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ユウ王戦記 ~三妃 七竜 十三宝 を揃えて異世界で王になるまで~  作者: しいか
第3章 メガロポリス分裂編

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戦記68「推測と、理由と、」

 なんだかんだで、いいコンビだなって思うんですよね、ユウ&歌姫。

戦記68「推測と、理由と、」


 爆弾の特徴を思い浮かべながら、あれこれ考えた末に出した歌姫の答えは、


「…自爆する?」

「ナニソレコワイ」


 自分の体が吹き飛ぶさまを想像しながら素直な感想を述べたユウに、恥ずかしいからなのか顔を赤くしながら言う姫。


「だって、爆弾って爆発するでしょ! だから爆発するかなって!」

「まぁ、その可能性は捨てきれないけど、今のところ自爆したことはないな…」

「じゃぁ正解は?」

「爆弾は、声が大きくなる」


 一瞬、言ってる意味が分からず硬直した歌姫に、ユウが改めて伝える。


「声が大きく聞こえる魔法っぽい何かが起きてるらしい」


 なお、他に似たようなものとして、例えば楽器で耳が良くなったり、双眼鏡で目が良くなる、などの事例もある。


「まぁ、声が大きくなる魔法に当たるより、身体能力強化の方が多いんだけどね」

「身体能力の強化と声が大きくなるのは違うの?」

「強化で声が大きくなってるんだとしたら、声を出すための器官…腹筋とか声帯とか肺活量が増えてるんだろうけど、そっちは変化がなくて、喋ってる時に魔法っぽい何かが発動するようになってたらしい」


 その検証に関しては、魔力の流れをみることができるボウが携わっている。

 そしてボウ曰く『魔法と似た何か別の力』であるらしい。


「ちなみに回復薬だけど、自然回復が早くなったり、毒に耐性ができたり、薬の効能が高くなったりする」

「回復と耐性は分かるけど、効能ってなに?」

「覚醒状態で回復薬を使うと、例えば安い回復薬でも高価なものより高い回復が見込めたりする」

「それって、自分の薬の効きが良くなるってこと?」

「というより、俺が使う薬は全般的に効果が高くなるから、他人に使っても同じように良く効くようになる」


 例えば、傷の治りが早くなったり、本来治らないはずの傷まで治したりなどである。

 ただし、あくまでユウが使う薬に関して効果が高くなるだけで、ユウが持っていた薬を誰かに渡した上で、その渡された人間が使ったとしたら、効果は元の薬分しか発揮されない。


「覚醒に使ってる回復薬とは別の回復薬を使うと…ってことであってる?」

「あってるあってる。だから、薬とか爆弾とかの消耗品は、だいたい二個以上格納するようにしてる」


 コトコト、と同じ形のビンに入った回復薬や爆弾を取り出すユウ。


「ま、今はこの前の戦争でかなり消耗したから全体的に品不足なんだけどね」

「何をどれだけしまってるか覚えてるの?」

「一個とか二個しかないようなものは記憶で覚えてるし、お金とかの数が多くなりがちなものはだいたい感覚でどれくらいあるってのは分かる」


 どんな職業でもいいが、慣れてくると手に持っただけで、この重さはだいたい何キロだとか、この厚さだとハガキ何枚分かわかるようになるのと似たようなものである。

 そして仮に、詳細な数字を忘れていたとしても、実際目にして手にしてみれば、どれぐらいの数だったかは思い出せるのも同じ。


「とくに今みたいにしまってる量が少ないと、数えやすいというか把握しやすいというか…」

「あぁ、物が少ない部屋の方がパッと見で分かりやすいってかんじ?」

「まぁ、目に見えるわけじゃないけど、そんな感じ」

「てことは格納できる量に限度ってあるの?」

「少しづつ限度も増えてるみたいだけど、一応ある」

「それ超えるとどうなるの?」

「車酔いとか船酔いとか、頭痛とか筋肉痛とか、そういったものが総動員されたような感じになる」


 限界を少し超えた程度ならそれらも軽く済むが、一度限度を極端に越えた時は気を失い、意識を取り戻した後ボウから聞いた話では、気を失った途端、おそらくは限界を超えた分のアイテムが、ユウから大量に溢れ出てきたという。


「で、目覚めたあとはスッキリ。あ、キモチワルイ、と思ってすぐ余計な分を出してもスッキリ」

「えーと、荷物を一杯持つと辛い、ってのと同じような感じなわけね?」

「そ。我慢すれば一杯持ち運べるけど辛いは辛い。そもそもが持てない以上の荷物は持とうとした瞬間潰れる」

「ちなみにその限度、ってのは何で決まるの? 重さ?」

「いや、正直それはよくわかってない…と思ってたんだけど、姫様達と会って、一つ仮説ができた」


 なんだと思う?

