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Angeloser -エンジェルーザー-天使に押し付けられた能力で無双をできる訳でもなく…  作者: √宮ハルヒ
急章 そろそろ本格的な敵が出てくる的な?

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二十八話

あっけらかんと眼を点にしている吸血鬼を置き去りにして天使は超全力で走ろうとした。おいおおい。ちょっと。違うだろ。


「させるかよ」


 俺は勢いよく、天使の手をつかみ取った。するりと抜けていく。

 くっそ。逃げ足だけはいい。

 そうだ。天使に貰った。犯罪者ほいほいがあったのだっけ。

 その棒状の道具を使って天使を拘束する。


「な、何をするんですか。てか、それ違う。私を捕まえるものじゃないから」

「でも、お前逃げるだろ」

「そうですよ。戦略的撤退なのです」

「二回もすると戦略性もクソもあるかよっ」

「創造主様はきちんとお考えがあるのです。我々が干渉出来る範囲内じゃないんです」


「ちょっとややこしくなる黙っといて」

「話しかけないでください」


 そんなテンプレート文を無視しつつ、天使に向き直った。


「いや、だってチハヤさん考えてください。必殺技が複数あるって言うんですよ。必ず殺されるのが複数ですよ。絶対嫌じゃないですか。必ず殺されるのは一回で十分って話じゃないですか」

「全く何を言っているのか分からないが、お前が阿保なことなら重々分かった」


「はあ?何を、私、私こ、こんなに頑張っているのにそんな仕打ちだとか。し、信じられない。ホント信じられないんですけどおおお」

「信じられないのはお前だ。敵前逃亡のプロがよ」

「はいはい。神を侮辱しましたああ」


「天使だろ」

「どうでもいいんですよ。それくらいは。もういいです。貴方も必ず殺される技を受けて見ると良いですよ」

「はあ?何を狂った……」


 え?お前何を?


 天使は俺の腰を持って悠々と持ち上げた。


「随分と華奢な男ですね。まあ。ちょっとは勇敢になって貰いましょうね」

「へ?」

「おりゃあああああ」と全く天使ではない声を上げるのはもう違和感がないが、一般人を殺すことなど天使にあってはならない。


 天使は吸血鬼の方に向かって俺を盛大に投げ込んだ。ふざけんな。ふざけんな。ふざけんなあああああああ。


 ぽすっ。

 あっさりと吸血鬼にキャッチされてしまった。


「あははっは。そこの獣人よ。わざと不利になるようにするのではない。わざわざ人質を送るとは。何を考えている?これは大切な人ではないのか?」


 そうだろう。大切な人だ。それをこんな仕打ちなど、ゆるさない。

 いや、今は怒りなんて湧かなかった。こんな化け物の膝元で、自分の講釈垂れることは出来ない。


 い、イプシロン。イプシロンで良いからた、助けて。俺は目を遣ってみるけれど、イプシロンが向く方向は天使だった。天使にとろけ顔を晒すような最悪な奴だった。


 くそおおおお。ど、どうして、どうしてこうも俺の仲間は最悪な奴しか居ないのか。

 もう一層吸血鬼こっち側についてしまうのが最も生存戦略的には最高なのでは?


「あ、あのう。吸血鬼様」

「なんだ?人間」

「お、俺を…。仲間に……」


「はあ?こんなゴミ人間人質以外に使い道があると思うのか?こいつらを殺した後はお前はそうだな……奴隷として、売り払ってしまおう。そっちの方が、金になる」


 ははっ。どっち向いても地獄他になかった。でも、天使よりもましじゃないかと思思えた。だって、綺麗なねーちゃんの奴隷なら誰だってなりたいと思わないかい?


「ははっ。無駄口を叩きすぎたようだな。じゃあ。我の必殺技をとくと見よ」

「ははっ。逃げるつもりだったのに……」


 やれやれと言った主人公風をブンブン吹かせているけれど、全部お前のせいだからな。まじで、何言ってんだよ。お前は。


「では」と吸血鬼は魔法を発動しようとした。


 しようとした……。


「あれ?出ないのだが……」

「出ないとは?」

 

 俺はせばいいのにと、そんな風に質問をした。


「魔法が……」


 魔法が……出ない?

 ああ。そうか。俺が、俺が近くにいるからだ。俺の特性上味方の魔法を打ち消してしまう。俺はこいつを仲間だと思って、天使を敵としたから……。


 ははっ。この能力も役に立つことがあるのかよ。

 俺は不敵な笑みを浮かべた。

 同時に天使も不敵な笑みを浮かべた。


 あいつにも状況が伝わったらしい。


「覚悟おおおおおおお」と天使はこちらに突っ込んできた。

「ああ。我、我……創造主様……」と言った。


 ううん?創造主様とは。イプシロンが……とか思ったものだが、そんなものは今の問題ではない。


 俺は咄嗟に手を頭にして守る。巻き込まれたら溜まったものじゃないからね。

 ドスン。そんな音がここら一帯に鳴り響いた。そして倒れた。


「よっし。吸血鬼打ち取ったりいいいいい」と彼女は叫んだ。


 そう。そこに倒れていた人物は吸血鬼だった。

 吸血鬼が泡吹いて倒れている。

 実にあっさり倒された。




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