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17話 国との取り引き



 客間に連れてこられた悟達だったが、なかなか互いに話を切り出せずにいた。




 このまま(だんま)りって訳にもな。


 だが、出身地を聞かれて異世界と答えるわけにも、どうしたら正解なのか。


 一応両親が死んでいて身元不明とはいっても不審者には変わらないからな。


 だからこっちから話すにしても不審者の言うことだし。

 あっちから投げ掛けてくれればいいんだが。




 そう思った矢先にカレンが口を動かした。



 「早速で悪いが、君たちは両親はすでにいないと聞いているんだけどそれは本当かい?」


 この質問にたいしては三人とも頷いた。


 本当にいないし、別に今後に影響することではないと判断したからだ。


 ただカレンもこの質問には少し迷いがあったようで、小さくため息顔を下に向けた。



 「そうか、なら出身地はどこかな」


 やはりきた。

 

 悟達はこの質問には答えられないため無言を通す。


 「言いたくないのね。分かったわ。」


 悟は、思っていたよりもしつこくなかったので少し驚いていた。

 

 さほど相手にとって重要ではなかったのだろうか?



 「そんな三人がたに提案があるのですが。」



 三人はカレンの雰囲気が変わったのが分かった。


 先程までと違い本気で知りたい若しくは、お願いしたいことなのだろう。



 「私たちと取り引きをしない?」


 「取り引き?」


 「そう、取り引き。

 とはいってもそんな大切なことでもないけどね。

 ただ、私たちが力を貸してほしいときに少しだけ協力をして欲しい。

 その代わり、私たちは貴方の身元証明書を発行しましょう。

 あなた方にとってもいいことだと思いますよ。

 第一、証明するものがなければ仕事はおろか、国すら出入りできないのですから。」


 悪くない。そう悟は思ったが、なぜ三人を一国の王女がそこまでして協力を求めるのか疑問だった。



 「内容はまぁ、こちらは大丈夫だが、そこまで俺たちに固執する理由はなんだ?」


 「私たちがしたことと言えば、ギガラックスを補食したユニークモンスターのギガラックスを倒したことだし。」


 「そもそもとして余り私と美穂は動いてないしね。」


 他の三人も疑問に思っていたようだが、それがまたカレンと二人にとって驚きだったようで


 「なっ! ギガラックスと言えば上級の冒険者でも太刀打ちできるものはいないと言われているモンスターですよ。


 それに、そのギガラックスを補食したユニークモンスターのギガラックスも普通ならSS級のモンスターですし、それでいて補食までしているとなるとSSS級のモンスターに跳ね上がっていた可能性が高い。


 そのモンスターを対処し、ましてやカリンにまで気づいていた人物を国と繋がりを持っておこうと思うのは当然だと思ったからです。」



 「なるほどな。」これはあとでアスタロトに問わないとダメだな。


 何が、初心者冒険者でもだ。上級冒険者でもてこずるとは聞いてなかったぞ。


 だとしてもだ、国が動くのは早すぎる。


 早急に強者を集めなければならない理由があることしか考えられない。


 「他にも理由があるだろ。

 俺が強いとは言わないが、なぜそこまで強い者に固執する? 国が動くのが早すぎる。」


 「勘がいいんですね。まぁ、お教えしても構いませんが。

 ここの地域は比較的モンスターがあまり来ないんです。

 ですが、稀にモンスターが大群でやって来るときがあります。それを対処するときに協力をしていただきたい。」


 「なるほどな、なら別にかまわない。」


 悟たちからしたらいい魔法の練習相手となるだろう。


 対人とちがって本気でやってもいいというのは違うが……


 「そ、そうですか。では発行するのに数日かかるので、アルテマに滞在してください。城の中の客間でよろしければ泊まっていただいてもいいですよ。」


 「そうしてもらえるとありがたい。俺らはここのことを知らないからな。」


 「お城で寝泊まりかー、考えたこともなかったなー。」


 「私はお湯を浴びたい。」

 

 「ここのお風呂は格別よ。アスタロトさんだっけ? 私たちとどうかしら。」シューラもどうやら風呂に入るようだ。


 「どうせなら私も行きたい。」


 「美穂さんもご一緒にどうぞ。」


 「シューラ、お前なんか悟が、滞在すると聞いてからやけに笑顔だな。」


 「そ、その様なことはありません。」


 「シューラちゃんが……ね。



 シューラちゃん、私、負けないから。」


 美穂はなにかを悟ったのか急に負けないといっている。


 「と、ということは、や、やっぱり美穂さんもですか?」


 「シューラ、もってなんだ、もって、もしかしてやっぱりなのか?」サーシュがここしかないとばかりにからかっていく。


 「別に何でもないわ。早くいきましょ。」顔を真っ赤にして言っているシューラ。




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