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ユウ王戦記 ~三妃 七竜 十三宝 を揃えて異世界で王になるまで~  作者: しいか
第3章 メガロポリス分裂編

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戦記69「疑問と、約束と、」

 アップしたいアップしたいと思っていても、アップアップで死体みたいになっている時はできないものです。

 そんな時は心の平穏を保つため、毎日アップなんて『コボち〇ん』じゃなきゃ無理だよ! って思うと、気休めになります。

 その段階を過ぎると、週刊誌よりは早いペースでアップできてるじゃないか! と現実から目をそらし始め、今回みたいに一週間過ぎてしまうような時は、まだ『HUNTER〇HUNTER』に比べればペースがいい方だと考えるようにしているボクですおひさしぶりですいってみよう。

戦記69「疑問と、約束と、」


「お話中ーのところ申し訳ありませんが、そこそこ急ぎの用事でして」


 戦争終結直後こそ酷かったイン竜の傷も、連日のユウとの励みのおかげか、今はすっかり塞がっている。

 そんなイン竜にジト目を送るユウ。


「…鍵、かけてなかった?」


 そういえば、と歌姫がここが密室だったことを思い出した矢先、イン竜はにーっと笑いながら、


「私とユー王様の仲じゃないですか」


 部屋の合鍵を懐から取り出した。


「没収!」


 ユウは早かった。


「拒否!」


 しかし、イン竜はなお早かった。

 手を伸ばし合鍵を格納しようとしたユウに対し、鍵を飲み込むことで抵抗するイン竜。

 裏に従事している人間だからなのか、それともイン竜だからなのか、その様子にはまるで躊躇がなく、任意に吐き出せる技術を持っていることは想像に難くない。


「さぁ、この状態でも格納できるものならどうぞー」


 解説されたわけではないが、イン竜はユウの様子から『手に触れた物質』でなければ格納できないことを理解している。

 つまり、人体に飲み込まれた鍵だけを取ることなど不可能であることを知っている。

 そして、物質ではなく『生き物』であるイン竜を格納することもユウにはできない。 


「吐け!」

「そんな特殊な性ー癖がおありで?」

「ない!」

「どうしてもっていうなら、無理やり吐かせてみてもいいですよ?」

「そんなことしようもんなら、暴行だのなんだのと喚くつもりだろう」

「そんなに私のこと理解してくれてるなんて、嬉しいですねー」


 満面の笑みのイン竜に対し、打つ手のないユウ。


「くそ! 汚い! いろんな意味で汚い!」

「やだなー。仕事柄汚いに決まってるじゃないですかー。それとも汚い女はお嫌いで?」

「いや、それはそれでいいと思う」


 言った瞬間、歌姫の白鳥がユウの後頭部に突撃したのは言うまでもないことだろう。


「せめて、何か言ってから放ってくれない?」

「嫌よ。避けるつもりでしょ」


 いやいや避けませんよ、このうそつき、と二人が会話を広げる中に割って入るイン竜。


(―っと、思いの外急用なのか)


 てっきり対応の催促だと思ったユウだったが、しかしイン竜の目的はそうではなかった。

 イン竜はスゥっと目を細めると、尋ねた。


「ところで、節操のないユー王様は、婚約者の妹と鍵をかけて二人っきりで、何をしてたんですかねぇ?」


 口調こそ変わらないが、そこからユウが感じたのは『警戒』と『忠告』。


「別にどうということはない世間話ですよ?」


 イン竜がここで『警戒』と『忠告』を行わねばならない理由も事情も分かるユウは、そう軽く流した。

 が、追求は終わらなかった。


「って、ユ―王はいってますけど、歌姫様、本当のところはなんのお話でしょーか?」

「どうしてイン竜に言わないといけないの?」

「もちろん心配だからですよ。何せこのユー王様ってばですね―」

「だから、なんで姉様の竜にいちいちあたしの話をしないといけないの?」


 姫がその言葉を放った途端、一瞬ではあるが、ユウはイン竜に対して思わず身構えるほどの緊張を覚えた。

 それは、戦争の始まる前、夜の宿で感じた、舞姫への忠義心からくる殺気のようなもの。

 ただし、笑顔は崩れていない。

 その顔のまま、イン竜は問う。


「姫様の名誉のためにも、要らぬ疑いは少ない方がいいかなーと」

「その『姫様』ってのは、アタシじゃなくて姉様のことでしょ?」


 その返しに、イン竜はあえて応えず、笑顔のままで再度問う。


「で? ボウさんから聞いた限り、かなり長い間滞在されてるみたいですが?」

「だったらなに?」

「本当ーに何も…例えば、神楽月の外聞が悪くなるようなことは特にないんですね?」


(―そんなに疑いたいなら、好きに疑えばいいじゃない!)


