなのでこの時点で賞品は獲得したも同然だ。
だが、今回の目的はアスタロトを2位にすることなので他の人たちには倒れてもらおう。
どうやらシューラは傍観に徹するようで攻撃してこないようだ。
あとの2人は黒ずくめの男と、立派な剣士だった。
その場に剣士の男の強さが滲み出ているように感じる相当の実力者なのだろう。
悟は黒ずくめの男から先に仕留めることにした。
恨みはないが目的を達成するためなので許して欲しい。
黒ずくめの男は急に懐に入られたので慌てていたが悟は男の腹に向けて蹴りを入れる。
吹き飛ばなかったが、男はその場で伸びてしまった。
どうやら魔術師のようだっだので近接攻撃には弱かったらしい。
悟が黒ずくめの男を倒したあとに大きく歓声が上がる。
そして悟はもう1人の男へと向いた。
気がついた時には遅かった。
目の前にはあの剣士がいたのだから。
剣で攻撃するのかと思ったが、どうやらみぞおちを狙って殴ってくるようだ。
それを悟は拳と胸の間に両腕を入れてクロスさせた。
悟の両腕と相手の拳がぶつかる。
そしてぶつかると同時に悟は後ろへ飛ぶことで距離をとった。
悟は後ろへ一回転して着地する。
男の方は首をかしげていた。どうやら完璧に決まると思っていたのだろう。
だが、思ったよりも軽かったので驚いたところだろうか。
「次はこっちの番だな。」
悟がそう言うと男は身構える。
そしてゆっくりと男の方へ歩いていく。
男は身構えたままだ。
「空間支配 転移」
悟がそう言うと悟が立っていたところには誰もいなかった。
男が急に見失ったのを驚き周囲を見渡すがいない。
そして急に首に衝撃が来たと思うとそのまま意識を手放した。
それを傍観……、いや観察していたシューラは驚いていた。どうやら急に姿が消えたのが驚きのようだ。
観客もなにが起こったのか理解していないようで歓声は上がっていたが先ほどとは違ってあまり大きくはなかった。
そして次はお前だと言わんばかりに悟がシューラの方へと向いた。
そしてシューラが悟の敵意を感じ取ったのか剣を構える。
「悟、本気でこい。あの時は訓練だったからな。私に本気を見せてくれ。」
美穂の本気度を感じ取り本気で相手をすることにした。
「召喚、……練成」
突然黒いスライムが現れたかと思うと悟が手を伸ばし練成していく。
グニョグニョと形を変えスライムから剣へと形を変える。
漆黒の剣が出来上がった。
「シューラも本気でこい。」
悟は漆黒の剣を持つとシューラに声をかける。
それが悟とシューラの試合開始の宣言となった。
両者は互いに走り互いの剣がぶつかり合う。
よく見たらどちらも笑っている。
「空間支配 加速領域」
「神速」
そして両者の声とともに互いの剣がぶつかり合う。
悟とシューラは常人では考えられないほどの速さで打ち合っている。
しかもときどきフェイントを入れているのだから驚きだ。
だが、両者はさらに互いに驚いていた。
悟は、フェイントの多さに、美穂はフェイントを交わしていく技量に驚いていた
実際フェイントはアスタロトから見て1回につき2回だった。
だが、目でフェイントもしているため実際には3回だ。
悟はそれさえも気づいて防御していたのだ。
悟は本当は気づいていないのだが、うまく捌いているため勘違いが起こっていた。
そして戦いは次の段階へと移る。
「まさかシューラがここまでつよいとはな。
あの時は本気ではなかったということか。」
「まさか。
あの時は本気だったよ。そうでなければあそこまでうまく戦えなかったしね。
ただ単に、能力を使わずの本気だったから少し余裕があっただけでね。」
「じゃあ、全ての能力を引き出せたら俺の勝ちだな。」
「まぁ、そうなるかな。」
激しい打ち合いの中2人は話をする暇すらあるのだから驚きである。
「じゃあ今度こそ本気出せよ。」
「もちろん、そっちこそ出してよね。」
