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人外少女と終末世界  作者: umt.s5
二章「ナンバーズ」
36/110

必殺ッ! 南瓜割りィィィ!

【前回のあらすじ】

目覚め

 その毛むくじゃらは一つ目の頭二つ分は大きく、細く綺麗に伸びた肢体と、すらりとした胴体が薄く透けた花柄のワンピースの上から、シルエットだけが浮かび上がって、ある種の艶やかさを醸し出していた。


 大きな獣の耳と同じく獣の尾。そしてヒトとは明らかに違う鼻の形。


 加えて一つ目の仲間であることから察するに、ヒトではないと見当がついた。


 だがーー。


 人目見れば分かる程丁寧に手入れされている全身の毛並みやウェーブのかかった長髪、高い服のセンスが女の子としての魅力を際立たせていて、ヒトではないとか、そういうちっぽけなモノは至極どうでもいいことのように感ぜられたのだ。


 ーーその上、一つ目をいとも容易く撃退するだなんて、惚れろと言っているようなものじゃないか。


「あの……もしよろしければ貴女様のお名前を教えて頂けないでしょうか? 後生ですからどうかっ!」


「えっ、私? もう知ってるくせに〜。いじらしいなあユキノは。リクコだよお。あっ、でもリッちゃんって呼んでもいいよ特別だよ〜」

「お前には聞いてない。去ね」

「あっ、ハイ」


 アイアンクローされながら照れたり萎れたりと忙しい一つ目は意識から葬り去って、替わりに南瓜にでもなってもらうことした。


「私のことか?」

「はいぃっ! 是非。是非とも貴女様の秀麗なお名前をーー!」


「名乗るような名前でもないんだけどな。……さんごーーいや、ミレイだ」


 ミレイ様。嗚呼、なんと甘美な響きなのだろうか。


「ミレイ様。ミレイ様……あ、あ、ありがとうございます」

「様はつけなくていいからな」

「ハイッ! ミレイ様ッ!」

「…………」


 その時、南瓜がミレイ様のアイアンクローから抜け出し、じたばたと動き回って若干はだけた着物を直すと、頬を膨らませて、あろうことかミレイ様に突っかかり出したのだ。


「私が先約だったのに。ミレイの癖に生意気だぞー。プンスカプン」

「あのな、私は寝たきりで動けないキューからどうしてもとお願いされて様子を見にきただけで……それと別にリクコは先約でもなんでもないだろ?」


「構わぬっ! ここは私の別宅。私が神だ、ルールなのだ」


 困惑されておられるミレイ様も素敵であらせられる。

 それに引き換えこの下郎の南瓜は何なのか。私たち乙女の花園に闖入するだなんて万死に値するというのに。


 許すまじ。お優しい(アイアンクロー)ミレイ様の代わりに私が成敗してやる。


「必殺ッ! 南瓜割りィィィ!」

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