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ナンバーズ  作者: アル治


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2/9

第2話  理の世界

読んでいただきありがとうございます。

「何の話でしょう」

男は笑っていた。

首が折れたまま。

あり得ない方向へ曲がったまま。

それでも表情は穏やかだった。

まるで世間話でもしているように。

無は答えない。

ただ男を見ていた。

首筋に浮かぶ黒い数字。

『1』

その数字が気になった。

なぜか知っている。

なぜか理解できる。

だが理由は分からない。

「失礼ですが」

男は首を傾げる。

折れた首が嫌な音を立てた。

「貴方は普通ではありませんね」

無は周囲を見回した。

商店街は消えていた。

人もいない。

店もない。

夕陽だけが空を赤く染めている。

まるで世界から人間だけが消えたようだった。

「ここは何だ」

男は少し考える。

そして困ったように笑った。

「さあ」

「私にも分かりません」

「気付けば、こうなるのです」

その答えに嘘はなかった。

無にはそう感じられた。

男自身も理解していない。

それなのに利用している。

「人を殺す時はいつもこうです」

男はそう言った。

「最初は事故でした」

穏やかな口調。

まるで昔話でも語るように。

「腹が立ったのです」

「それで殺しました」

「すると不思議なことに、少しだけ楽になった」

男は笑う。

「ですから続けています」

無は黙って聞いていた。

「仕事で嫌なことがあった時」

「上司に怒られた時」

「理不尽な目に遭った時」

「誰かを殺すと落ち着くのです」

男は本当にそう思っているらしかった。

「ですから他人の命は、私を落ち着かせるためにある」

無は男を見た。

そして初めて口を開く。

「違う」

男の笑顔が少しだけ止まった。

「違う?」

「それは成立していない」

無自身も気付いていた。

声が違う。

頭の中が妙に澄んでいる。

先ほどまで感じていた曖昧さが消えていた。

男は笑う。

「何を根拠に?」

無は静かに答えた。

「落ち着いていない」

「だから続けている」

男の笑顔が固まる。

「……」

「落ち着くなら、一度で終わる」

「2度目はいらない」

「3度目もいらない」

「お前は何人殺した」

男は答えない。

「満たされていないから続けている」

「だから成立していない」

世界が静まり返る。

男の首筋。

数字が微かに脈打った。

『1』

男は眉をひそめる。

「何だ……?」

初めてだった。

男の顔から余裕が消えたのは。

「何ですか……これは」

首筋を触る。

だが数字は消えない。

無は静かに見つめていた。

その時だった。

男の背後に黒い影が現れる。

人の形をした無数の影。

老人。

女。

学生。

子供。

全員の首に傷があった。

男が殺した者たちだった。

「――――」

男の笑顔が消える。

無は理解した。

ここからだ。

No.1との本当の戦いは。

続く…

今後もよろしくお願い致します。

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