第20話 みんなの幸せ
いつも読んでいただきありがとうございます。
「パパは誰なの?」
少女は笑っていた。
悪意は全く無い。
知りたいだけ。
「みんなパパだよ♪」
麗奈は笑った。
しかし。
その笑顔は少し硬かった。
「変なの!」
少女は笑う。
「パパは1人だよ!」
「そうか」
無は少女を見る。
「1人か」
「うん!」
「航平パパ?」
「達也パパ?」
「湊パパ?」
「誰なの?ここに居ないの?」
「……」
答えられない。
その時。
「麗奈」
航平が呼んだ。
優しい笑顔。
「今日は達也のところに行くの?」
「え?」
「昨日は俺の所だったし」
「今日は達也の所だろ?」
笑顔。
優しい声。
しかし。
その目は笑っていなかった。
「……」
「そうだよね?」
麗奈の肩が震える。
「う、うん♪」
「そうか」
笑顔だった。
「よかった」
でも。
悲しそうだった。
『3』
数字が脈打つ。
「麗奈ちゃん!」
達也が話し掛けてくる。
「今日、一緒にご飯食べよう!」
「昨日、航平さんと一緒だったんでしょ?」
「今日は僕の所だよね?」
笑顔。
優しい声。
しかし。
「だよね?」
その奥に。
不安。
寂しさ。
恐怖。
が見える。
「うん♪」
「もちろん!」
「やったー!」
達也は笑う。
しかし。
その笑顔も。
少しだけ。
泣きそうだった。
「……」
無は空を見上げた。
青空。
花畑。
笑顔。
「変だ」
「え?」
麗奈が振り返る。
「みんな」
「笑っている」
「うん♪」
「でも」
「悲しそうだ」
『3』
数字が大きく脈打つ。
「そんなことないよ♪」
「みんな幸せ」
「うん」
「幸せなの」
「うん」
「だから」
「悲しくない」
「うん」
「泣いてない」
「うん」
「……」
無は静かに麗奈を見る。
「泣いている」
「え?」
「お前も」
「航平も」
「達也も」
「泣いている」
「違う!」
初めて。
麗奈が叫んだ。
「違う!」
「みんな幸せなの!」
「みんな笑ってる!」
「だから!」
「だから……」
麗奈が泣きながら、
「だから……」
「泣いてない……」
少女が不思議そうに見上げる。
「ママ?」
「どうして泣いてるの?」
『3』
黒い数字。
大きく、大きく。
脈打った。
続く
今後もよろしくお願いいたします。




