22話 お弁当とデートの約束?
お待たせいたしました
「はっ、とう、せいやっ!」
王女直属の部隊のメンバーの1人の剣技を悟は見事に剣で受けたり躱したりしている。
そして、最後の剣技を躱した後に自身の剣を持ち替えて相手の首に剣を持っていく。
もう何人も相手をしている。それのせいか悟は、相手の動きが手に取るようにわかるのだ。もちろん、同じ型だから慣れだと思うが、
「あ、ありがとうございました。」
「じゃあ次の相手を……」
「ちょ、ちょっと待て、いくらなんでもきつい。少しは休憩させてくれ。
それに、もう昼過ぎだから飯にしてもいいんじゃないか?」
シューラが次の相手を言う前に悟から声が上がった。
「それもそうだな。じゃあ休憩にしよう。各自休憩してくれ。」
シューラの声とともに仲の良いメンバー同士が固まり合い円を作ってどこから持ってきたのかお弁当を食べ始めた。
げ、まじか。俺は弁当なんて聞いてなかったから何も持ってきてねぇーぞ。こんなことならと心の中で悟は自分の失敗を悔やむ。
そして、悟は美穂とアスタロトがいた場所へ目を向けた。
そこには、風呂敷に包まれた立派なお弁当を持った美穂とアスタロトがいた。
そこで悟が、お弁当を持っていないことに気づいたのか
「え? 悟くんお弁当を持ってくるの忘れたの?」
「お前は話を聞いてなかったのか?
シューラから美穂と同様言われてると思っていたんだけど?」
と、美穂とアスタロトからこいつなんで持ってきてないの?的な言葉も頂戴した。
え?なに、俺だけ?
俺だけ持ってきてないのか?
それか、俺だけ知らされてなかったとか?
なんとなくだけど少し霞んで美穂とアスタロトが見える。なんでだろう。
なんか、周りの奴の視線がシューラへ向いてる気がすると思い悟はシューラの方へ向く。
そこにはお弁当を2つ持ったシューラが、こちらをチラチラ見ながら足をもじもじしていた。
そんな隊長を見て他の隊員は、
「か、可愛い。」
「隊長が、遂にデレた。」
「私もあんな恋してみたいなー。」とか言っている。
もちろん、そんなことは悟の耳にもシューラの耳にも届いてはいないが……
「も、もし悟がよかったら、今回弁当を作りすぎてしまったんだが、分けてあげんこともないぞ?」シューラが悟の方をチラチラ見ながら言った。
この時のためにシューラはわざわざ悟にだけ弁当を持参するようにと伝えなかったのだ。
今回の弁当は張り切って朝の4時から起きて作ったため自信作だ。
他の隊員にも少し食べてもらい味を確認してもらったためおいしいはずだ。
大事なことなのでもう一度、おいしいはずである。
「お、ありがとな。助かるわ。」
シューラは心の中でよしっとサムズアップをした。
計画のさりげなくお弁当を渡すという第一段階はできた。
心なしか、美穂さんからの目が怖い気がしますが、今回の事は誰にも相談してないので怒られそうですね。
ともあれ、今はお弁当のことに集中しましょう。
そして計画は第二段階に移る。
「あ、あの、もしよければご一緒しませんか?」
「別に良いけど」
そして、シューラの案で適当に離れているところで食べることになった。
これが計画の第二段階だ。
離れてお弁当を食べることにより、2人っきりになることができ、お話ができるという極めて優れた計画だ。
発案者はカレンであるがシューラは案を言われた時天才だと思った。
私はこういうのはあまり知らないし苦手というか……。
だが、カレンは知らなかった。シューラが好きな人に対してはすっごく乙女になってしまうことを。
もともと、カレンはシューラがあーんして食べさせることなどを前提に考えて計画していた。
しかし、シューラの今の状況から考えてそのようなことができるわけがなかった。
やばい、心臓のドキドキが止まらないよぉ〜。と、シューラは乙女プラグイン実装中だった。
「じゃ、じゃあ、食べよっか?」
「おう。」
悟がお弁当の蓋を開けるとそこには綺麗なハートマークのデコ弁があった。
ハートマークはノリで作られており、下は当然ながら米だ。
左にはおかずが並んでいて、卵焼きに、きんぴらごぼうに、トマト、そしてメインとなる唐揚げが2つ入っていた。
「すげぇーな。予想してたより完成度高い。」
「そ、そんなことないよ。」
シューラは努めて、努・め・て笑顔を保った。
でなければ、その仮面の下のにやけ顏が悟の前に晒されるからだ。
それだけはするまいとシューラは笑顔を保った。
それだけ悟に褒めてもらったのが嬉しかったのだ。
悟は唐揚げの1つを口へと運ぶ。
そしてシューラのお弁当の感想が言われる。
「うまい、やば、その辺で食べるより断然おいしいよ。
あれだな、シューラはなんでもできるし、良いお嫁さんになるな。」
「……………………え?」
え?
