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ナンバーズ  作者: アル治


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41/49

第41話  No.9

いつも読んでいただきありがとうございます。

歩きながら考えていた。


忘却。


忘れなければ前に進めないこともある。


無はNo.8を思い出していた。


忘れなければ生きていけない者もいる。


だが――


無 「忘れなきゃいけない」


「ずっと覚えているのは」


「辛い……」


考えながら歩いていると、大きな交差点に辿り着いた。


信号待ちをしている人々の中、1人の女性が花束を抱えて歩いてくる。


綺麗な顔立ちをしていた。


だが目の周りは赤く腫れ、充血している。


何日も泣き続けたような顔だった。


女性は交差点の片隅に花束を置くと、その場にしゃがみ込んだ。


そして。


「ごめんなさい……」


「謝るから……」


「帰ってきてよ……」


「私が悪かった……」


声を上げて泣き始めた。


通行人は気まずそうに通り過ぎていく。


無だけが、その姿を見ていた。


やがて女性が顔を上げる。


無と目が合った。


女性は少し困ったように笑う。


誰かに話さなければ耐えられなかったのかもしれない。


女性 「いつもケンカしてたの……」


「私が素直になれなくて……」


「こんな事になるなら……」


「もっと話しておけば良かった……」


「昨日まで笑ってたのに……」


無 「泣いている」


「なぜ」


女性は少し驚いた後、涙を拭った。


女性 「彼氏が友達と一緒に事故に遭って……」


「彼氏だけ死んじゃったの……」


「ちゃんと好きって言ってない……」


「これからずっと一緒に居ると思ってたのに……」


女性は再び泣き出した。


無は何も言わない。


何を言えばいいのか分からなかった。


ただ、その場を離れることも出来なかった。


――翌日。


無は再び交差点を訪れた。


女性はまた来ていた。


花束を置き。


手を合わせ。


泣いていた。


翌日も。


その翌日も。


変わらず。


無 「まだ」


「泣いている」


女性 「涙が止まらないの……」


「言っちゃダメだと思うけど……」


女性は震える声で続けた。


女性 「友達の方が死んでいてくれれば……」


「凍矢は助かったかもしれない……」


無は答えられなかった。


女性 「ごめん……」


「酷いこと言ってるのは分かってる……」


「でも……」


「それくらい好きだったの……」


「照れてないで本音で話せば良かった……」


「凍矢に会いたいよ……」


「声が聞きたい……」


「抱き締めて欲しいよ……」


無 「愛」


女性 「……うん」


「愛してた」


「凍矢がいい」


「凍矢じゃなきゃダメなの……」


無 「友達は」


女性 「知らない……」


「会ったこともないし……」


「凍矢が運転してたから……」


「凍矢の親も少し大変だったの……」


無 「そうか」


女性 「死んだのが凍矢だったから、大きくは揉めなかったんだけど……」


女性は拳を握り締める。


女性 「私は……」


「私は!」


「逆が良かった!」


言った瞬間。


女性は顔を覆い、声を殺して泣いた。


無 「愛」


「間違えない」


女性の涙は止まらなかった。


だが。


その言葉だけは否定出来なかった。

今後もよろしくお願いいたします。

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