第7話 天罰級の武器
「それ、ほんとに食う気か……やめとけよ」
オービスが横のテーブルから、心配そうに止める。紅玉みたいな真っ赤な髪に、濃い緑の目が鮮やかだ。
ラキに、
「忙しいからあっち行ってて」
と雑に扱われたセイルが戻ってきた。
蜂蜜みたいな金茶の頭をかきながら、それでもまだラキを目で追ってる。
二人のこと、ちょっと気になってた。
セイルが戻ってきてよかった。
「食べるよ! ここ数日、カラムにパンを取られ続けて具のない塩スープしか飲んでない。
次に先生に踏まれたら立ち上がれないよ!」
カラムにぶつかってガラスの粉まみれになったパンを払って食べようとしたら、横から出てきた手にさっと取られた。
「ふーん、今日は丸ごととは豪勢じゃないか。誕生日かな、王子様? ほら、おれのと交換してやる。ありがたく食いな」
「カラム!!」
セイルとオービス、ラキが立ち上がって怒ってくれた。
でも、カラムは躊躇なくパンに齧りつく。
「うわっなんだこれ、ガラス!?もしかしてさっき、おれにぶつかったのこれか!?」
なんかガリッと聞こえた。ガラスの欠片でちょっと歯が欠けたのかもしれない。
……どうしよう。
謝った方がいいのかな、これ。
と言いつつ、ご厚意でいただいたパンは急いで食べちゃったから返せないぞ!
呆気にとられてるとセイルが、
「つぎにリュテのパンを取ったら、ラキのパンで死ぬほど殴るからな!」
と、完全に鈍器扱いしながらカラムの胸ぐらをつかんだ。
「やめてよ、私が作ったパン武器扱いするの!まずいみたいじゃない!」
セイル……。
そういうとこかもしれないよ。
カラムは舌打ちして、唾とガラス片を吐いてパンを床に叩きつけ、食堂を出ていった。
木の床がへこんで削れたのは見逃さない。
……なんて凶悪なパンなんだ。
でも、ぼくは長年空気扱いされてきた。
空気になりきって、見なかったことにしよう。
ラキは少し涙目になってぷるぷるしてる。
お願いだ、セイル。これ以上はやめてあげて。
「やっぱり食わなくてよかったな。カラムのやつ、天罰が当たったんだ!」
「わぁあん!! セイルのバカぁあ!!」
ああ!やっぱり!
ラキが泣きながら部屋に走り去ってしまった。
「え、なんでだ!?俺いま、完全にかっこいい人の流れだったよな!?」
「ええ!?う、うん、ありがとうセイル。なんでだろうね……」
天罰級に指定された武器は、後でぼくがこっそり持ち帰った。
あれは乾燥してて日持ちするし腹持ちもいい。
今日は普通に夕食を完食できたけど、いつまた飢えるかもわからない。いざというときの非常食にするのだ。
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みんなと話しながらの食事は、とても楽しかった。 今まで話したことなかったけど、皆いい人そうだ。
ぼくは自室に戻ると、ベッドに飛び乗った。
楽しかった!!
「セイル! オービス! ベネディクタス!」
意味もなく名を口にしてみる。
ぼくに、友達ができた―――――!