 というユウの顔に、姫は暫し答えを探してから、


「…気?」


 と答え、

 ユウは、正解、と頷いた。


「元々、ドラゴニアにいるときに実験した結果、種類でも、重量でも、個数でもないことはわかったんだけどね」


 その実験とは例えば、種類も重量も個数も固定した上で、気持ち悪くなるギリギリまで格納する。

 その状態から、同じ種類の回復薬でも、生産地や生産者の違う物に入れ替えて格納する。

 もし、種類や重量や個数で許容量が決まっているなら、このやり方で変化は生れない。

 が、結果は


「気持ち悪くなった?」

「逆に少し気分が回復したこともあった」

「てことは、元よりも多く格納できたっていうこと?」

「ご名答。といっても、1つ2つぐらいの差だったけどね」


 とはいえその実験の結果が示したのは、同種でも異体であれば覚醒の効果が違ったように、格納における判断基準も個別に行われており、それは重量や個数ではないということ。


「てなると、価値とかの概念的なものか、または魔力とも思ってたんだけど、今のところ道具ごとに宿ってる気の量の合計が、俺の許容量を超えない範囲、ってのが正解だろうなって考えてる」

「なんでそう思ったの?」

「一番の理由は、気を知らないはずの俺が、舞姫が驚くほどの気を持ってたり扱えた事」


 知らなかったとはいえ、格納の能力は日常的に使っていた。それが気に由来するものだったとしたら、そうとは知らずに訓練をしていたことになるし、少しづつ格納できる量が増えていたことにも納得できる。


「格納を繰り返すことで許容量が増えて、道具を取り出すことで出力を鍛えて、そして覚醒の能力で気による強化とか技術を使用していた…って感じじゃないかな、と」

「まぁ、確かに言われてみると似てるわね。道具か気かってだけで」


 そして歌姫がこの時点で納得したのであえてユウは言わなかったが、ロウ竜と初めて戦った際、ナナシを覚醒させて倒れた後、舞姫が行った『乱れていた気を治した』というのも、そう思う理由の一つである。

 その言葉が正しいとすれば、その時ユウは確かに気を使ったわけで、となれば思いつくのは覚醒の能力ぐらいしかない。

 そしてそうだとするならば、


「たぶん格納する時に、一度道具に宿っていた気が俺っていう入れ物に移される。で、再度取り出す時か覚醒を使った時に、俺に蓄えられてたところから使われる」


 道具という小さな入れ物があり、それには元々水が入っている。

 このままでは水が入っているせいで、重ねたりして置いておくことができない。

 そこで、その水をユウという大きな器に一度移しておき、入れ物だけ脇に重ねるなりする。

 そして、必要なときに器に水を入れて使うとか、または集めた水を別のことに使うなどする。

 こうすることで、入れ物は効果的にまとめられ、水は効率的に運用できる。


「で、覚醒の力を使うと倒れることが多いのはたぶん、この道具から預かった気を、自分で補填しなおさないといけないからなんだろうな」


 考えがあっているならば、ユウに蓄えられている気には、道具から預かっている…いうなれば借りている気が交じっている。それを使った分は、自分で返さなくてはならない。


「でも、それだとちょっとおかしくない? アンタ、あれだけバンバン鳥出しておいて、倒れてないじゃない」

「たぶん、そこが国宝たる神鳥の音の凄いところなんだと思う。で、その神鳥の音についてなんだけど」


 と、話題が移り変わるその前に、


「失礼します、ユー王様」


 イン竜がノックもなしに部屋へと入ってきた。

 お読み頂きありがとうございます。

 そろそろ見慣れた顔にも飽きてきたころ…新キャラがアップを始めました。

 一部、はりきらなくてもいいキャラまでアップしてますが、まぁ、それも大目に見ましょう。

 ユウさん、そろそろ着替えて出発のお時間ですよ。

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