表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/243

191話 議と理の戦いの行く末

里見領の表と裏、そのどちらにも、今はまだ血の匂いはない。

だがそれは――均衡が保たれているからにすぎなかった。

桜は、城の一室で一人、静かに思考を巡らせていた。

(……保っている、だけ)

(前に進んでいるわけじゃない)

南からの物資。

価格の安定。

上杉の義を刺激せず、佐竹を観察者に留め、北条と武田の動きを鈍らせる。

設計としては、ほぼ理想形だった。

だが。

(“義を侵さず、理を通す”)

(それは――停滞と紙一重)

桜は、はっきりと感じていた。

このやり方は、長くはもたない。

理由は単純だった。

義は、満たされると次を求める。

理は、均衡すると必ず誰かに「不利」を生む。

そして今、

その「誰か」が、まだ声を上げていないだけなのだ。

(上杉は、義が満たされている“気がしている”だけ)

(北条と武田は、理屈の中で息を詰めている)

(佐竹は……面白がって見ている)

どこか一箇所でも、

「これは不当だ」「これは奪われている」

そう感じた瞬間――

均衡は、音もなく崩れる。

桜の胸に、わずかな焦燥が生まれる。

(このままでは)

(“正しい”まま、行き詰まる)

(誰も悪くないのに、誰かが刃を抜く)

それは、設計者として最も避けたい未来だった。

桜は、静かに目を閉じる。

(次は――)

(義と理の、どちらかを犠牲にしない第三の手)

(……いや)

(“義と理を、衝突させない舞台”を作る)

それが出来なければ、

この均衡は、遅かれ早かれ破綻する。

城下から聞こえる人々の声は、今日も穏やかだった。

だがその静けさが、

嵐の前のものだと、桜だけが知っていた。

(近い未来――必ず、壁に突き当たる)

(その前に)

桜は、次の一手を探すため、

再び――脳内戦略会議の扉を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