15話 アルテマの王国女戦士達と戦姫
五話連続投稿しました。
やはりすごい
私は美穂さんの戦闘を見て思った。
上級魔法の威力を下級魔法を組み合わせることにより、魔力を半分以下に抑えてだしている。
天才というやつだろうか。
道中での戦闘を見て改めて三人は規格外のイレギュラーだと思った。
道中は狼のような魔物であるウルフラインやギガラックス、スライムの上位相互である、ファイアースライムがでた。
ファイアースライムは魔法を使うことによりより多くの戦闘パターンができて冒険者からすると手強いと聞いたがやはり美穂の魔法と戦闘がすごいのか、一体、また一体と倒れていった。
そしてアルテマの都市が見えた。
門のところに二人の兵士が立っている。門番だろうか。
「これはリンカ様。こちらの三人がたは?」早速気になったようだ。リンカはアルテマで、有名なのだろう。
「この方々の身元は私が保証するから通してもらえるかしら。」
「はい、了解しました。」本当は身元を確認するためのものが必要なのだろう。
リンカと出会ってなければ街にすら入られなかったと思うとぞっとする。
街は賑わっていた。日本で見たことがない物が溢れていて興味をそそられる。美穂もあれ美味しそう。あれ可愛いとか言っている。
城へは30分もかかった。途中で奴隷がちらほら見えていたのが二人は気になった。
アスタロトによればこの世界では奴隷制度があるのだという。
ここでは亜人が多く取引されているが、遠くへ行けば人間の方が多く取引されているとこもあるのだとか。
城のなかは豪華絢爛という言葉が似合いそうな感じの光景だった。
廊下には所々に美しい装飾を施した剣や盾、鎧、兜などがありどれも一級品と言われれば信じるしかないものばかりだった。
そして大きな扉の前に来た。扉にも装飾は施していたが、この扉は段違いにすごい。
来るものを拒むようなミノタウロスの像が扉のリョウハシニ鎮座している。
片方は剣と盾を持ち、もう片方は槍を持っている。
リンカは何度も来たことがあるのか落ち着いているが、三人は落ち着けなかった。
そして扉が開く、そこもやはり美しかった。どこの美術館!? と言いたくなるほどの装飾を用いたものばかりが並んでいる。
「では王女様に話をしてくるのでこちらでお待ちください。」リンカが三人に礼をすると外とは違い、優雅に貴族を思わせるそぶりで立ち去った。
悟と美穂はそわそわしていた。アスタロトは魔王の娘だから王女という認識で間違いないだろう。だが、悟と美穂は日本のただの高校二年生と三年生であるため場違いな感じが気持ちのそこにあった。
しばらくしてそんな三人のもとに二人の女兵士が現れた。
「こいつらがリンカを越えるかも知れないやつらか。どれもまだ、少年や少女の年齢だな。」
「失礼ですよ、客人なのですから丁重にもてなさねば。急に失礼しました。
私はアレン・シューラと申します。こちらはライト・サーシュといいます。」
「おう、サーシュでいいぞ。」
「私もシューラで構いません。」
サーシュは見た目は美少女だ。背が低いから多分そうだろう。
そして特徴的なのがウサミミだ。後ろにはふわふわ尻尾もついているため兎人族らしい。
シューラは美穂と同じ年ぐらいだろう。髪が頭の後ろで束ねられており、その色は全体的には水色だが、先にいくにつれてピンクがかっている。そしてサーシュと同じく頭に狐の耳と腰に尻尾がある。リンカと同じ狐独族だろうか?
