第12話 救われた者
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第十二話 救われた者
「なぜ泣いている」
静寂のなか、
暖かな風が吹く。
青空に笑顔。
幸せな家族。
その中心で。
No.2の笑顔だけが止まっていた。
「違います!」
男は微笑む。
「皆、幸せなんです!」
「そうか」
無は頷く。
「うん」
そして。
少女に問いかける。
「幸せか」
少女は笑う。
「幸せだよ!」
涙を流しながら。
『2』
数字に小さな亀裂が走る。
No.2は目を見開く。
「違う」
「違う!」
男は少女の元へ駆け寄る。
「悲しいことなどありません!」
「君は救われた!」
「1人じゃないんだ!」
「家族がいる!」
少女は笑う。
「うん!」
「代表様のおかげで家族が増えたよ!」
「私は幸せです!」
泣きながら。
「でもね…お母さんに会いたい」
No.2の動きが止まる。
「……え?」
「でも…」
「代表様が悲しむからね」
「帰らないの」
「皆が悲しむし」
「我慢することにした」
「良い子だから」
少女は笑う。
「家族だもん!」
『2』
ピキッ!
「違う!」
No.2が叫ぶ。
「そんなつもりじゃない!」
「私は!…」
「私は君を苦しめる為に!」
「連れてきたんじゃない!」
少女は笑う。
「苦しくないよ!」
「幸せだよ!」
涙を流しながら。
「代表様が喜んでくれるから!」
No.2の顔から血の気が引いた。
周囲を見る。
老人。
若者。
母親。
子供。
全員。
笑顔。
なのに涙を流していた。
「代表様!」
「幸せです!」
「ありがとうございます!」
「救われました!」
「代表様!」
「代表様!」
「代表様!」
その声が。
いつしか。
悲鳴のように聞こえる。
男は震えた。
「違う……」
「私は…私は…」
「こんなものを」
「作りたかったんじゃない……」
「私は」
「皆を」
「救いたかっただけなのに……」
無は静かに見ていた。
怒らない。
責めない。
ただ。
No.2を見る。
男は震えている。
「無さん……」
「私は」
「間違っていましたか……?」
無は少し考える。
「分からない」
「……」
「でも」
No.2が顔を上げる。
「皆」
「悲しそうだ」
「……っ!」
「お前も」
「悲しそうだ」
『2』
大きな亀裂。
No.2の瞳から涙が零れる。
「私は……」
「救われたかった……」
「1人が嫌だった……」
「皆を救えば」
「私も救われると思った……」
男は泣き崩れる。
「寂しかった……」
「怖かった……」
「1人になりたくなかった……」
そして。
「助けてほしかった……」
『2』
パキッ。
大きく砕ける音。
完全には壊れない。
無は静かにNo.2を見ている。
初めて。
ほんの少しだけ。
優しい顔をした。
「そうか」
「寂しかったか」
No.2は。
子供のように泣きながら。
小さく頷いた。
今後もよろしくお願い致します。




