第14話 No.3
いつも読んでいただきありがとうございます。
夕暮れ時。
駅前、人混みの中
信号待ち。
無はぼんやり空を見ていた。
「……寂しい」
よく分からない。
だが。
胸の奥が少し重かった。
「お腹空いた」
たぶん。
別の感情だ。
その時だった。
ドン。
「あっ!」
明るい声。
「ご、ごめんなさい!」
女だった。
20歳くらいに見える。
長い黒髪。
大きな瞳。
白いワンピース。
どこか清純そうな少女。
人を騙すことなんて出来なそうに見える。
「大丈夫か」
「はい!」
少女は笑顔になる。
「優しいですね♪」
「そうか」
「ふふっ」
楽しそうだった。
「あの!」
「お詫びに何か奢らせてください!」
「いらない」
「えぇ!?」
少女は本気でショックを受けていた。
「こういう時って!」
「普通、ご飯とか行きません!?」
「行かない」
「うぅ……」
「嫌われた……」
「嫌ってない」
「本当ですか!?」
「うん」
少女は満面の笑みになる。
「良かったぁ♪」
その時。
「麗奈!」
男が走ってきた。
20代半ば。
優しそうな青年。
「ごめんね!」
「待った?」
「全然♪」
「この人とぶつかっちゃって!」
男は無に頭を下げた。
「すみません」
「彼女、ドジなんですよ」
「そうか」
「そうなんです♪」
3人で少し笑う。
「じゃあ行こっか」
「うん♪」
二人は手を繋いで去っていった。
幸せそうだった。
「……」
無は見送る。
翌日。
スーパーに居た時に。
「あっ!」
「昨日のお兄さん♪」
麗奈だった。
隣には昨日と同じ男。
仲が良さそうだった。
「こんにちは」
男も笑顔で頭を下げる。
「こんにちは」
「うん」
その時。
♪♪
スマートフォンが鳴った。
「あ、ごめんね♪」
「友達!」
「出ていいよ」
彼氏は笑顔だった。
「ありがとう♪」
麗奈は少し離れる。
「もしもし?」
「うん♪」
「私も会いたい!」
「日曜日?」
「もちろん♪」
「楽しみにしてるね!」
とても嬉しそうだった。
「じゃあね♪」
通話を終える。
「女友達?」
彼氏が聞く。
「うん♪」
「高校の時の友達!」
「そっか」
彼氏は疑わない。
「仲良いんだね」
「うん!」
麗奈は笑う。
その時。
スマホをポケットにしまおうとして。
待ち受けが見えた。
知らない男とのツーショット。
昨日から一緒にいる男ではない。
「……?」
無だけが見る。
「友達」
「うん♪」
「そうか」
『3』
黒い数字。
麗奈の首筋。
静かに脈打つ。
「No.3」
「え?」
「何それ?」
「面白い人だね♪」
夕陽の中。
少女は笑う。
「私ね」
「恋って大好きなの♪」
『3』
黒い数字が。
静かに。
脈打っていた。
今後もよろしくお願い致します。