残念ながら二人にはボディーラインを隠すように鎧があるので中は定かではないが。
「神崎 悟だ。悟でいい。」
「私は椎名 美穂 美穂でいいよ。」
「私の名前はアスタロトという。アスタとよんでほしい。よろしく頼む。」
「じゃあ、悟くん、美穂ちゃん、アスタロトちゃん、早速本題だけど、私たちと手合わせをしてほしいの。
腕前はリンカに聞いたわ。 特に少年にいたってはユニークモンスターのギガラックスを一撃だってね。」
「構いませんが、ここではさすがに。
それに待ってほしいと言われているので。」
「さすがにここではしないわ。庭で、私たちは鍛練しているからそこでどうかしら、あのこたちも興味があるっていってたし。それと待っているのは庭でもいいと思うわ。王女のいる部屋の扉の真ん前だしね。」
「じゃあそれで頼む。」悟は了解の意を示し二人についてきてほしいと言った。
「じゃあ早速移動するか。案内は私たちに任せな。」男だったら男前だっただろうなとサーシュに思う悟と美穂だった。
庭は五分とかからなかった。さすがに城のためなかなかに広い。
庭は特に広いかった。
そんな中で数十名の女性兵士達が剣を振って鍛練していた。
美しかったの一言だ。
男だけならむさ苦しく思える鍛練も美女や美少女がすることによって美しく見えた。
やがてこちらに気づきだした女性たちがこちらに向けて走り出してきた。
「この少年がリンカ様を越える者ですか?」
「そうらしい、私にはそうはみえないのだがな。」
そうシューラがいい放つと感嘆の声を女性達はいった。
「こんな少年が、ねぇー」
「可愛い顔をしてやるんだ。」
「私も可愛いと思ってたー。」
「だよね、他の女の子も私たちに負けないぐらい可愛いし。」
「三人ともすごいんでしょ?」
何これ? どこの女子高ですか? と思い始めた悟はシューラに庭の真ん中に連れ出されていた。
「早速、私の相手をしてもらおうか、サーシュ剣を頼む。」シューラがそう言うとサーシュから悟へ剣を渡される。
「剣を持たないままでは卑怯だからな。改めて私はアレン・シューラという。アルテマ王国の王直属の部隊で隊長を勤めている。お互いの戦技を示しあおうね」
「え、まじでするのか。だとしたら、俺も言う方がいいのかな? 俺は神崎 悟だ。正々堂々戦おうじゃねーか。」
「じゃあ、私が試合開始宣言をするよ! じゃあ試合開始!」サーシュが宣言したと同時にシューラが踏み込んでくる。
シューラの剣が重みを帯びて走るように切りつけてくる。
一つ一つの斬撃が重い。
しかし悟はそれを見切って、受けるのではなく受け流していた。
それを見て女性達はすごいとか言ってはしゃいでいる。
シューラの動きがどんどん早くなっていく。彼女のスイッチが入ったようだ。
もともとシューラは自分の強さと同等のものが居なかった。
魔法は使えなかったが、剣だけは一流でさえ生ぬるい位の天才だった。
女性でなければ冒険者でも太刀打ちできるものはいないとさえ言われている。
女性であっても100人もいないが。
しかも同等かそれ以上の人物などこの近辺には居なかったためどれ程鍛練をしようとも本気を出せる機会がなかった。
そんな中で悟が来たのだから燃えるのもわかると言うものだ。
シューラが太刀筋を急に変えてきた。縦ではなく足元を狙い横に凪ぎ払うように殺意さえ抱いて攻撃してくる。
殺す気でなければ倒せないと判断したのだろうか。
それを剣で受け止め、腕を持ち、シューラを投げる。
流すことができない状況を作り出したのはすごいと純粋に悟は思った。
激しい攻防の中で作戦も考えていたのだから。
シューラはバランスを崩さずに着地した。
シューラが笑っている。
戦姫、そんな言葉が頭の中で浮かび上がってくる。
「貴方も私と同じ目をしてますね。」どういう意味だろうか。
シューラから見たら悟は怖いほどに笑っていたのだから同じ匂いを嗅ぎ付けたのだろう。
どちらにしろ本気を出せる相手と言うのはいいものだと思うが。
そして、離れた両者は同時に走りだし、中央で剣がぶつかり合う。
そしてぶつかり合う剣が離れたと思うと素早く剣を持ちかえ上から降り下ろしてくる。
やはり避けようがない攻撃をしてくる。
そしてシューラが上から降り下ろしている剣よりも早く腰を下ろすと悟は足元を狙い横に足を凪ぎ払った。
そして凪ぎはらってシューラに少しの隙ができたところでシューラの剣に剣をぶつけにいく。
そう、今まで剣をぶつけてきたところと全く同じ場所を。
ぶつかり合うと同時にシューラの剣が折れる。
その光景と悟の技量に戦慄していたシューラはバランスを崩すも何とか着地した。
ぶつかり合いの中で同じ場所を狙うなど難しいことこの上ない、しかもシューラほどの者であればさらに難易度が上がる。それを悟はしてのけたのだからまだ余裕があるのだろう。
シューラが着地する前に悟は走りだし、着地したと同時に剣をシューラの首筋へと向ける。
それを見たサーシュはしばらく呆然としたのち悟の勝利を告げた。