戦記92「未亡人と」
ジャンルでいうと、未亡人はNTRになるのだろうか?
そして物理的関係のないNTRもNTRカテゴリーにいれていいのだろうか?
ところで、NTRって始めてみたとき、ネットリ? とか読んだりしなかっただろうか?
ネットリな寝取り…ニットリなニトリ…オットリなオトリ…唐突な鳥取…
なにいってるんだろ。
そんなことを午前中から考えてる社会不適格者の送る戦記92、はっじまるよー
戦記92「未亡人と」
「…どうかしたユウ君?」
「いえ…随分と気を使わせてしまったなと」
そこで一度言葉を切り、頭を下げる。
「…ご心配をおかけいたしました」
オレの生存情報は早いうちから届いていただろうし、そもそも俺自信が夫人にとってそこまでの相手であるとは思っていなかったのだが…どうやら、いの一番に言うべきセリフだったようだ。
「…まったくです」
コンっ、と。冗談めかしたそれに比べると、やや重量のある拳骨を頭に食らう。
その重さに、改めて喪服を着て過ごす方であることを…人を亡くす辛さと残される不幸を忘れられない人であることを思い知る。
「とりあえず、私はこれで許してあげます」
「…感謝します」
「…ユウ君ちゃんと聞いてました?」
「はい。夫人は…ですよね?」
何台目だろうか…窓の外、ちょうど門をくぐりやってきた高級馬車を指差し返す。
「わかってるならよろしい…スフレ」
「はい。ではヤツネ様とコウ様は、私と一緒においで下さい。ささやかではありますが、歓迎会の準備ができておりますのでご案内いたします」
と、オレの名前を外したスフレに疑問や緊張を走らせる二人。
「ユウは?」
「ユウ君は私と一緒にちょっと別室」
「…夫人と?」
「そ、夫人と」
姫が露骨に嫌そうな顔をする。
よもや俺と夫人のやりとりや、馬車の量に気が付いたのか? と思いきや、
「…床上下論争」
出てきたのは、予想の斜め上をいく答えであった。
いや…うん、そうか、振り返ればその答えが出てくるのもわからなくはない。神楽月では大変に有名らしい、俺に関するその論争を、舞姫ですら知っていたその論争を、町に出歩いていたという歌姫が知っていることに不自然なことはない。不自然なことはないのでもしかしてですが…
「…論争の詳細をご存知で?」
「嫌でも耳にはいってくるからね」
あぁ、そうですか、そりゃ初対面? の頃の嫌われてる感が凄かったはずですね、っていうか神楽月の皆さん、まだ年若い女の子の耳に入るほどの論争しないで頂けますか?
いや、まぁ身から出た錆だろうといわれれば反論もしにくいわけですが…
「…未亡人とその娘とおまけに従者もいれた五人の証言」
「待った!」
何を余計な知識を思い出してって言うか、うん、そうだね、夫人ってば明らかに未亡人な服装だものね気づくよね、だから指差すのやめなさい!
「グランさん、娘さんっています?」
「だからその質問待っ―」
「えぇ、娘が一人」
「へー」
「訂正。ユウ君のこと、とても大好きな娘が一人いるわ」
「へーへーへー」
必要でしたか、その追加情報?
あと歌姫やめてその目、鳥についばまれる悪夢とか見そう。
「じゃあいきましょうか、ユウ君。二人で」
煽るな夫人。腕絡めてくる必要ないでしょう。
振りほどきはしないけど。もったいないから。
「スフレさん!」
「はいヤツネ様。どうぞこちらへ」
「あー、ヤツネさん?」
「ナニカ?」
「いえ。なんでもないです…」
「そ。じゃ、どうぞごゆっくり」
だからそのボウみたいな発言は止めて頂きたい。
っていうか、断じていうが、姫が考えているようなことじゃないですから。
少なくとも今回は。
「…ご一緒いたします」
コウはそのあたりが伝わったのだろう。やや緊張の乗った顔でこちらへと歩み寄ろうとした。が、
「え…三人で?」
姫、話の腰を折るな。
「ヤツネ様」
ナイススフレ、やはりこのあたり心得ているのあたり長年オレのメイドを―
「大人には大人の事情があるものですよ」
「…そう、ね」
撤回、このスフレこのやろう、姫の目、絶対違う方向で大人の事情を理解してる目だろうが。
「参りましょう。スコーンはお好きですか?」
「なにそれ?」
「初めてなら、お楽しみに。さ、ご案内いたしますね」
扉を開け、姫を誘導しながら廊下へと出て行くスフレ。
「さ、コウさんもどうぞ」
「しかし…」
「安心して。グラン家当主の名に誓って、コウさんが必要になるようなことにはけしてしないから」
トーンは変わらず、しかしその確固たるセリフに気勢を削がれるコウ。
しかし承服しかねるのか、万が一を想像しているのか、硬い表情は崩れない。
「コウ」
「はっ…」
「心配はありがたい。が、ケンカしにいくわけじゃないし、下手に人を連れて行けば刺激するかもしれない。それに、もし何かあっても俺はなんとかなる…気にしてくれるなら、姫のほうを頼む」