 とでも叫び、姫は部屋から飛び出したかもしれない。戦争前の、または今日この部屋に来る前の姫なら。


(―でも、まぁ…これが仕事なのよね、たぶん)


 と、今は思うことができるようになった。

 裏で仕事をするからこそ、人には裏があることを、人には裏ができてしまうことを知っているから、そういう発言にもなるのだろう。

 ユウと男女の中になってないか、

 結託して王位簒奪を考えてないか、

 何か悪い虫からユウを垂らし込むよう仕込まれてないか、

 今日、歌姫がユウのことを考えたのと同じように様々な可能性や理由をイン竜も考えており、しかし歌姫のそれと違うのは、疑うだけで信頼はしていないこと。


(―たぶん、イン竜も格納とか覚醒とかについて知ってるんだろうけど)


 それが聞いた上でか、調べた上でのことかはわからないが、ユウ自身もイン竜に能力を隠している様子はみられない。

 なら、別に素直に明かしたところであまり変わりはないのだろう…

 そしてその方がイン竜は納得するのだろう…

 なら、


「しょーがない、本当のこと教えてあげる」


 と…そう前置きし、姫はユウの顔を見ながら、


「ながーい、世間話だったわよね?」


 そして、笑って見せた。

 予想の中になかった姫の対応に、イン竜は少し言葉を飲み込みながら、聞いた。


「…本当に世間話だけですか?」

「勿論それ以外にも話してますよ? 何せ密室に二人きりですからね?」

「それはそーとーよからぬことっぽいですね」

「ほんとその通ーり。なんの用事が知らないけど、アンタが勝手に城の合鍵作ってくれてて助かったわイン竜。ありがとう」


 怒鳴るでも、飛び出すでも、真実をぶちまけるでもなく、笑顔を見せつつ切り返した歌姫のそれに、イン竜は両手を上げて降参を示して見せた。

 すでに、ユウの感じた殺気は微塵もない。


「姫様相手に失礼いたしました…御咎めは?」

「ユウの部屋の鍵のことなら、姉様には黙っててあげる。まさか『姉様の部屋の鍵』まではもってないだろうし…そうよねぇ?」

「えぇー、もちろんです」

「そうよね? 私達が世間話してるぐらい当たり前のことよね? なら、この話はここまでにしましょうか。お互い痛くもない腹を探られるのは不愉快だろうし、そもそも何か用事があってきたんでしょ?」


 ユウはそのまとめに小さく笑い、その笑いはイン竜のプライドを大層傷つけたのか、夜の激しい打ち合わせで仕返しされるのことになるのだが、それはまた別の話である。


「では本題です。ユー王様にお客様です」

「俺に?」

「はい。舞姫様と共にお待ちしておりますので、急ぎお越し頂けますか?」

「わかった、すぐ行く。姫、申し訳ないのだけど世間話の続きは」

「はいはい、また今度でしょ?」

「助かる」

「では、私はこれでー」


 と、立ち去ろうとしたイン竜に、歌姫が声をかける。


「待ってイン竜。そのお客様って、アタシも同席して大丈夫?」


 おや…と一瞬顔に出したものの、すぐにその表情を改めるイン竜。


「もちろんです。ただ、本当に同席するだけになるかもしれませんよ?」

「同席、っていってるんだから、それに何か問題ある?」

「いいえ、何も。では、お二人でいらっしゃると伝えておきますねー」


 そしてイン竜が外に出る…前に僅かに振り返り、


「そーそー、これは余計なお節介ですが、どこで誰が聞いてるかわかりませんので、世間話は物音がしなくなってからすることをお勧めします」


 そして言い終えるやパタンと扉を閉じ、おまけにカチャリ、と鍵まで締めた上に、わざとカツカツと足音が出るように廊下を歩き、去っていった。


「…今の何?」

「聞かないでおいてやるから、話があるなら今のうちにまとめろ、だってさ」


 苦笑いを浮かべるユウに、「じゃぁ最後に一つだけ」と前置きし、姫は尋ねた。


「なんで覚醒とか、大事な話教えてくれるきになったの?」

「…神鳥の音についてでなくて?」

「その話は今度ちゃんと聞かせて、今聞きたいのは、それ。で、なんで?」

「なんでといわれても、姫がちゃんと約束してくれたから教えても大丈夫かなって判断したのだけど…」

「そーじゃなくて、なんで大事な話をしてもいい枠に入れてくれたの? ってこと」


 警戒、期待、純粋、興味…いろいろ混じった表情で問う歌姫。


「アタシに教える意味があるんでしょ?」


 ユウはその理由を教えるか教えないか少々悩んだ末、


「格納の能力に関して、ポイントは気かもしれない、っていったでしょ? その実験を行ったりするのに姫の力を借りたい。そのためには能力を知ってもらっておいた方が話がスムーズだなと」


 偽ることなく話すことにし、


「姉様じゃなくてアタシに?」

「舞姫様にもお願いするだろうけど、『操る』ことに関しては姫様の方が上なんでしょ?」

「…それが理由?」

「正確には、それも理由」

「じゃぁ、他の理由は?」

「いろいろあるっちゃあるけど、ひっくるめていうと」

「いうと?」

「なんとなーく、想像してたより深い付き合いになるかもしれないなって思ったから」


 そう笑いながらいった。

 その『なんとなーく』が現実として目の前に現れるのは、もう少し…いや、もっと先になってから分かることだったのだが。

 お読みいただきありがとうございました。

 さて、このまま能力解説ばかりしていても仕方ないので、次回はお客様の登場…お待ちかね? の? 新? キャラ? です?

 なんと一挙に2キャラでてきますが、まぁうち片方は個人的にはオマケです。仮にどれだけ物語に今後関わることがあろうと、オマケです。

 イケメンユルスマジ。


 そんな感じで次回。

 次回はもうちょい早くアップできるといいな…せめて『ベルセル〇』には負けないぐらいガンバロウ…

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