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あちーぶ!  作者: キル
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『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』315

 ログアウトを挟んで朝になってから、王宮へ全員で移動する。謁見できる人が5人とはいえ、控室で過ごすことはできるようなので、その間に待つことが出来るんだって!


「猫カフェェェェ」


「後で行こうね」


 猫カフェ方面を眺めながら運ばれる茜。到着した時間も閉店近かったし、割と機会を逃しがちだ!


「アカネって、猫カフェに猫の姿で行くの?」


 ふと気になったことを聞いてみる。猫同士で遊ぶのかな?


「猫カフェは、人が猫に癒される場所なので人の姿で行くよ。それに、お店としても素性のわからない猫をお店の猫と交流させるわけにはいかないから猫だと入れないはずだよ。変な病気持っていると困るし」


 そういわれてみれば、猫カフェは服装や靴下とか安全に配慮されている気がする! お店の大切な猫だから、健康や安全には気を使うのは当然だ!


「そのあたり、魔法で何とかならないんよ?」


「一応は動物魔法に感染予防があるようです。ただ、本の表記は動物から人への感染を防ぐと書かれているため、動物から動物は不明です」


 魔法に関する本を沢山読んでる蒼奈がさらりと答える。動物魔法って存在は知っているけど、誰も覚えてないんだよね! 似たような系統で植物魔法なら紫帆先輩が持ってるんだけど!


「猫カフェの人なら動物魔法を持ってそうだね~」


「動物に対する使役や意思伝達の魔法が含まれるので、持っている方が便利じゃないかな」


 使役といっても何でも操れるわけじゃなくて、その動物の持つ知能の範囲でできることを命令できるそうだ。意思伝達も、相手の知能に合わせた範囲でしか考えのやり取りができないそうで、ほとんどの場合は感情がどんな風かわかる程度が多いみたい!


「アカネさんは猫と意思疎通ができたのよね?」


「会話は無理です。感情ははっきりわかりますから、動物魔法の意思伝達に近いと思います」


 猫や動物魔法について理解を深めながら歩いていると、王宮の入り口がもう見えてきた!


 入り口の兵士さんに声をかけると、話が伝わっているのか兵士のひとりが中に入って、奥からメイドさんがひとりやってきた。


「ようこそいらっしゃいました。マーレから話を聞いています、こちらへどうぞ」


 メイドさんの案内で王宮の中へと入る。全員がぞろぞろとついていくと、前に過ごした宮殿よりも規模が大きめの建物へと案内された。


「こちら、砂兎宮殿です」


 案内してくれたメイドさんが扉を開けて、扉の横に控える。建物の中にはマーレさんと他のメイドさん、あわせて4人が入り口付近にいた!


「おはようございます。こちらへお越しください」


 砂兎宮殿に入って、マーレさんの先導で廊下を進む。廊下の広さはあんまり変わってる気がしないから、部屋数が多いのかもね!


 ある部屋の前まで案内されて、扉が開く。部屋そのものは豪華なんだけど、目を引くのは部屋の豪華さじゃなくて部屋に持ち込まれたもの。移動できそうなハンガーラックに、何着もドレスが掛かっていた!


「謁見の前に、皆様にドレスをお召しになってもらいます」


 部屋には他のメイドさんも待機していて、この部屋にメイドさんだけで総勢何名いるのかよくわからなくなってきた。


「それでは、コガネ様はこちらにお願いします」


「ミク様はこちらへ」


 謁見するメンバーごとに、担当するメイドさんがあらかじめ決まっていたみたい。


「ギンガ様、こちらへ」


 ギンガも同じように呼ばれたので、呼んでいるメイドさんの方へ向かう。


「お猫様もこちらへ」


 茜も呼び出されているみたい! 猫にドレスは着せないよね?

 ちらりと茜の方をみると、萌黄先輩と一緒に運ばれていた。さすがに猫が知らない人に名前を呼ばれてついていくのは不自然だからね。


 それからは、他を見る余裕もなく着せ替えが始まった。最初は体のサイズを細かく調べて、それから最適な服を絞る。思ってたよりギンガの身長がないから、候補はそれなりに絞られたんだって!

