戦記78「御咎め」
さすがのボクも、これを前書きに書くのはどうよ、って思ったモノシリーズ!
―嘉門〇夫風替え歌メドレー―
これはステキなちょいとイカス~
読んで笑ってご陽気に~
シャンシャン手拍子足拍子
しっかりやりましょ、じーかんーまーでー
(ジャジャジャジャン!)
ある日、森の中、クマさんに、殴られた―ギャー!
ある日、ぱぱーと二人で、殴りーあったさ、ギャー!
いーまかーら、いっしょに、これからー、一緒に、なぐりに、いこうかー
GYA GYA GYA GYA GYA GYA GYA
―終了―
ほーらどうだい、酷いだろう?
では、はじまりま~す
戦記78「御咎め」
「陛下っていうな」
「…は?」
素っ頓狂な声をあげ、こちらをみるコウ。
「神楽月でいったろーが。陛下と呼ぶなと。さっきからまた、陛下陛下っていってる。それどーにかして」
「へ? いや、あの、はっ、失礼いたしました…しかし、あの…それだけですか?」
「連れてきたのは確かだろうけど、姫様にいわれてでしょう?」
「それは…」
などと言い淀むコウ…その発言で姫の責が重くならないようにとの配慮であることはわかる。が、
「じゃぁ『陛下っていうな』以外に『俺に対して嘘やごまかしは禁止』を加える」
「うっ…」
「で、改めて質問。姫様に言われて連れてきた…でしょう?」
どういったものかと考えるコウに先手を打って、
「ちなみに、極度の沈黙もごまかしとしてカウントする」
「うっ…」
ここまでやって、何をどうしたところで発言する以外に道はないと…発言しないことを許す人間ではないと、ようやく理解してくれたのだろう。姫様に申し訳なさそうな顔をしながらも、コウは口を開いた。
「…その通りでございます」
「騙されたわけだよね?」
「いえ、それは、その様に見えるかもしれませんが」
「へー、コウは俺に対してウソやゴマかしがいえるんだー」
我ながらやな奴だな、おい。
「…ウソやごまかし、では」
「ない、と」
「うっ…それは…」
「ほんとーに、自分の胸に聞いてもそういえる、と? 主に仕える人間の矜持にかけて誓える、と」
「うっ…」
なんかこう、コウが「うっ…」っていう度に罪悪感に駆られる反面、どれだけうっうっうっうっ言わせられるか試してみたいなと思わんでもない。いや、やらないけどね? …今は。
「で?」
「も…申し訳ございません」
「じゃ、答える」
絶望的な顔をする姫にお詫びのつもりか頭を下げるコウ。
「…姫様に言われ、連れて参りました」
「なんていわれたの?」
「ユウ王が何者かに狙われている恐れがあり、その危険性を分散するために歌姫様が先行して私と出発すると」
なるほど、状況から考えると無い話ではない。
「確認を取らなかった理由は?」
「王宮内にも間者の手が入っている可能性があると」
こちらも、なるほど、ど思わなくもない。
先の戦争で明るみになった王女派と反王女派の火種が今も残っていると思っても…まぁ実際に残ってるわけだし、内通者の線は考慮に値する。
「で、信じた、と」
確かに、
姫の嘘偽りは、それなりの信憑性を持っている。しかも今回の発言は、裏事情に詳しければ詳しいほど、真実味が増すといってもいい。それに加えて、神楽月の姫としての立場からの物言いである。確かに、退けがたくはあったろうが…
「…申し訳ございません」
改めて思うに…素直な性格なのだろう。良くも悪くも。
故に、コウにまったく落ち度がないとはいえない。
とはいえ、責任があるのはやはり姫様であり…
「…何かいうことは?」
一瞬びくっと震える姫。
まぁ…俺も自分で驚くぐらい冷たい声になってたし、ね。
「…ごめん、なさ、い」
「誰に?」
「…いろんな人に」
「…一つ聞くけど」
こちらを見る歌姫。
