第36話No.7
いつも読んでいただきありがとうございます。
No.7と認識した。
しかし、分かるのは「陸」という名前だけ。
住んでいる場所も、仕事も何も分からない。
1度しか会っていない相手を探す方法は、1つしかなかった。
会った場所で待つこと。
何日待ったのか、無にも分からない。
無は空を見上げ、小さく呟く。
「気付かれていた。」
「だから逃げた。」
少し間を置き、首を横に振る。
「……違った。」
前に聞いたような言い合いが耳に入る。
男性 「なんでダメなんだ?」
「好きなら近くにいたいじゃん。」
女性 「その気持ちは分かるよ。」
「でも、近くにいることと、それは違うでしょ?」
無はゆっくり振り返る。
「来た。」
逃げてはいなかった。
前とは違う女性。
しかし、話している内容はほとんど同じだった。
青年の首筋には、黒い『7』。
間違いない。
陸。
隣にいる女性――悠美も困り果てた表情を浮かべていた。
陸 「悠美は俺のこと好きでしょ?」
悠美 「好きだよ。」
「でも、体を許すこととは別でしょ。」
陸 「好きだから体を許すんじゃないの?」
「好きでもない人とする方がおかしいよ。」
悠美はため息をつく。
「そういうことじゃないの。」
「好きな人と色んな場所へ行って、色んな話をして、思い出を作る。」
「私は、そういう時間も大切にしたい。」
「でも陸は、それしか考えてない。」
陸 「言ってくれれば行くよ。」
悠美 「行っても結局、そのためなんでしょ?」
陸 「それも思い出じゃん。」
悠美は悲しそうに笑う。
「そうかもしれない。」
「でも陸は、結局それが目的なんだよ。」
「私は、そんな付き合い嫌。」
「そういう子と付き合って。」
「……さよなら。」
悠美は歩き出した。
陸は慌てて追い掛けようとする。
その前に、無が立ちはだかった。
陸 「なんだ、お前。」
無 「No.7。」
陸 「No.7?」
「タバコか?」
「なんの話だ?」
その瞬間。
陸の首筋の『7』が大きく脈打つ。
太陽が止まる。
公園から人々が消えた。
景色が歪み、2人はいつの間にか一室に立っていた。
豪華なベッド。
煌びやかな照明。
多めの鏡。
そこは、カップルズホテルだった。
無は辺りを見回す。
「派手。」
陸は得意げに笑う。
「特別な場所だからな。」
「特別な人と結ばれる場所だ。」
「お前にはまだ早いか。」
無は陸を見つめる。
「No.7。」
「性欲。」
陸は肩をすくめる。
「そんな言い方するなよ。」
「好きなら当然だろ?」
「手を繋ぐ。」
「抱き締める。」
「キスする。」
「ひとつになる。」
「全部、好きだからだ。」
「何が悪い?」
無は少しだけ考える。
ふと、小さく呟いた。
「No.3……。」
陸 「なんだ?」
無 「愛。」
「知っている。」
「だが……。」
「判らない。」
陸は笑った。
「子供にはまだ早いな。」
勝ち誇ったような笑みが、部屋に響いた。
今後もよろしくお願いいたします。




