206話 西国戦線 ――織田軍進撃
尾張・美濃を基盤とした軍勢は次々と動員される。
先鋒を任されたのは
柴田勝家
北陸方面の制圧を担当する。
勝家は豪快に笑う。
「城など関係あるか!」
「出てくれば斬る!出てこねば囲む!」
そして南では
豊臣秀吉が動く。
兵站を整えながら城を落としていく。
「殿は止まりませんからな」
「こちらも止まれません」
秀吉は笑いながら兵糧を運ばせた。
戦はすでに計算され尽くしている。
唯一の抵抗 ― 籠城
織田軍の進撃は異常だった。
正面から戦えば敗北は明らか。
そのため、各地の勢力が選んだ手段はただ一つ。
籠城。
城門を閉ざし、
兵を引き込み、
時が過ぎるのを待つ。
しかし――
それを聞いた信長は笑う。
「好きにさせよ」
家臣が驚く。
「殿、よろしいのですか?」
信長は即答する。
「構わぬ」
「籠城する者は、外に出ぬ」
「ならば進めばよい」
織田軍は止まらなかった。
城を囲む。
しかし無理攻めはしない。
補給線を断つ。
そして次へ進む。
戦場を点ではなく、面で制圧していく。
これが信長の戦だった。
最大の敵
しかし、西国には一つだけ異質な勢力があった。
武士ではない。
大名でもない。
巨大な宗教勢力。
それが
石山本願寺
そしてその指導者
顕如
ここだけは違った。
城ではない。
信仰の砦だった。
全国の門徒が武装し、
数万とも言われる兵が集まる。
そこに集まる声。
「南無阿弥陀仏!」
「織田を止めよ!」
信長の覇道を止められる可能性があるとすれば、
ここだけ。
織田本陣
軍議の席。
家臣が言う。
「本願寺は籠城の構え」
「兵数は膨大」
「長期戦になります」
すると信長は言った。
「ならば、長く戦えばよい」
「城ではない」
「町だ」
信長は地図を指差す。
「囲め」
「兵糧を止めろ」
「海も陸もだ」
つまり――
完全封鎖。
それは戦国でも例を見ない規模の包囲戦だった。
家臣の反応
柴田勝家
「なるほど」
「攻めぬ戦ですな」
信長は笑う。
「違う」
「逃げ場を消す戦だ」
豊臣秀吉
「さすが殿」
「兵糧が尽きれば終わりですな」
明智光秀
「宗教勢力を相手にする以上」
「時間が必要でしょう」
信長は答える。
「構わぬ」
「天下を取るのに急ぐ必要はない」
「止まらなければよい」
その頃 ――東
桜のもとにも報せが届く。
織田軍、西へ進撃。
そして本願寺と対峙。
桜は静かに呟く。
(始まった)
(戦国最大の戦)
しかし桜の脳内戦略会議は別のことを考えていた。
(本願寺は……)
(長く持つ)
(そして――)
(誰かが援助する)
桜は年表を思い出す。
そして小さく言う。
(ここで動くのは)
(毛利……)
戦国最大の戦は、まだ始まったばかりだった。




