第13話 信じる者
いつも読んでいただきありがとうございます。
「そうか」
「寂しかったか」
無の言葉。
No.2は泣いていた。
子供のように。
ずっと我慢していた子供のように。
「はい……」
「寂しかったんです」
「怖かった」
「1人が凄く嫌だった」
「皆を救えば」
「私も救われると思ったんだ」
男は泣きながら笑った。
「馬鹿ですよね」
「代表なのに…」
「教祖なのに…」
「私が一番」
「救われたがっていたなんて……」
『2』
ひび割れた数字。
周囲の景色が揺らぐ。
笑顔の人々。
家族。
子供達。
老人。
母親。
全員笑っていた。
そして。
全員泣いていた。
No.2はその姿を見て。
初めて。
目を逸らさなかった。
少女がいた。
「代表様!」
「幸せですよ!」
泣きながら。
笑っていた。
母親もいた。
「ありがとうございます」
「娘を愛してくださって」
「でも…返して……」
「娘を返してください!」
涙を流していた。
老人も。
若者も。
みんな、
感謝はしていた。
でも、
苦しんでいる。
No.2は震えていた。
「違う……」
「違う!違う!」
「私は…」
「皆を苦しめたかったんじゃない!」
「私は……」
「救いたかっただけなんです……」
無は静かに見ていた。
怒らない。
責めない。
否定しない。
見ていた。
No.2は涙を流す。
「無さん」
「私は」
「皆を救えていましたか?」
無は少し考える。
「分からない」
「……」
「でも」
「泣いている」
「うん」
「お前も」
「皆も」
No.2は目を閉じた。
そして。
小さく笑った。
「そうですね」
「泣いていますね」
「私は」
「見ないふりをしていました」
『2』
亀裂が広がる。
「信じれば救われる」
「そう信じていました」
「でも」
「違った」
「信じることは」
「苦しみを消すことじゃない」
「1人にならないことだった」
男は泣きながら笑った。
「私は」
「救われていたんですね」
「皆に」
少女。
老人。
若者。
母親。
大勢の人々。
「ありがとう」
No.2は深く頭を下げる。
「ありがとうございました」
『2』
大きな音。
数字が砕ける。
その瞬間。
無が静かに口を開いた。
「それは成立しない」
No.2が顔を上げる。
無は男を見る。
「お前の理は」
「信じれば救われる」
「違う」
「お前は」
「救われていなかった」
「皆も」
「救われていなかった」
「だから」
「成立しない」
No.2は涙を流す。
しかし。
その顔は。
穏やかだった。
「はい」
「そうですね」
「成立しませんでした」
男は微笑む。
「ですが」
「信じてよかった」
「皆に会えて」
「本当に幸せでした」
光。
暖かな光。
少女が笑う。
母親が笑う。
老人が笑う。
No.2も笑う。
そして。
全てが。
空へ溶けていった。
静寂。
無だけが残る。
「……」
胸の奥。
温かい。
そして。
少しだけ。
寂しい。
「これが」
「寂しいか」
初めて知った感情。
その時。
頭の奥に。
知らない声。
『三』
『愛』
激しい頭痛。
そして。
遠く。
誰かの笑い声。
明るく。
優しく。
人を疑うことを知らない。
1人の少女。
その首筋で。
『3』
が静かに脈打っていた。
今後もよろしくお願い致します。




