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幽閉王子と魔剣の国~魔剣に溺愛されたぼくは誰も殺さず伝説の王になる~  作者: キマモリニコ
第1章 箱入り王子は仲間をつくる~魔剣と出会うまで~
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第6話 仲間との夕食



 ラキの夕食仕込みの手伝いを終え、ぼくはみんなと同じ食卓についた。


 いつもは先生とラキと同じ小さな食卓で、ラキがいないときなんかは、先生と二人きりで無言で食べてた。


 先生がいるときは、カラムにパンを取られないから、それはそれでありがたいんだけどね。


『渡した本を読んだか確かめる』って、突然クイズが始まるから落ち着いて食べられないんだよ。


 ……クイズが大好きなのに、顔が怖くてみんなに相手してもらえないのかも。



 でも!

 ここに来て五年になるけど、みんなと食事するなんてはじめてだ! 


 うれしい!


 セイルがメインの大きな食卓で、修道院の仲間と役職を教えてくれた。


「オービスはみんなの兄貴的な存在だ。優しいけど怒らすと怖いから気をつけろよ?」


「おまえが一番気をつけろよ?」

 

 うん。オービスは、ぼくが何度やってもダメだった鋼鎧蛇《ロリーカ》を力技でぶったぎったパワー系の人だ。絶対に怒らせてはいけない。


 セイルは蜂蜜みたいな金茶の目と髪のいたずらっ子。オービスは赤い髪の大男。


 関係性でいうとオービスは、セイルのつっこみとブレーキ担当っぽい。


「ミスリルは科学者で魔術師。訓練での魔法サポートで会ってるよな?」


 ミスリルは長い紅茶色の髪に、眼鏡をかけた青年。目が合うと会釈をしてくれた。

 ぼくが訓練で気絶した時、先生の邪魔にならない絶妙な角度から水をかけてくれる人です。


「で、水色髪のイケメンが、刀匠のエギル……あれ?」


 紹介中なのにエギルは立ち上がり、パンとスープ皿をもって、どこかに行ってしまった。


 前王派の子息なら、王子のぼくに恨みをぶつけたい人だっているのかも。 

 しかたないけど、あまり感じはよくない。


「エギルは王族嫌いなんだ。リュテとは関係なくて、王家に恋人を取られたっぽい!

 気にすんな。おまえがいい奴だってわかれば、向こうからグイグイくるって!」


「……うん、ありがとう」


 

 セイルは話しながら、隣のテーブルで後片付けするラキの方をチラチラ意識して落ち着かない。


 エギルが立ったあとに別の修道士が座ったのも気にせず、ラキを手伝いに行ってしまった。


 セイルの気持ちは常にダダ漏れみたいだ。


 修道院のみんなは、セイルをやんちゃな末っ子のように温かく見守っている。


 うん。ラキは可愛いから、大好きになっちゃうのはわかるよ。

 

 でも、ふたりを見るとなんかちょっと、胸がザワザワするな。



 ぼくの正面に座った人は、灰色の修道士服《ハビット》を着た他の修道騎士とはちがい、着古した焦げ茶色の粗末な服を着たおじさん。


「ええと、あなたは……?」

「ベネディクタス!」


 目が合うと、ベネディクタスは、


「お目にかかれて光栄です、我が主《あるじ》」


と微笑んだ。


 

 主はまずい! 

 謀反《むほん》を疑われてしまう!

 知らない人なのに、とっさに口をふさいじゃったよ。


 だって、先生に聞かれたら殺される。

 修道院で問題が起きたら、先生の落ち度になってしまうから。


 ……たまにいるんだ。ぼくを担ぎ上げて前の王家を再建しようとする人。


 そういう人は、いつも先生に見つかって、いなくなっちゃうけど。 

 

 嫌なんだ。

 ぼくのせいで、人が巻き添えになるのは。


 だから、極力人と関わらず、話さないように気をつけてきた。


 ベネディクタスが前王過激派なら厄介だけど、話しかけられたら無視できない。


 幽閉歴が長いから、人に話しかけられると嬉しくて反応しちゃうんだ。

 

 ……まあ。

 今日は監視のカラムも寝てるからいいか。


 彼は窓辺で熟睡してる。窓が壊れたから蚊に刺され放題で、ちょっと可哀相。



「よろしくね。ベネディクタスは、みんなと服がちがうけど、なんで?」


「私は騎士でなく、あなたのお世話をするために使わされた者です。困ったことがあればなんなりとお申し付けください」


 修道院の新しい世話係かな。


 ……くらいに、この時は思ってた。



 ぼくは、まだ知らなかったんだ。


 ベネディクタスとの出会いが国の根幹を揺るがし、ぼくの命を脅かす大災難を招くなんて。


            *



 今日も地下から声がしてる。

 

「……我は埃まみれで泣き暮らしているというのに、いいご身分ですな、あるじぃぃいい!!

 我は嫉妬で狂い死にしそうです……っ!」


 ……とうとう泣き出しちゃった。


 地下牢に閉じ込めた院長のこと、めっちゃ恨んでるみたいだね?



☆次回、ついにあの男に天罰……?


 

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