 ただ、その絞られた候補でもハンガーラックふたつぶん並んでいるのは、さすがに量がおかしいんじゃないかって思う。


「新品を用意できなくて申し訳ありません」


「いや、新品用意してもらう方が遠慮するんよ」


 この大量の衣装の出所について聞いてみると、この宮殿に宿泊に来た貴族に向けて用意した服が何着も蓄積して、目の前の量になったみたい。一度も袖を通してない服も、多くはないけどあるんだって!


「謁見用のドレスって、他と何か違いがあるの~?」


 近くに寄ってきた茶子が、ドレスを眺めながらメイドさんに話しかける。


「装飾が重く豪華なことが特徴でしょうか。そのため、動きがかなり制限されます。パーティードレスなどは動くことが求められるので豪華に見えても移動しやすいのですが、謁見用は歩くだけでもかなり大変です。皆様は慣れていらっしゃらないため、ある程度は動けるように調整します」


 メイドさんは、茶子に答えながらもギンガに衣装をあてがって選んでいる。メイドさんが用意してくるドレスを眺めていると、薄いピンクや赤をあてがっている。黄金音ちゃんもそうだけど、ギンガを見るとその色を薦めたくなるのかな?


 メイドさんはどれが気に入ったかと色々質問してくるので、それに答えつつ衣装を選んだら、最終的に薄いピンク色になった。ギンガも意図してピンクを選んだわけじゃないけど、着たくなるようなデザインがちょうどピンク色だったというだけ!


「調整用に着ていただきますね」


 さっきの話にあった、謁見用のドレスを歩きやすいように調節するんだって! そのために、今からドレスを着てどこを直せばいいのか確認するらしい!


 ドレスを着るといっても、ギンガが何をするわけでもない。時々腕を広げたり閉じたりするだけで着替えが終わった。

 そのあとは、軽く歩いたり手足を曲げて動きを確認した後でドレスを脱いだ。調整するべきところはもうわかったんだって!


「それでは、こちらでお化粧をさせていただきます」


 ドレスを脱いだら、鏡のある場所へ移動してメイクされることになる。この間に、衣装の調整が急ピッチで行われる!


 ここでは、黙ってされるがままに過ごす。プロがやることだから、全部任せれば良いと思う。


「目元はこう引けばいいと思うわよ」


「あぁ、なるほど。それだとはっきりした目元になりますね」


 ギンガがされるがままにメイクをされている横で、紫帆先輩がメイドさんにメイクの注文というか、指導をしているのが聞こえたのでそっちを見ると、紫帆先輩が逆にメイドさんにメイクを施していた。その様子を他のメイドさんが囲んで見ている。紫帆先輩ともなると、こだわりのあるメイク方法があるんだね!

 ギンガはそこまでこだわりもなかったし、メイドさんがプロだからお任せ気分だったけど、紫帆先輩を見ると少し自分でも勉強したほうがいいかなと思った。


 茜の方を見ると、綺麗にブラッシングされている。その姿になぜかホッとする。猫にメイクは関係ないからね!


 メイクが終わって10分ほど経過してからドレスが届いた。直すの早い!

 今度は正式に着ることになったから、ドレスだけじゃなくて下着から完全に着替えることになった!

 豪華な衣装なので着替えるのも時間がかかったけど、無事に謁見の準備が完了した! あとは向かうだけかな?


「隣の部屋で、ドレスを着た歩行方法の練習をいたしましょう。皆様は冒険者なので体のバランス感覚も良いため、すぐに覚えられるでしょう」


 歩く訓練! 謁見用のドレスは他と違うから、練習が必要なのか! 本番で転ばないように、しっかり練習するぞ!

 治癒魔法を使って動物の怪我や病気を治すことはできますが、効率的に作用することを考えれば動物魔法のほうが効果は高いです。植物も同様です。

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