第19話 愛の形
いつも読んでいただきありがとうございます。
風、夕日が止まる。
音が消える。
世界が静止している。
「好きって」
「そんなに駄目なの?」
麗奈は泣いていた。
それなのに。
笑っていた。
「……」
無は周囲を見渡す。
駅前ではない。
見渡す限り青空。
綺麗な花畑。
暖かい風が吹いている。
遠くには。
子供達が笑っている。
犬が走りまわる。
恋人達が寄り添っている。
老人夫婦が手を繋ぎ笑っている。
「平和だ」
「うん♪」
麗奈も笑った。
「幸せな場所なの」
「そうか」
「私の大好きな世界♪」
振り返ると。
そこに居たのは。
航平。
「麗奈」
優しい笑顔。
「おかえり」
「うん♪」
そして。
達也。
「麗奈ちゃん!」
嬉しそうな顔。
「待ってたよ!」
「ただいま♪」
2人は笑う。
そして。
知らない男も。
「麗奈!」
「もう、遅いよ!」
「ごめんごめん♪」
また笑顔。
誰も怒らない。
誰も嫉妬しない。
誰も泣かない。
「みんな仲良しだな」
「うん♪」
「みんな優しいの!」
「そうか」
「幸せ?」
「うん!」
「幸せ♪」
その時。
小さな女の子が走ってくる。
「ママー!」
「ん?」
「私のパパって誰なの?」
静寂。
麗奈の笑顔が止まる。
「え?」
少女は首を傾げる。
「航平パパ?」
「達也パパ?」
「湊パパ?」
「どのパパ?」
「……」
麗奈の瞳が揺れる。
「みんな」
「全員パパだよ♪」
少女は笑う。
「変なの!」
「1人しかいないよ?パパは!」
『3』
黒い数字。
小さく脈打つ。
「……」
「そうか」
無は少女を見る。
「パパは1人か」
「うん!」
「ママって変なの!」
無は麗奈を見る。
「変か?」
「え?」
「分からない」
「でも」
「困っている」
「……」
「泣きそうだ」
麗奈は少女を抱きしめた。
「大丈夫♪」
「大丈夫だから……心配しないで」
しかし。
その声は。
震えていた。
見渡す限り青空。
綺麗な花畑。
みんな笑顔。
幸せそうに見える。
それなのに。
『3』
数字は。
静かに。
脈打っていた。
今後もよろしくお願いいたします。




