戦記60「ユウ竜にまつわるエピローグ」
パジャマパーティー(違う)の続き。
薄闇の中寝間着の女子と二人きりでときめかない男子がおろうか?(反語)
ということで、みなさんはどんな寝間着が好きですか?(前回から再び)
ネグリジェ、
ガウン、
ジャージ、
ワイシャツ、
え? シャネルの5番?
シャネルの5番ですか?
どういうことですか?
寝具屋に売ってないですよ?
シャネルにいけばあるんですか?
どういうことかちょっとわからない作者に教えて下さいよ、そこのお姉さん(性別限定)
とかやると引かれることはあっても惹かれることはないと思うどころか場合によっては挽かれたり、轢かれたりすると思うので良い子も悪い子も女性に尋ねてはいけない。お兄さんとの約束だ。
あとこんなことを前書きに書いてる作者のことを引いてもいけない。お兄さんとの約束だ。英語でいうとプロミスだ。プゥロミィスみたいに発音するとちょっとそれっぽい。つまりアホっぽいっていう意味だからけしてやってはいけない。
さ、そろそろ何書いてるのかわけわかんなくなってきたので、エピローグの続きをどうぞ。
戦記60「ユウ竜にまつわるエピローグ」
ドラゴニアとそれに関する周辺国の情勢を聞き終えたところで、部屋には奇妙な沈黙があった。
その沈黙の理由は、一時的に避けてはみたものの、やはりユウ竜にとっては触れることを抑えられない人物達について。
「…キョウ王様は?」
「…竜姫様が亡骸を灰にし、ドラゴニアの上空から撒いたそうです。キョウ王様本人の遺言に従い、国葬は無し。歴代の王墓には名前だけが記されました」
「王の愛刀は?」
「『竜一文字』は使い手を募りつつ、現れるまでは国宝として管理されるそうです」
魔剣、妖刀、聖剣、聖具、そういう類のモノは大抵相性がある。
割と誰にでも持つことを許すモノもあれば、徹底的に人を選ぶモノもある。
その中でいえば竜一文字は、持つだけなら持てるが、真価を発揮するには人を選ぶという少々癖のある刀である。今しばらくは保管される可能性が高いだろう。
「ちなみに剣姫様ですが」
ユウ竜が反応を示すのを見て、筆姫が申し訳な下げに眉を下げる。
「国境付近まで、キョウ王御付の女性達と逃げたそうですが、その後は行方不明だそうです」
「行方不明?」
「はい。死体の確認はされておりません。しかし、生存情報も今のところありません」
「剣姫様だけでなく、他の方々も?」
「はい。一人として」
ペンシルグラードだけでなく、ドラゴニアも追っているはずだ。そしてゴウ竜が王となったのなら、竜姫の千里眼で探しだしてもらっていてもおかしくない。が…
「ドラゴニアがすでに捕えているということは?」
「確証はありませんが、そういう雰囲気ではなかったと」
上手く隠れたと思うべきか、それとももっと思いもよらない何かに巻き込まれたと思うべきか…
(―いや、剣姫様がそうやすやすとどうこうなるわけがないな)
そう半ば無理やり結論付け、気持ちを切り替えるユウ竜。
「…お強いというか、ドライというか」
ユウ竜に対する筆姫の評価を聞き流しながら、ユウ竜は話題を変える。
「知っていたらでいいんだけど」
「直属の部下の皆さんなら、ほとんどが逃げ出せたみたいですよ」
ユウ竜が言い終えるよりも早く、的確に答える筆姫。
「ドラゴニア側から聞かれたそうですよ。元ユウ竜の直属の部下達が根こそぎ消えたのは、ペンシルグラードがかくまったからじゃないかって」
「それはなんというか…ご迷惑をおかけいたしました?」
「まぁ、タイミングがよい時期の訪問でしたからね。実際知らなかったので、何も問題なく済んだようですが」
「で、その後の情報は?」
「わたくしには分かりませんが、『訓練通りに』といいながら逃げていったとだけ聞きましたが」
それを聞いて、思わず吹き出すユウ竜。
「避難訓練のおかげか」
「避難訓練…ですか?」
「そ、自身でも火事でも戦争でも、とにかく分断されるような何かがあったら、そう行動しろっていうマニュアルの作成とその実践訓練。まぁ実際に使うのは初めてだったけど」
そのマニュアルに従って、ユウ竜の直属の部下…ボウのような面々もドラゴニアを逃げ出した。