ふて腐れてなのか反省してなのか、うつむき加減の状態からコチラを見るせいで、微妙な上目使いになっている。その仕草に、歌姫特有の愛嬌を感じなくもないのだが…
「どうしてウソついてまで鈴星に来たかったの?」
姫は、いくつもいくつも言葉を考えたのだろう…口が小さく動いたり、目がせわしなく動いたりすることからそれが分かる。それを何度も何度も繰り返して、ようやく。
「…約束したから」
「なにを?」
「…強くなるって」
「ま、そうだろうとは思ってた」
思ってたけど、
「もう一つ約束しなかった?」
「…なに、を?」
「協力する、って」
あっ、と姫が漏らす。
その声が、あまりにも素直な驚きしか含んでいなかったことに不快感を露わにする。
姫も、自分の驚きの声が『俺が姫の言葉を信じているということを信じていなかった』というニュアンスに繋がることを察したのだろう。『驚き』から『慌て』へと表情を変えた。
「だ、だって、連れていってくれるなんて思わなかったし―」
「まぁ、相談されてもできない時はできないっていう。でも、だからといって騙し討ちされて、それでも笑顔で協力するなんて、そこまで俺がお人よしだと思ったの?」
「それ、は…」
思ってたのかもしれないし、そうでないかもしれない。
いずにしろ、来てしまえばなんとかなると思っていたのだろう。
そう思わせてしまっていたのなら、俺にも責任の一端はある。
でも、大本の原因は…きっと、愛情の結果だ。
リン王も、ロウ竜も、舞姫も、歌姫が『王族』であることを重荷に感じないよう、素直に育ててきた結果だ。
そしてたぶん、話に聞く巫女姫…姫達の母親へ歌姫が抱いている愛情の…神鳥の音を自在に操った、奔放な母親を模倣したいという愛情の結果だ。
きっと、こんな姫を気に入ってる人はたくさんいる。かくいう俺も罵倒されるのが好きなわけではないが、個人として嫌いなわけではない。むしろその奔放さを、素直に態度や行動に出せることは美点だなと思わなくもない。仮に姫が単なる町娘とかなら…そのままでもいいのかもしれないと思う。
だけど、姫がこれからも姫で…王族としていたいなら、いつまでもそれでいいはずがない。
だから…
「…どうしてもそうしたいなら、何がなんでも説得するとかすればいいでしょうが」
美点を生かすためにも。
素直な態度に好感を持ち、姫の為に労を惜しまない者は必ずいる。
状況を把握する能力や、相手を納得させる話術もあるようだ。
なら、ウソで動かすために使うより、もっといい動かし方がある。
「罵倒されるのも軽くみられるのもどうってことはないんだけど…裏切られるのだけは勘弁願いたい」
最後の言葉に合わせ、少しだけ強めに歌姫の頭に手を置く。
その振動で、地面に滴がこぼれていった。
「…ごめん」
「…なんとなくとはいったけど、それなりに深い意味もあって『付き合ってくれたらな』と思ったのだけど?」
「ごめん…」
手で両目を拭う歌姫。
謝罪の言葉は短くて、文面だけではどこまで理解しているかは分からないが…実感はしてくれただろう。ならあとは、理解して利用できるようになってくれればいい。そしてそれは、すぐにできるものではない。
だから、今日のところはこれでいい。
歌姫は経験が少ないだけで、理解力がないわけでも、考えが及ばないわけでもない。俺とコウの様子から、必要なことは受け取ったし、いろんなことを想像もしただろう。
だから、ここらへんが潮時。
「コウ」
「はっ…」
「よく言いつけどおり、無事に歌姫様を送ってくれた」
コウも歌姫も、は? という顔でコチラを見る。
「猿芝居までさせて悪かった。事前の打ち合わせ通り『姫が連れてけと申し出たら無事連れてくる任務』これで終了。おつかれさん」
「お、お言葉ですが陛下―」
「だから陛下というなって」
「あっ、えと、ユウ王様!」
「それも意味合いは一緒だ」
