表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナンバーズ  作者: アル治


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/55

第51話  因果応報

いつも読んでいただきありがとうございます。

無が言葉を放つと、いつものように世界が静止した。

風は止み、人の気配は消え、駐車場はゆっくりと姿を変えていく。

2人が立っていたのは、一面に机と書類が並ぶオフィスだった。

しかし、どこか異様だった。

天井も壁もなく、空一面には無数の数式が浮かんでいる。

だが、その答えはどれも間違っていた。

1+2=6

8-3=12

5×5=3

原因と結果が、すべて食い違っていた。

無は空を見上げる。

無 「答えが……違う。」

岩佐は平然と答えた。

岩佐 「違わない。」

「これが私の答えだ。」

無 「間違えてる。」

岩佐 「何が?」

「私はずっとこうしてきた。」

「問題なんて1度も起きていない。」

「私は出世した。」

「評価もされている。」

「だから、この答えは合っている。」

無は静かに岩佐を見る。

無 「自分の答え。」

岩佐 「私が出来ない仕事を部下に任せる。」

「何が悪い?」

「しかも部下だ。」

「仕事を任せるのも上司の仕事だ。」

無 「お前の仕事。」

岩佐 「私は他にも仕事がある。」

「私は誰よりも仕事を抱えている。」

無 「時間は。」

岩佐は一瞬だけ言葉を止めた。

岩佐 「十分ではない。」

「だが、短いわけでもない。」

無 「出来るのか。」

岩佐 「……わ、私なら出来る。」

無 「なぜ。」

「やらない。」

岩佐は少し苛立ったように声を強める。

岩佐 「だから!」

「私には他にも仕事があるんだ!」

無 「部下。」

「仕事ある。」

岩佐 「それは……。」

「私の方が仕事が多い。」

「少しくらい増えても、部下なら出来る。」

無は首を横に振る。

無 「同じ。」

岩佐は大きく首を振った。

岩佐 「違う!」

「結果を出せればいい!」

「結果を出した私が評価される!」

「部下に仕事を振って、それをまとめて提出した。」

「それが私の成果だ!」

「過程なんて関係ない!」

無は静かに言う。

無 「違う。」

「結果。」

「原因。」

岩佐は叫んだ。

岩佐 「同じだ!」

「提出したのは私だ!」

「私の仕事だ!」

無は1歩近付く。

無 「お前。」

「やったのか。」

岩佐の言葉が止まる。

無はさらに続けた。

無 「部下が作った。」

「お前が評価された。」

「原因。」

「結果。」

「逆。」

岩佐は何も答えられない。

無 「努力と結果。」

「お前にはない。」

「成立しない。」

その瞬間。

首筋の12が大きくひび割れた。

空一面に浮かんでいた数式が、1つ、また1つと正しい答えへ変わっていく。

1+2=3

8-3=5

5×5=25

世界そのものが、本来あるべき因果へ戻っていく。

岩佐は光に包まれながら、それでも首を振った。

岩佐 「私は悪くない……。」

「部下なんだ。」

「仕事を振るのも上司の仕事だ。」

無は何も言わず、岩佐を見つめていた。

岩佐は苦しそうに呟く。

岩佐 「私は間違ってない。」

「ずっとこうしてきた。」

「間違っているなら……。」

「誰かが止めたはずだ。」

「私は……。」

「間違ってない……。」

その言葉を最後に、岩佐の姿は光と共に消えていった。

静寂だけが残る。

無はゆっくりと空を見上げる。

無 「因果。」

「原因が。」

「結果になる。」

「逆は。」

「成立しない。」

世界が元に戻る。

車が走り、人々が歩き始める。

翌日――。

会社では朝からざわついていた。

奥村 「岩佐課長……無断欠勤だって。」

川口 「そうなんですか。」

少し間を置き、苦笑いを浮かべる。

川口 「……いいんじゃないですか。」

「いない方が、仕事ははかどりますよ。」

奥村も小さく笑った。

奥村 「そうだな。」

「次の課長が、まともな人だといいな。」

川口 「さすがに、連続では来ないでしょう。」

2人は顔を見合わせ、小さく笑った。

その笑顔を見届けるように、朝日が静かに会社を照らしていた。

今後もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