それならばマニュアルに従い、いくつかの都市に逃げ延びたのち、いずれ合流できる。
「その手の訓練は形骸化するのが一般的ですが、優秀な皆さんなのですね」
「優秀というよりは生き汚いだけですけどね。雇い主に似て」
「なら、ますます心配いりませんね」
この合併の話が終わったら自ら探しに行くか、または落ち着いた部下達から連絡があるだろう…と心の中でまとめているうちに、ランプの灯が消えた。
油を差そうかとユウ竜が腰を上げる。
が、筆姫はユウ竜の袖を掴むと、そのまま二人でベッドに腰掛けた。
徐々に薄明りに目が慣れていっていたせいか、窓の隙間から僅かに入り込む光程度でも気にならない。
気分を変える…か何か意味があるのかもしれない、とユウ竜は筆姫に誘われたまま、話を続けることにした。
「それで、他の国は?」
「正直なところ正確には掴めていません」
二人は声のボリュームをさらに絞り、息が交じるような小声で…その声が聞こえるぐらいに距離を詰めて会話を続けた。
「ドラゴニアに迎合しようという国もあれば敵対しようという国も、様子見や中立もあります」
「おおよそ考えるうる全ての状況があるってことね」
「はい。そしてそれは、ドラゴニアに関してだけでなく、神楽月…正確には、鈴星と合併したあとの新生神楽月…とでも申しておきましょう。その国に関してもです」
ユウ竜が筆姫の顔を見る。
「夜伽の物語のもう一つは、こうです」
その顔は珍しく微笑んでおらず、かといって調印の時のような事務的なそれでもなく、血の通った真顔。
「ドラゴニアという強国から野に出た竜が王をめざし、二つの国を手玉に取りまとめあげ、強国への一歩を踏み出した」
勿論それは、ユウ竜のこと。
「はたしてその王は、欲望赴くまま戦を繰り広げる蛮勇か、戦を終わらせる英雄か、手を取り合える友人か、巻き込まれただけの愚者か、裏でドラゴニアと繋がったままの人形か…」
「俺への印象と考えが、各国の態度になってるわけね」
「はい。ですから…これからユウ様は、いくつもの争いに巻き込まれるでしょう」
まるで予言者のように…
または物語の行く末を知っている読者のように…
淀みのない声で言葉を紡ぐ筆姫。
「そんなユウ様がすべきことがあります」
まるで預言者のように…
まるで物語の行く末を願う読者のように…
「今こそ、誠の王を目指してください」
そう、力のある声で言葉を紡いだ。
「確証がないため詳細は省きますが、今、大陸は妙な筋書きに捕らわれ始めています」
「大陸…ということは、西側も?」
「はい。いくつかの国の体制が変わり、争いの火種が散見しています。それ自体は歴史レベルの視点から言えば常といえば常ですが、あまりにも奇妙な符号を感じます」
筆姫は言う。
まるで脚本のように、
後に来る必然の為に偶然を装っているかのようだと。
まるで小説のように、
後に来る何かのための伏線を張られているようだと。
「集まってくる情報にも、集まってくる書状にも、何かの意図を感じてならないのです。それが何を指しているのか、残念ながらわたくしにも分かりません。ただ分かることは、壮大な物語の裏には、必ず多くの犠牲者がいるということだけ」
一万ページに及ぶ大作を成すには、四百万もの文字が消費されるように、
四百万もの文字を構築するためには、その何十倍もの時間を消費していくように、
歴史の裏には轢死のごとく消えゆくモノがある。
「ペンシルグラードは大国とは名ばかりの小国です。小国故にできることもありますが、大国でなければできないことも多々あります。西側今しばらくの間わたくしが押さえます。だからわたくしとペンシルグラードが大国を演じられる間に…ユウ様も、舞台にお立ち下さい。そして可能な限り、東側に安定を」
そして筆姫はダメ押しとばかりに、
「アナタでなければ救えない人たちが、この後必ず現れるのですから」
そう言い切ってから、微笑んだ。
「…買いかぶりだと思うんだけどねぇ」
初めて筆姫と会った日…合同会議の一件で、筆姫との謁見が許された後の事を思い出しながら言うユウ竜。
「あら。これでもわたくし、文字を見る目は確かですよ?」
同じく、謁見の日を思い出しながら返す筆姫。
