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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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216話 家康と謙信 ― 二人の会談

場所は信濃国の寺。

春の雨が静かに降っていた。

広い座敷。

そこに向かい合って座る二人。

東国を代表する二人の武将。

徳川家康

上杉謙信

互いに兵は遠くに下がらせている。

本当に二人だけの会談だった。

しばらく沈黙。

先に口を開いたのは謙信だった。

「久しいな」

家康は軽く頭を下げる。

「久しく」

雨音だけが聞こえる。

謙信が言う。

「信長の話を聞いた」

家康の目がわずかに動く。

織田信長

その名だけで空気が変わる。

家康は答える。

「聞きました」

謙信は続けた。

「戦を終わらせる」

家康は頷く。

「そのようです」

謙信の心の声。

(本気だ)

謙信は家康を見る。

「どう思う」

家康は少し考えた。

そして言った。

「難しい」

謙信は笑う。

「正直だ」

家康は続ける。

「理はある」

「だが」

「人がついて来るか」

謙信は静かに頷いた。

「その通り」

謙信の心の声。

(この男)

(よく見ている)

謙信は言う。

「武士は戦で生きる」

「それが無くなる」

家康は答える。

「武士が余る」

沈黙。

雨音。

謙信は庭を見る。

(だが)

謙信の心の奥で別の思いがある。

(それでも)

謙信は言う。

「戦は」

「終わるべきだ」

家康の目が少し動く。

謙信の声は静かだった。

「民は疲れている」

その言葉には重みがあった。

何十年も戦ってきた男の言葉。

家康は思う。

(この人は)

(本当に義の人だ)

家康は言う。

「では」

「信長に従いますか」

謙信はすぐには答えなかった。

しばらくして言う。

「従わぬ」

家康は少し笑う。

「やはり」

謙信は続ける。

「だが」

「邪魔もしない」

家康の心の声。

(なるほど)

謙信は言った。

「信長は」

「戦を終わらせる」

「だが」

「国を守る者が必要だ」

家康は聞いている。

謙信は続けた。

「東は」

「我らで守る」

家康は静かに言う。

「役割分担」

謙信は頷いた。

「そうだ」

二人は静かに笑う。

この二人はよく似ていた。

無理に天下を取りに行かない。

だが

国を守る力はある。

家康の心の声。

(信長は)

(炎)

(この人は)

(柱)

家康は思う。

(なら)

(私は何だ)

謙信が言う。

「家康」

家康が顔を上げる。

謙信は言った。

「おぬしは」

「何をする」

家康は少し考えた。

そして答えた。

「待ちます」

謙信は笑った。

「らしい」

家康は続ける。

「戦が終わるなら」

「それを見届ける」

家康の心の声。

(急がない)

(百年先を取る)

謙信は頷いた。

「賢い」

謙信は立ち上がる。

「信長は」

「時代を動かす」

そして言う。

「だが」

「その時代を続ける者が必要だ」

謙信の目は静かだった。

「それがおぬしかもしれぬ」

家康は黙って聞いていた。

雨が止み始める。

二人は庭に出た。

空が少し明るい。

謙信が言う。

「もう一人いる」

家康が見る。

謙信は言った。

「時代を動かした者」

家康はすぐに分かった。

里見桜

家康は小さく笑う。

「確かに」

謙信は空を見る。

「不思議な姫だ」

家康の心の声。

(あの人が)

(火をつけた)

信長の構想。

交易。

戦の無い町。

すべての始まり。

家康は静かに思う。

(戦国は)

(終わるかもしれない)

その雨上がりの寺で。

東国の二人は

戦国の終わりについて語っていた。

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