↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽閉王子と魔剣の国~魔剣に溺愛されたぼくは誰も殺さず伝説の王になる~  作者: キマモリニコ
第1章 箱入り王子は仲間をつくる~魔剣と出会うまで~
7/72

第7話 天罰級の武器



「それ、ほんとに食う気か……やめとけよ」


オービスが横のテーブルから、心配そうに止める。紅玉みたいな真っ赤な髪に、濃い緑の目が鮮やかだ。


ラキに、

「忙しいからあっち行ってて」

と雑に扱われたセイルが戻ってきた。


蜂蜜みたいな金茶の頭をかきながら、それでもまだラキを目で追ってる。


二人のこと、ちょっと気になってた。

セイルが戻ってきてよかった。


「食べるよ! ここ数日、カラムにパンを取られ続けて具のない塩スープしか飲んでない。

次に先生に踏まれたら立ち上がれないよ!」


カラムにぶつかってガラスの粉まみれになったパンを払って食べようとしたら、横から出てきた手にさっと取られた。


「ふーん、今日は丸ごととは豪勢《ごうせい》じゃないか。誕生日かな、王子様? ほら、おれのと交換してやる。ありがたく食いな」


「カラム!!」

 

セイルとオービス、ラキが立ち上がって怒ってくれた。


でも、カラムは躊躇なくパンに齧りつく。


「うわっなんだこれ、ガラス!?もしかしてさっき、おれにぶつかったのこれか!?」 


なんかガリッと聞こえた。ガラスの欠片でちょっと歯が欠けたのかもしれない。


……どうしよう。

謝った方がいいのかな、これ。


と言いつつ、ご厚意でいただいたパンは急いで食べちゃったから返せないぞ!


呆気にとられてるとセイルが、


「つぎにリュテのパンを取ったら、ラキのパンで死ぬほど殴るからな!」


と、完全に鈍器《どんき》扱いしながらカラムの胸ぐらをつかんだ。


「やめてよ、私が作ったパン武器扱いするの!まずいみたいじゃない!」


セイル……。

そういうとこかもしれないよ。


カラムは舌打ちして、唾とガラス片を吐いてパンを床に叩きつけ、食堂を出ていった。


木の床がへこんで削れたのは見逃さない。

……なんて凶悪なパンなんだ。


でも、ぼくは長年空気扱いされてきた。

空気になりきって、見なかったことにしよう。


ラキは少し涙目になってぷるぷるしてる。


お願いだ、セイル。これ以上はやめてあげて。


「やっぱり食わなくてよかったな。カラムのやつ、天罰が当たったんだ!」


「わぁあん!! セイルのバカぁあ!!」


ああ!やっぱり!

ラキが泣きながら部屋に走り去ってしまった。


「え、なんでだ!?俺いま、完全にかっこいい人の流れだったよな!?」


「ええ!?う、うん、ありがとうセイル。なんでだろうね……」


天罰級に指定された武器は、後でぼくがこっそり持ち帰った。

  

あれは乾燥してて日持ちするし腹持ちもいい。


今日は普通に夕食を完食できたけど、いつまた飢えるかもわからない。いざというときの非常食にするのだ。


_____


みんなと話しながらの食事は、とても楽しかった。 今まで話したことなかったけど、皆いい人そうだ。


ぼくは自室に戻ると、ベッドに飛び乗った。


楽しかった!!

 

「セイル! オービス! ベネディクタス!」


意味もなく名を口にしてみる。


ぼくに、友達ができた―――――!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。