「ユ、ユ、ユ、ユ」
「人の名前でリズムを刻むな」
「けしてそんなつもりでは!」
「わかってるって。それはそうと、この後の段取りはできてる?」
「いえ、そんなことより―」
「この後の段取りはできてる?」
コウの反論など一切取り合わず、ただそれだけを強く繰り返す。
それでもなお、取り合おうとしないコウだったが、
「ガッハッハ! お前の主がそれでいいっていってんだから、それでいいーんだよ!」
ドン! とコウを後ろから突き飛ばすようにして現れた男の笑い声が、コウの反論を止めた。
酷く物理的に。
「お久しぶりで、ユウ王殿!」
「久しぶり、ガン竜」
握手を求めてきたガン竜に応えて、その手を握る。相変わらず骨太のごっつい手である。
「ところでお前の娘、顔面から地面にめり込んでるんだけど大丈夫?」
「ガッハッハ! もちろん大丈夫ですとも! なんせ身体の頑丈さだけが取り柄ですんで!」
ガン竜と共に、埋まった娘に目をやる。
「うぅ! うっ! うぅぅっ!!」
うん、まぁ、思いのほか元気にじたばたしてるから大丈夫なんだろうとは思ったけど、笑いごとで済むんだ、これ。ならユウ王の部下はスカートの着用を義務付けておけば、今頃色々と素晴らしい光景が繰り広げられていただろうに残念ではあるが、しかし、スカートにはスカートの、ズボンにはズボンの良さがあることを知っている身としては、義務付けまでしてしまうのは如何なものかと、てか本当に助けなくて大丈夫?
などと思っていると
「ちっ―父上!!」
コウが地面から顔を引っこ抜きつつ、喚いた。
顔が真っ赤である。
はたして怒りなのか、窒息のためなのか計りかねるが。
「いきなり何をするのですが! 私だったからいいようなものの―」
などと詰め寄る娘の両肩をがっしりと掴み、そのセリフを閉ざすガン竜。
「聞くが、自分が納得のいくまで話をするのと、遠路を駆けて来た主の疲れを癒すの、どちらを優先するべきだ?」
うぅっ、っと言葉に詰まるコウ。
「どっちだ?」
「…主です」
「ならすべきことは?」
「馬と、荷物を、お預かり、すること、です…」
「よし、しろ」
「…はっ!」
なるほど…扱い方といい、さすが父親、というところなのだろう。
その顔はちっともガン竜に似ていないが…いや、俺的には喜ばしいことなんですけどね? 顔はともかく、その接し方には、有無を言わさぬ厳しさ、というよりは娘のことを分かっているからこそ余計な手間をかけさせない親心のようなものを感じた。
「さって。こんなところでいつまでも立ち話ってわけにもいかんでしょう。風呂にでも浸かって旅の疲れを落としたら、腹ごしらえでもしながらにしましょうや」
ま、確認したり話したいこともあるけれど、この場の流れを仕切るためにも、その提案に乗ることにしよう。
「ユウ様!」
「コウ、馬と荷物をよろしく」
「はっ…命にかえても!」
「代えんでいい、代えんで」
荷物と馬を預けていると、歌姫様と目が会う。
「あの、ユウ…王?」
「姫に王ってつけられるのはなんかむず痒い」
「えっと、じゃぁ…」
「ユウ、でどうぞ」
「…いいの?」
「もしくは、ユウ様の方がいい?」
「ヤダ」
デスヨネ。
「…ユウ」
「ん?」
「…ごめん」
「承知」
いいながら、姫の頭に手を…先程よりは軽く置く。
「じゃぁ、謝罪はここまでで…お風呂から戻ったら、泣き止んでるってできる?」
「…がんばる」
そういった歌姫に手を振りながら王宮へと向かい、ひとまず鈴星へと無事に到着となったのだった。
お読みいただきありがとうございます。
前書きや後書きで喋り(書き)過ぎるとろくなことにならないということをようやく最近理解しつつあるようなないような感じなので、さっと次回予告。
次回、あのキャラが脱ぐ!
楽しみにしてはいけない!