今なんて言った?
良いお嫁さんになるなって言われた?
「す、すいません聞こえなかったので、もう一度お願いします。」シューラは一応確認のためにもう一度聞くことにした。
「シューラは良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。」
ん、んん?
なんかさっきより増えてるけど?
今聞いたことを頭の中で整理だ。
さあ、もう一度。
良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。
良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。
良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。
………。
シューラの頭の中で悟が言い放った言葉がループしていく。
そして、無意識のうちにBボタンで脳内保存する。
そしてAボタンの準備を……
え、えええええぇぇぇぇぇぇぇぇええ?
ちょ、ちょっと待って、そ、それってプロ、プロ、プロポーズ!?
そ、そんな、早いよ。まだ私その、か、覚悟が。
わ、私もそろそろ17だし、相手が欲しいと思っていたけど、けど、悟は年下だと思うし。
けど、私より強くて、私より強いひとに守ってもらえる。
悟に守ってもらえる。
そしてもう一度先ほどの悟が言った言葉を脳内Aボタンを連打してループさせる。
そして、Cボタンを使い変換作業をする。
「シューラは良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。」
が、 「シューラは良いお嫁さんになるな。僕が貰ってあげるよ。」
そして再度、Aボタンでループさせた。
もうそれは大変だった。
褒められるだけでにやけそうになってしまう顏だったのだ。
褒められるだけだったら我慢することができた。
しかし、今回は、プロポーズとシューラは捉えてしまった。
そして、顔の口角がどんどん上がっていく。
完璧なシューラのにやけ顏がそこにあった。
そして、鼻血を流してシューラは気絶した。
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シューラ視点
起きたら悟と美穂とアスタロトの顔がそこにあった。
話を聞くとどうやら鼻血を出して倒れたらしい。
騎士として情けないと思った。
が、
だって仕方ないじゃない。
一生懸命頑張って作ったお弁当をおいしいよと言ってくれるだけでよかったのに、プ、ププププロポーズをされたんだから。
こんな強くて守り要素もなく、女らしくない私を選んでくれたんだから。
サーシュたちは私をこれ以上の女はいないと言うけど、実際はどうかわからないし、私は女らしくないと思ってる。
けど、それでも、悟は私を選んでくれたんだから、カレン様も許してくれるよね。
現役から引退して結婚することを許してくれるよね。
とか思っていた。
「とりあえず、なんで急に鼻血出して倒れてたんだ?」
悟の言葉に美穂とアスタロトはムッとした。
「それは、悟くん、自分の胸に聞いてみたらわかるんじゃない?」
「どうせ、悟のことだからいつもは見せない劣情を抱えてシューラさんを襲ったに決まってるわ。」
悟の心に1つどころかたくさんのナイフが刺さる。
「ま、まさか俺はそん」
「悟はそのようなことをしてません。
単に、私にプロポーズをされただけです。
それに戸惑って、鼻血を出して気絶したんです。」
悟がそんな訳ないと言おうとしたら、シューラに遮られた。
さすがに自分でもめちゃくちゃだと思う言い訳だった。
でもシューラはこれぐらいしか思いつかなかった。
幸せすぎて。
「え?」
「本当なの?」
「修羅場だな」
そしてシューラの完全な勘違いに、三人は三人とも違う反応をした。
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悟視点
何言ってんのこいつ?と悟は思った。
悟はプロポーズとなるような場面をよーく思い出してみる。
まず弁当を忘れていた時はそんなことなかったし、弁当を一緒に食べることも別に結婚になることではないはずだ。
この世界で、もし、2人っきりでお弁当を食べたらプロポーズと同義などというルールがあれば、前の世界で、結婚する奴なんか何万人もいる。
しかも、男性同士とか女性同士の方が多いだろう。
だって、同性同士で食べるよりリア充の方がよく考えたら少ないはず。
多分、いや、絶対少ないはず。
多かったらリア充爆発しろよ。
話が逸れた。
次にしたことはなんだ?
お弁当を見て褒めた。
言動は確か、
すげぇーな。予想してたより完成度高い。だったか?
