070:川越ダンジョン攻略へ
翌日の朝、パーティーメンバーは神条ダンジョンに集合した。
神条ダンジョンの祭壇から川越ダンジョンへと向かうため、アイさんも指導役として同行する。
「メグミ姉さん。これからオレたちは川越へと向かいますので、今日はここへは戻りません」
「あの話は本当だったのね……。うん、わかった。気をつけてね。ひっくん」
オレはメグミ姉さんにうなずいて見せてから、パーティーメンバーを引き連れてダンジョンへ足を踏み入れる。
ダンジョンマスターの話を藍澤代表に共有したのち、このダンジョンはオレたちパーティーの重要拠点となるため、代表とも相談したうえで神条親子にも伝えてある。
神条ダンジョン内を進むと、早速にタイニーハムスター(通称:ハムハム)の群れに遭遇する。その数六体。
いつもに比べると少し数が多い。
ここのところ、オレもあまり間引きできていなかったからな。メグミ姉さんも、間引きしきれていなかったのかもしれない。
次に顔を合わせた時に、あとで姉さんに小言を言われそうなので、祭壇に向かう前にできる限り間引きして行こう。
「ミク、アネゴ、ヒメ。祭壇に到着するまでに、このダンジョンのハムハムをできる限り討伐し間引きする」
「「「了」」」
オレは三人の前へとポジションを変え、ハムハムの近くの壁に向けて、グレネード型の散弾を発射する。
本来は建物内の撤退戦で効果が高い戦法だけど、HPが低い魔物であれば効果的な攻撃になる。
すでに【攻撃+8】を持つオレの攻撃なら、一発でも命中すれば間違いなく致命傷だ。
一斉に発射された十八発の魔弾は、ダンジョンの壁に当たったあと、ハムハムに向かって跳弾し、六体のハムハムすべてに命中する六体すべてに命中した。これで討伐完了だ。
討伐したハムハムからは【魔石+1】が三つだけ落ちた。
今の攻撃でフォーメーションを変えたので、ここからはパターンBのフォーメーションで進む。この先の突き当りまではオレが露払いだ。
その後突き当りに移動するまでに、もう一度ハムハムと遭遇する。
今度は八体。
やはり、一度の遭遇時に現れる魔物の数が若干多めだ。
ここでも跳弾技で攻撃したが、一体だけ取り逃がした。
通常攻撃を行おうとした瞬間、右の後方から魔弾が飛翔し、生き残ったハムハムは討伐された。
アネゴの素早い攻撃だ。
振り返るとアネゴはサムズアップしウインクしていたので、オレもすかさずサムズアップ。ウインクは苦手なので、オレはサムズアップだけ。
オレがウインクしないことで、頬を膨らませるアネゴ。ちょっとかわいいんだけど。
そして今度の戦闘でも【魔石+1】を三つ入手した。
この行き止まりのT字路からは、二手に分かれて進む。
右回りで進むのは、アネゴ、ヒメ、アイさん。
左回りで進むのは、オレとミク。
別ルートに行くアネゴとヒメは少し不満げだったが、戦力バランス的にはこの組み合わせがベストなので、ヒメまで頬を膨らますのはやめてほしい。ギャップ萌えすぎるから!
オレとミクは左回りで進む。次の突き当りまでに四体のハムハムと二度遭遇した。
T字路の左方向の通路で六体のハムハムと一度遭遇した。
T字路を右方向の通路を進み、祭壇の隠し部屋前までに、六体のハムハムと一度遭遇。
その結果、【魔石+1】六個を取得した。
ちなみに反対ルートからきた三人も、同数のハムハムと遭遇し、【魔石+1】を四つ取得していた。
「ヒカルっち、やっちゃうよ」
「やっちゃって」
ガツッ!
アネゴが魔銃のスパイク攻撃を行う。
一度の攻撃で、約三十センチほどの穴が開いた。
アネゴは空いた穴の周辺を、まんべんなくスパイクで攻撃していき、あっという間に人が通れるほどの大きさの穴になる。
「こんくらいでいいんじゃね?」
「アネゴ助かった」
アネゴが作った穴を、オレは少ししゃがんで先へと進むと、全員そのあとに続く。
すると、祭壇の中央からスタンドがせり上がってくる。
アネゴは真っ先に小走りでスタンドへと近づいていく。
「今日はあーしが操作していい?」
誰も返事をする前に、アネゴはノリノリでパネルを操作していく。
すると、目の前にはポータルが現れる。
念のためパネルの表示を確認すると、間違いなく川越ダンジョンに接続されたようだ。
「アネゴ、移動はオレが先頭だからね」
「わかーってるし!」
これは絶対、真っ先に入ろうとしたってやつだな。
今のアネゴの表情は『顔に書いてある』という表現がピッタリの顔になってる。
「アネゴ、ポータルを潜るところまでだからな」
「へっ、やばっ! 超あがるんだけど」
そんなに先行したかったのかよ……。そんなことを考えているのも束の間、アネゴは。
「おっけー、しゅっぱーつ!」
めちゃくちゃテンションが上がってる。
全く子供か! 思わず突っ込みそうになるが、そもそもオレも同年齢。まだまだ子供でした……。
真っ先にポータルを潜るアネゴに続き、オレ、ミク、ヒメ、アイさんの順番で続く。
ポータルを抜けると、目の前にはもう一つのポータルがあった。このポータルを潜れば、B10のボスの後ろへと繋がっているはずだ。
つまり、このポータルを潜った後は、すぐに戦闘開始になる。
「各自、状況確認。武器状態より。スタミナ問題なし。その他状態すべてクリア」
オレは自分の状態を、口にして報告する。そして、他の三人からも、問題がない旨を報告される。
「おそらくオークキングの背後を取ることになるので、ポータルを抜けたら、オレ、ミク、アネゴはヘッドショット狙い。ヒメは各自へのバフを優先。オークキング討伐後は、各自の判断に任せる」
「「「了」」」
すべての準備は整った。
ヒメ以外は、オークキングとの戦闘は初めてだ。
オレたちのスキルはかなりアップしているが、油断は禁物。気を引き締めて、オレを先頭にして川越ダンジョンB10へのポータルをくぐっていく。