「…承知いたしました」
コウが頭を下げてから、廊下へと出る。
そして静かに扉が閉まり、
「…いい子が付いてきてくれたのね」
「日々、愛想を尽かされないか必死です」
「尽かされそうになったら教えてね」
「だからあげませんって」
「ざーんねん…ところでユウ君。『姫』とはなんのことですか?」
強調し、棘のある言葉と視線を向ける夫人。
人がいなくなった途端にこれだから、やはりこの人には頭があがらない…
「失礼…妄言です。お忘れ下さい」
「はい、忘れましょう。ただし、他の方はそうはいかないこと、常々忘れないように」
「ご忠告感謝します」
「…立場上、私の口からは前情報を与えられません」
「大丈夫です。無作法ではありましたが、窓の外の景色に思いをはせておりましたので」
いってるそばから一台の馬車が門を潜り抜けてきた。
そろそろなのだとしたら、あの馬車が最後だろう…
「…頭と気持ちの整理は?」
「いつでも」
「終わったらごちそうが待ってますよ」
「楽しみにしてます」
二人で部屋を出る。
向かうのは館の裏手側…正門に近いほうを表とすれば、遠くに位置する部屋。
使い勝手の弁から行き止まりの少ないこの邸宅において、数少ない行き止まりの廊下と接する部屋。
途中、何名かのメイドとすれ違い辿り着くその部屋の前には、無言で立つ執事が二名。ただしその執事の胸板は厚く、背丈も俺を一回りは越える。
人目でただの執事でないと分かるその二名だが、ただものでないのはすれ違ってきたメイドにも言える。何かことが起これば、彼女達は隠し持った武器なり、その鍛えた素手なり魔法なりを操るだろう…
そんな面々が守る部屋に足を踏み入れる。
「…お待たせしました。鈴星王のユウ様です」
夫人の紹介に会わせながら入った扉の向こう…窓もなく、厚い壁に覆われた、しかしランプのおかげで暗いとは思わないその部屋にいたのは、十人ほどの紳士と淑女。
年齢、体系、服装にすら統一感のない面々。中には見覚えのある方もいれば、初めて見る方もいるが…共通点は、いずれも、グランギニオール及び、メガロポリスにその名前と力を行き渡らせている有力者達であるということ。
おそらくは、半数以上が『協議会』のメンバーだろう。グランギニオールのか、またはメガロポリスの放火までは定かではないが。
「えー、本日は私なんかのためにお集まり頂き、まことにありがとうございますとでもいうべきか…」
などと俺が軽い調子で口を開いた矢先、一人の紳士が立ち上がり、手でこちらの発言を制した。
「失礼、平素ならばその巧みな話術に耳を傾けるのもやぶさかではないのですが、少しばかりこちらに歩み寄って頂けますかな?」
知らない相手…ではない。
竜時代に訪問した別の都市の代表者…メガロポリス協議会のメンバーだ。
「どうぞ、その為に参ったのですし。あぁ、ちなみに着席しても?」
「失礼、どうぞ空いてる席へ」
促された席は、ロの字に組まれたテーブルの一番奥、ど中央。
当主でも、このメンバーで一番の実力者でもなく、俺に上座を与えてくるとは…
「どうかされましたか?」
「いいえ、何も。しいて言うなら、そちらのご夫人に見とれておりました」
「お褒め頂き光栄です。ですが口説いて頂けるのなら、別の場所でお願いいたします」
「では改めてお伺いするので、お好きな紅茶をお教え頂けますか?」
笑顔ではある。が、質問に答えるどころか、笑顔だけを浮べるだけのどこかの貴婦人に頭を下げつつ席へ着く。
直後、隅にあった気配が背後に移動してきた。
振り返らずとも分かる。部屋の入り口にいるような執事が、どこかの誰かさんが逃げたり暴れたりしないよう立っただけのことだ。
「さて、では早速ですがユウ竜殿…失礼。今はユウ王様でしたな」
「日が浅いもので実感が薄く、お困りなければ、呼び方はお好きにどうぞ。あとついでに、身分もお気にせず」
「それはありがたき…ではユウ殿、いきなりではありますが、お答え頂きましょう」
どうぞ、と促しその問いを待ち、
「貴殿、メガロポリスと戦争を始めるおつもりかな?」
あちらの先手で火蓋を切る。
お読み頂きありがとうございます。
前書きとか書き終わったとにつくづく思うのは、睡眠って大事だなってことです。
あと花粉コノヤロウです。
自分のくしゃみで目が覚めます。
目をつぶっても目がかゆくてつぶってられません。
あともう少し…あともう少したてばゆっくり寝れる…そしたらあんなわけのわからない前書きなんてきっと書かないはずなんだ…
とか思って昔の見返してみるとあんまり変わってませんでした。
なるほど、花粉って一年中とんでるんですね。
それではまた自戒。