「精神支配 乱心、空間支配 無領域、時間支配 未来視」
その言葉と同時に剣の速度が飛躍的に上昇する。
そしてシューラの姿が二重に別れた。
剣の速度が飛躍的に上昇したのは剣の表面上の空気をなくしたためだ。
なにもなければ空気抵抗もない。
しかも引き寄せられるのだ。だから剣速が上昇した。
シューラの姿が二重に別れたのは1秒後のシューラがどこにいるのかを示している。
目に負担がかかるので多用はできないが、一度の戦闘で何回か未来を見ることができるアドバンテージは大きい。
それともう1つの精神支配 乱心は心を乱れさせるものだったが、精神に対する魔法などを無効化する耐性を持っているのか聞いている様子がなかった。
「精神統一」
シューラの言葉とともにシューラの剣速がさらに上がっていく。
「ウィンド」
その言葉と同時に攻撃を受ける悟だが、剣の先から斬撃が飛んできた。
シューラの剣先から飛んでくる斬撃は予知ができなかった。どうやら未来視にも何かリスクがあるようだ。
「チッ、空間支配 転移」
悟はシューラの後ろへと転移する。
悟がもともといた場所には風で作られた斬撃が走って深く傷をつけていた。
そしてシューラの首元へと剣を振り下ろす。
シューラはそれを見越していたかのように前に出てかわすとこちらを向いた。
「やっぱり強いな。さすが師匠だ。」
「だから師匠じゃないって。空間支配 転移」
転移した先は、シューラの目の前の懐だ。
シューラは慌てて剣を間に入れる。
それに剣を振り下ろし弾くその拍子に悟の剣が折れる。
どうやら今回は前回に悟がしたことをシューラがしたようだ。
だが、シューラの剣は地面に落ちている。
シューラへ向けて殴りかかる。
シューラは間に合わないと思ったのか目をつぶった。
「空間支配 加速領域」
シューラに向けて拳が走る。
当たると同時に拳が霧散した。そして後ろにいつの間にか立っていた悟が首筋に手を当てると同時にシューラは倒れた。
歓声は聞こえない。
なにが起きたかわからないのだろう。
しばらくしてアスタロトが辞退すると大きな歓声があがった。
「今年の優勝者は神崎 悟だ。おめでとう。」
カレンが直々に来て手を一緒にあげると勝者宣言をした。
5位までの人物と悟は握手をして横に並ぶ。それぞれに賞品が手渡されていく。
5位…賞金
4位…招待旅行券と賞金
3位…シューラと戦える権利
2位…栄光の指輪
1位…アステル学院へ特待生として入学する権利
アスタロトが欲しかった指輪は青い宝石が埋め込まらていた。
見た目は宝石がついたただの指輪だが、効果が重要でその人物に対する即死攻撃の無効化だそうだ。
シューラは3位だったので自分自身と戦える権利を得た。
なんだか意味がわからないが、なにももらえないのと同じことなので少し落ち込んでいた。
5位と4位の人はそれぞれの賞品に満足したようで笑っていた。
だが、一番の問題は、悟が1位の賞品として受け取ったアステル学院への特待生として入学する権利だ。
どう考えても指輪の方が価値がある。
そう思い後に、カレンにきくとどうやら世界的に有名な学校で、普通に入学しようと思うと天才しか入学できないのだとか。
だからときどきこういうイベントの賞品として強い人物を招き入れたり、強い人物をスカウトするらしい。
冒険者のSSランク以上の人はほとんど入っていたそうだ。
特待生は年に数人しかいないらしく曲者ぞろいだとか。
王族もときどき入学しているらしい。
様々なダンジョンなど、あらゆる情報が集まるところでもあると聞いて、悟は入学しようと即決した。
そしてこの日のアスタロトとのデートは闘技場で指輪を手に入れるだけで終わってしまった。
だが、アスタロトは指輪をつけたりはめたりして満足気な顔をしていたのでよしとすることにした。
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