その日ユウ竜は場を荒らした『罰』として筆姫から奇怪な…当時は意味の分からない『罰』を受けた。
それは『執筆』。
反省文…ともまた違う。
随筆、小説、エッセイ、散文…どういう形式かは問わず、テーマに沿って執筆させた。
ユウ竜に与えられたテーマは『筆姫』について。筆姫について思うこと、感じたこと、利用したいこと、知っていること、ありとあらゆるものを書いてみろ、という罰。
「個人的に仲良くしたいと思ったのも確かですが…あの時も先日ボウ様に届けられた手紙にも、ユウ様の文字は、王になった方と同じものを感じました」
それは筆姫が持つ特殊な力。
相手の文字から相手の人柄や性格といったものを見抜く、超感覚的な能力。
選んだ文字、言葉の運び、筆圧や筆跡といった様々なものから、相手の人となりを感じ取る力。
その力で筆姫は、見てきた。
ペンシルグラードが保有する大量の書状…そこから大量の偉人、傑物、王侯貴族を。
そういったもの達と照らし合わせたうえで、ユウ竜を『将来ペンシルグラードに益をもたらす者』と判断し、以後騎士団にその判断を徹底させた。
「人より女性が好きすぎるのは難点かなと思いますけどね?」
クスクスと人をからかうようなその笑いに、溜息をつくユウ竜。
そんなユウ竜に、どういう意図があるのか、ぴっとりと体を寄せる筆姫。
「…で、そんな女性が好きすぎる人の部屋に一人深夜にやってきて、しかもこんなことして、どういうおつもりで?」
「んー、どういうおつもりだと思いますか?」
「夜伽でしょ?」
「はい、最初にそういいましたね。ただ、どういう意味かを決めたのはユウ様でしたけど」
本心を図る目で筆姫を見るユウ竜。
しかしまったく揺るぐことのない筆姫。
二人の体温が布越しにうっすらと混じる頃、暗闇に乗じて手を動かしてみたユウ竜の手をそっと止める筆姫。
「嫌で?」
「嫌だったらこんなことしてませんよ?」
「じゃぁなんで?」
「そういう夜伽…じゃないからじゃないですか?」
くすくすと笑う筆姫に対し、頭をかくユウ竜。
「…選択肢間違えたかなぁ」
「さぁどうでしょう? それは後になってからじゃないと分からないかもしれないですね」
立ち上がり、筆姫がドアへと近づく。
「おやすみなさい、ユウ様」
「おやすみなさいませ、筆姫様」
そして筆姫はカチャリと半分だけドアを開き、
「あぁ、今回の報酬ですけど」
筆姫を神楽月へと『半ば個人的に』呼びつけた御礼のことを差し、
「前回はもしわたくしが『ユウ様のクラスメイトで、雪山で遭難したら』でしたから…今回は、もしわたくしが『別の意味で夜伽をしていたら』を自筆で書いて提出してくださいね。明日の朝までに」
「…明日の朝までに?」
「はい、明日の朝までに。楽しみに待ってますからね。では改めておやすみなさいユウ様」
そういって筆姫は部屋から退出していった。
そしてユウ竜は筆姫が退出理由に気が付き、窓を開けて空を見た。
「…おやすみも何も、寝れねーじゃねーかよ」
扉に向かって不平を漏らすと、朝日が昇るまでの残り三時間余りを執筆に費やすこととなったのだった。
むろん、その執筆の後は日中行うべきあれこれが待ち構えている。
自分の睡眠時間が絶望的になくなったことを知ったユウ竜は、憤りを執筆に昇華すべく、紙とペンを取り机に向かった。
「くそ! あーして、こーして、しかもここをこうしてやる!!」
なお、怒りと欲情にかまけてユウ竜が書き上げたモノはたいそいう筆姫に気に入られ、『ユウ竜の筆姫様陵辱シリーズ』ランキング第七位に位置づけたことが、後の資料でみつかったそうだが、歴史からは抹消されたことをここに記録しておく。
なお『物語の前には、作家の睡眠時間という犠牲があるのだ』というユウ竜の言葉は、一部の作家たちの間で脈々と受け継がれていくことになったことも記録しておく。
お読みいただきありがとうございます。
筆姫に喋らせたいあまり、エピローグが長引きましたが、まもなく2章も終わりです。
3章はまた別の地域でのお話。
新章にむけて新しいキャラがアップしはじめておりますが、その前にダウンするキャラもおりますので、もう少々2章にお付き合い頂ければ幸いです。