さすがにここにはないな。
次は、
うまい、やば、その辺で食べるより断然おいしいよ。だった。
うんこれもない。
ハイ次!
シューラは良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよ。
……………。
うん、これだ。
場合によっては、そう聞こえなくもない。
だが、なんで?
悟はシューラが脳内変換作業をして言葉が変換していることを知らなかった。そのため、疑問に思うのはもっともである。
もらう相手が羨ましいよ。ではなく僕が貰ってあげるよ。になっているのだから。
と、とりあえず、この場はどうしたらいいんだ?
左をみたら、シューラが今にも抱きついてきそうな感じだし。
右を見たら、美穂のジト目がこっちを見てくるし。
美穂のとなりにいるアスタロトは我関せずといった面持ちで、顔をプイッと他所へ向けている。
最優先事項で、シューラの誤解を解かなければと思った悟はシューラに訳を説明する。
「まさか 、シューラは良いお嫁さんになるな。もらう相手が羨ましいよって言った言葉を僕がプロポーズしたと思ったの?」
「え? プロポーズじゃなかったんですか?」
シューラがとんでもない勘違いをしていたと今気づいたらしい。
でも、泣きそうになっているシューラもなかなか可愛い。
おっと、いかんいかん。
「でも勘違いする?普通。だってよく考えれば、お世辞か、本音で言って褒めてるって思わない?」
「やっぱり勘違いだったんですね。
け、けど、勘違いさせる方も悪いんですからね。」
「私も同じこと言われたら勘違いするかな。」
「私は別にしないな。」
「………。」
まさか、美穂が共感すると思わなくて無言を通してしまった。
それに開き直るって、まぁいいけど。
まぁ、アスタロトはさっぱりしてるな。それが普通なんだろけどさ。
「それは、置いといてですけど、悟様はどっちだったんですか?」
いや、置いといてって、そもそも誰のせいで……と悟が思うが、爆発する前に止めてとりあえずシューラの話を聞くことにした。
「どっちってどれのこと?」
「そりゃもちろん、お世辞だったのか、本音で褒めるために言ったのかですよ。」
「あ、あぁーそれね。もちろん本音だよ。」
「え、そ、そうなんですか。
具体的にどこが褒めてるところなんですか?」
シューラはお世辞とばかりに思っていたのでこの言葉にびっくりしていた。
「綺麗なところとか、もふもふしたくなる狐の耳と尻尾が生えてるし、しかも強くて料理もできるところとかかな。」
「そ、そそそそんにゃにありゅんでしゅか?」
訂正後(そ、そそそそんなにあるんですか?)
「じゃ、じゃあ、あのなんですけど明日デ、デ、デートしませんか?」
シューラからいきなりデートのお誘いが出てきたので悟はタジタジだった。
「お、おう。ていうか、いきなりだな。」
「えぇー、いいなー。シューラ?、私たちもいいよね。」美穂が自分自身とアスタロトを指差して言った。
「な、なんで私も行かなきゃならないんだ。
ま、まぁ、どうしてもっていうなら行ってやらんこともないが……」最後のアスタロトの声は小さすぎて誰にも聞こえなかった。
「で、でもさ、デートって、男女同士が行くことで初めてデートなんじゃないのか?」
「じゃあ誰が明日行くのか決めなきゃね。」
「具体的にはどう決める?」
「じゃんけん。」
「悟に選んでもらう。
誰と一番行きたいか。」
「「「賛成!」」」
賛同一致により、俺によって決まるようだ。
「じゃあ、誰と行きたいか決めてね。
さ・と・る・く・ん。」
美穂から少し圧力のようなものが感じられる。
「俺としては別に誰でもいいんだけどな」
「「「ァ”ア”」」」
三人の美少女からドスの効いた一言を聞いてよし決めようと思った。
「じゃ、じゃあさ、順番っていうのはどうよ。
明日だけなら行けるのは1人だけど3日間で三人と順番でやるのがいいんじゃないのか?」
「そうね、それが一番いいかも。」
「でも私としてはこの人がいいと決めて欲しかったですね。」
「悟って結構ヘタレなんですね。」
グホッ!
最後のアスタロトの一言が心にぐさぐさっと突き刺さる。
「じゃあ順番は任せるわ。じゃあ鍛錬してくる。」そう言って、悟は訓練に戻った。
鍛錬を言い訳にこの場から逃げたかったとは口が裂けても言えない。
もうすぐで、三章突入です。
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