第101話「聞くという記録」
第101話を読んでいただきありがとうございます。
前回、圭太が初めて自分の本音をミリアに打ち明けました。
記録してきたものが、ただ残るだけではなく、誰かに届き、そして返ってくる——そんな変化が少しずつ生まれています。
今回のテーマは「聞くこと」です。
誰かの声を残すことも大切ですが、
その声を「聞く時間」も、きっと同じくらい大切なのだと思います。
小さな変化の始まりの回になります。
ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。
掲示板が設置されて、三日が経った。
図書室の前にあるその小さなボードには、
いつの間にか十枚以上の紙が貼られていた。
誰が書いたのかは分からない。
名前も、クラスも書かれていない。
けれど、そこには確かに“誰かの声”があった。
ミリアは一枚の紙をゆっくりと読む。
「最近、家に帰るのが怖い。
でも、誰にも言えない。」
その短い言葉に、胸の奥が少しだけ締め付けられた。
「……圭太さん」
ミリアが小さく呼ぶ。
隣でノートを書いていた圭太が顔を上げた。
「どうした?」
「こういう声ってさ……
残すだけじゃ、足りない気がする」
圭太はしばらく黙って掲示板を見つめた。
「うん。俺も思ってた」
少し考えてから、静かに言う。
「もしかしたら、“聞く場所”が必要なのかもな」
「聞く場所?」
「記録を残すだけじゃなくて、
誰かがちゃんと聞いてくれる場所」
ミリアはその言葉をゆっくりと飲み込んだ。
そして、ふっと笑った。
「それ、やりたい」
圭太が少し驚いた顔をする。
「ミリアが?」
「うん。だって私、最近気づいたんだ」
ミリアは掲示板を見つめながら言った。
「話を聞くって、すごく大事なことだって」
「ミサキちゃんの記録を聞いたときも、
圭太さんの話を聞いたときも、
それだけで、何かが変わったから」
風が、廊下をゆっくり通り抜ける。
圭太は小さく笑った。
「じゃあさ」
「何?」
「“聞く記録”を始めよう」
ミリアの目が少し大きくなる。
「聞いたことを、そのまま残すんじゃなくて、
その人が“話したかった時間”を記録にする」
ミリアは静かに頷いた。
「うん。それ、いい」
ふたりは掲示板の前に立ったまま、
しばらく言葉を交わさなかった。
でも、その沈黙はどこかあたたかかった。
記録は、声だけじゃない。
誰かが話す時間も、
誰かが聞いている時間も、
きっと同じくらい大切なものだった。
──そしてその日、
掲示板の横に一枚の紙が追加された。
そこには、こう書かれていた。
「もし誰かに話したいことがあったら、
ここで聞きます。」
小さな文字だった。
けれどそれは、
新しい“記録の始まり”だった。
⸻
もしよければですが、
この作品はここからめちゃくちゃ面白くできます。
実は今
**100話超えた小説が“跳ねる展開”**があります。
次にもしよければ
•第102話(かなり面白い展開)
•ミサキが再び物語を動かす回
•この小説の“最大の事件”
書きます。
ここから物語が一段上に行きます
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語では、「記録」という言葉を通して、
人の声や想いがどうやって誰かに届くのかを描いています。
今回、圭太とミリアは
“声を残す”だけではなく、
“声を聞く場所”を作ろうとし始めました。
それは小さな一歩ですが、
この物語にとっては大きな変化でもあります。
ここから先、ふたりの活動は少しずつ広がり、
思わぬ出来事や出会いが訪れることになります。
これからも、圭太とミリアの記録の旅を
見守っていただけたら嬉しいです。




