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人外少女と終末世界  作者: umt.s5
一章「贋造の街」
29/110

多分さっきの数倍は強いんじゃないの?

【前回のあらすじ】

独白

 私の使命を邪魔する者は許さない――。


「私を……」

「んあ?」

「私を……愚弄するなあああああっ!!」


 戦意喪失していたはずのユキノから放たれた強烈な殺気にオリジンが呼応し、尋常でない熱気を纏う。


 角は赤みを帯び太く隆起していき、周囲には蒸気が揺らめいている。


 それは次第に広がり、モール内に立ち込めるようになるとリクコは掴んでいたオリジンの舌を離し、距離を置くため十メートル程後方に跳んだ。


「……ふぅー、あっぶないなあもう」


 同様にしてキューもそう判断したようで、よろけながらも尻尾を用いてなんとかお互いの顔が判別できる位置にまで辿り着いた。


「まだ奥の手を隠し持っていたなんてっ! ……もしかしてリクコはこのことを?」


 リクコは首肯する。


「じゃあ対策も分かるんですね?」

「いやあ、それがねえ。マニュアル時のみの特典で暴走モードを作ったのはいいんだけどさー、簡単に倒されたらイヤじゃん? だからリミッター全部外して対象を殺すまでは止まらないようにしたの。多分さっきの数倍は強いんじゃないの?」


「ちょっと何言ってるか分からないです。……あの、じゃあ聞きたいんですけど今その対象ってボクたち……ですよね?」


「テヒペロ」


 キューが怪訝というよりは侮蔑に近い顔をした時、周囲に漂う蒸気に揺らめきが生じた。


 その中に影が現れ次第に大きくなると、暴走モードのオリジンがゆっくりとした動作で以って出て来、二人に対峙してこう言った。


 何度も何度も……。


「コロス……コロスコロスコロスコロス……」


 キューはそれに悍しいものを汲み取り、リクコは母性を感じていた。


 ――前に会った時は喃語しか喋れなかったのに、いつの間にかそんな流暢な言葉を喋るようになってしまって――作成者として誇らしいわ、という類の母性である。


 感激のあまり両手で口を押さえ目を潤ませるリクコを横目で見て何となく察したキューは、多少強引でも構わないので尻尾をリクコの胴に何重にも巻き付け、オリジンとは逆方向に走り出した。


 キューは全力で走った。


 モールの細長い通路をひた走りに走る。

 尻尾にリクコを巻きつけているので、尻尾で床を叩いて加速という技ができない分速度は落ちるが、逃げなければ本当に殺されてしまうのがオチであるので構わず走った。


 咆哮と共に背後から聞こえてくるのは轟という破砕音である。


 振り乱した頭部が内壁や看板などに当たり、無差別に破壊しながら追いかけてきているのだ。

 リクコはというと、


「キューちゃん見て見てっ。あの子追いかけて来てる、ほら。あんよが上手ーあんよが上手ーあんよが……」


 と言って手を叩いている。


「リクコっ! 巫山戯てないで戦うなり逃げるなりして下さい」


 唐突にリクコの手が止まる。そして先程とは打って変わって酷く落ち着いた声色で言う。


「いいのー? アレ殺すとユキノも死ぬよ?」

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