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ナンバーズ  作者: アル治


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21/29

第21話  好きなのに

いつも読んでいただきありがとうございます。

花畑、青空。

暖かな風。

誰も怒っていない。

誰も争っていない。

誰も嫉妬してない。

麗奈が願った世界。

航平も達也も湊も笑っている。

みんな幸せ。

そのはずだった。

「ママ!」

少女が駆け寄ってくる。

「どうしたの?」

麗奈は笑って答えた。

「泣いてるよ?」

「え?」

少女は不思議そうに首を傾げる。

「ママ」

「涙出てるよ」

麗奈は頬に触れる。

涙が流れていた。

「泣いてないよ♪」

少女は後ろを指差した。

「男の人達も」

振り返る。

航平も達也も湊も、

みんな笑っている。

それなのに。

泣いているように見えた。

「そ、それは……」

言葉が出ない。

無が隣に立つ。

「好きなんだろ」

「うん」

「みんな」

「うん」

「好きなの」

迷いなく答える。

無は少しだけ考えた。

そして聞く。

「幸せか」

「え?」

「お前は」

「幸せか」

麗奈は答えようとした。

幸せ。

そう。

幸せなはずだった。

みんな好き。

みんな笑っている。

誰も独りじゃない。

それなのに。

なぜだろう。

胸が痛い。

「私は……」

言葉が出ない。

無は続ける。

「航平は」

「幸せか」

振り返る。

笑っているが

泣いているよう。

「達也は」

振り返る。

笑っているが

泣いているよう。

「幸せか」

『3』

黒い数字にひびが入る。

麗奈が震える。

「好きなの……」

『3』

ひびが広がる。

「みんな好きなの……」

「うん」

「愛してるの……」

「うん」

「なのに……」

声が震える。

「どうして……」

「どうして幸せじゃないの……」

『3』

砕ける。

理の世界が止まった。

花畑が崩れる。

青空が割れる。

笑顔が光になって消えていく。

麗奈が膝をつく。

「違う……」

「こんなはずじゃ……」

「私は……」

「みんなを幸せに……」

最後まで言えなかった。

無は静かに見下ろした。

何も否定しない。

何も責めない。

ただ。

「それは成立しない」

小さく呟く。

「好きだったんだな」

麗奈の瞳から涙が零れる。

「うん……」

初めて。

心から。

笑った。

「好きだった……」

光が舞う。

花が散る。

そして。

『No.3』

消滅する。

無は1人残された。

「愛か」

知らない感情だった。

けれど。

少しだけ。

胸が痛かった。


今後もよろしくお願いいたします。

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