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ナンバーズ  作者: アル治


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第6話  救済

いつも読んでいただきありがとうございます。

巨大な施設だった。


白い壁。


白い床。


白い服を着た人々。


誰もが笑顔だった。


誰もが穏やかだった。


誰もが幸せそうだった。


「初めての方ですか?」


若い女性が優しく声を掛けてくる。


「はい」


無は素直に答えた。


「ようこそ、救済の家へ」


女性は嬉しそうに笑った。


「代表様のお話を聞きに?」


「たぶん」


「たぶん?」


「よく分からない」


無が答えると、女性は優しく微笑んだ。


「大丈夫ですよ」


「分からなくても大丈夫です」


「代表様は誰でも受け入れてくださいます」


施設の中は静かだった。


怒鳴り声もない。


争う者もいない。


誰もが親切だった。


落ち込んでいる人には声を掛け。


泣いている人には寄り添い。


笑顔で手を差し伸べる。


理想的な光景。


そのはずだった。


「皆さん幸せそうだな」


無が呟く。


「はい!」


女性は嬉しそうに頷く。


「代表様のおかげです!」


「皆さん救われたんです!」


「私もそうでした!」


女性は涙を浮かべていた。


「父が亡くなって」


「仕事もなくなって」


「生きている意味も分からなくて」


「でも代表様が救ってくれたんです」


「だから今は幸せです!」


嘘ではない。


無にもそれは分かった。


女性は本当に感謝している。


本当に幸せそうだった。


「そうか」


無は小さく頷く。


「良かったな」


女性は嬉しそうに笑った。


「はい!」


その時だった。


「素晴らしい」


優しい男の声。


振り向く。


テレビで見た男。


白い服。


穏やかな笑顔。


人々は一斉に頭を下げた。


「代表様!」


男は笑顔のまま近付いてくる。


「頭を上げてください」


「皆さんは家族です」


誰もが感動していた。


涙を流す者もいる。


男は1人1人に声を掛けていく。


優しく。


穏やかに。


愛するように。


やがて男の視線が止まる。


無だった。


「おや」


男は微笑む。


「初めての方ですね」


「はい」


「悩み事でも?」


「分からない」


男は目を細める。


「分からない?」


「昔のことも」


「感情も」


「よく分からない」


男は優しく笑った。


「大丈夫です」


「信じてください」


「必ず救われます」


その瞬間。


無の視界が止まった。


男の首筋。


『2』


黒い数字。


そして。


男の背後。


無数の人間が見えた。


泣いている者。


笑っている者。


祈る者。


感謝する者。


そして。


全員。


目が死んでいた。


「……」


無は黙っていた。


男は笑顔を崩さない。


「どうしました?」


無は静かに数字を見つめる。


「No.2」


男は首を傾げた。


「No.2?」


本気で分からない顔だった。


「何の話でしょう」


そして。


男の笑顔が少し深くなる。


「ですが」


「貴方は特別な方のようですね」


「歓迎します」


男は右手を差し出した。


「私は皆を救いたいだけなのです」


無はその手を見つめる。


胸の奥がざわつく。


その感情の名前を。


まだ無は知らなかった。

今後もよろしくお願い致します。

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