第47話 No.11 感情
いつも読んでいただきありがとうございます。
マスターがテーブルの客へ、クリームソーダを運ぶ。
マスター 「いつもありがとうございます。」
無はすっかりクリームソーダの虜になっていた。
気付けば今日も喫茶店へ足を運んでいる。
窓際の席に座り、ストローをくわえながら小さく呟く。
無 「法律……。」
「一番曖昧なものなのかも。」
マスターは優しく微笑む。
マスター 「核心を突いてますね。」
「法律は、人が作ったものですから。」
無 「難しい……。」
「正しいのか。」
「間違っているのか。」
その時、店内のテレビからニュースが流れた。
キャスター 「行方不明となっていたアメリカ行き国際線について、新たな情報です。」
「海上で機体の一部が発見されました。」
「墜落した可能性が高いと見られています。」
「乗客四百二十名の安否は、現在も確認されておりません。」
無はテレビを見つめる。
画面には、空港で泣き崩れる家族や、不安そうに空を見上げる人々が映し出されていた。
無 「事故……。」
マスター 「痛ましいね……。」
店内に重たい空気が流れる。
その静けさを破るように、奥のテーブルから声が聞こえた。
男 「……死んでるな。」
友達 「おい、そんな言い方ないだろ。」
男 「仕方ないだろ。」
「俺が悲しんでも何も変わらない。」
友達 「それでも、何とも思わないのか?」
男 「思わない。」
「逆に何を思う?」
友達 「可哀想とか……悲しいとか。」
男は少し肩をすくめる。
男 「俺がそう思ったところで、助かるわけじゃない。」
「だったら考えるだけ無駄だ。」
友達 「もし乗ってたのがお前の知り合いだったら?」
男は少し考え、首を横に振る。
男 「分からない。」
「乗ってないから。」
「今考えても意味がない。」
「だから、何も思わない。」
友達 「冷たい奴だな……。」
「本当に人間か?」
男 「人間だよ。」
「ただ、感じないだけ。」
無は静かに二人を見つめる。
男が立ち上がった瞬間、首筋に黒い数字が浮かび上がった。
11。
男は無の視線に気付き、不思議そうに笑う。
男 「どうかしました?」
「俺のこと見てましたよね。」
無 「別に。」
男 「そうですか。」
「何か言いたいことでもあるのかと思いました。」
無 「人。」
「それぞれだ。」
男 「そう。」
「人それぞれだ。」
2人は会計を済ませ、店を出ようとする。
無はクリームソーダを一口飲み、静かに立ち上がった。
そして、小さく呟く。
無 「No.11。」
男が振り返る。
男 「……え?」
無は男を真っ直ぐ見つめる。
無 「No.11。」
今後もよろしくお願いいたします。




