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ナンバーズ  作者: アル治


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27/42

第27話  No.5

いつも読んでいただきありがとうございます。

寂しい。

愛。

悲しい。

感情とは、なんなのか。

無には、まだ分からなかった。

電車に揺られながら考えているうちに、見知らぬ駅へ着いていた。

無は何となく電車を降りる。

そこは高層ビルが立ち並ぶビジネス街。

忙しそうに人々が足早に行き交う。

誰もが時間に追われるように歩いていた。

その中で、1人だけ流れに逆らう男がいた。

我が物顔でゆっくり歩き、人が追い抜こうとしても道を譲ろうとしない。

後ろから舌打ちが聞こえても気にも留めない。

男の隣では、1人の部下が愛想笑いを浮かべながら歩いていた。

上司は大きな声で話し始める。

「まったく、あいつは駄目だな。」

「仕事も出来ない。」

「言われたことすら満足に出来ない。」

部下は苦笑いを浮かべる。

「そ、そうですね……。」

上司は満足そうに笑った。

「だろ?」

「なんであんな奴を俺の部署に入れたんだ。」

「嫌がらせかって話だ。」

部下は曖昧に頷く。

「俺が面倒を見る羽目になるんだ。」

「まったく、会社も見る目がない。」

上司は豪快に笑った。

「あははは!」

忙しく歩く人々の中、その笑い声だけが異様に響く。

無は黙ってその男を見つめていた。

上司が無に気付く。

「なんだ、お前。」

「さっきから何を見てる?」

無は静かに答えた。

「別に。」

上司は鼻で笑う。

「最近の若い奴は。」

「礼儀ってものを知らない。」

そう言い残し、部下を引き連れて去って行く。

無は、その後ろ姿を見つめていた。

男の首筋。

そこに、黒く薄い数字が浮かんでいた。

『5』。

しかし、まだ輪郭は曖昧だった。

無は小さく呟く。

「……違うかも。」

影なのか。

数字なのか。

まだ確信は持てない。

翌日。

同じ時間。

無は再びビジネス街を訪れた。

昨日と同じ場所で立ち止まり、人の流れを眺める。

しばらくすると、聞き覚えのある大声が近付いてきた。

「まったく!」

「飯を食ってる暇があるなら働けって話だ!」

昨日と変わらない。

同じ声。

同じ歩き方。

同じように部下へ文句を言い続けている。

男が無に気付く。

「お前……。」

「昨日もいたな。」

「何見てる?」

無は静かに答える。

「何も。」

上司は鼻を鳴らした。

「変な奴だ。」

そのまま歩き去って行く。

無は首筋へ視線を向けた。

昨日よりも。

黒く。

濃く。

はっきりと刻まれた数字。

『5』。

無は静かに呟いた。

「No.5。」

今後もよろしくお願いいたします。

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