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あちーぶ!  作者: キル
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『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』312

 結果的に、最初に目指したゲートはダンジョン出入口と通じているゲートだったので、改めて外周へ向かって移動したよ~。

 次に移動した先は別の妖精の国へ向かうゲートだったから、そのゲートをくぐった先の、今いる妖精の国が、あたしたちの拠点に戻るゲートがあるところ~。


「闇視って便利だよね~」


「かなり恵まれた種族だと思う」


 蒼奈と並んで先頭を進んでいく。あたしからはゲートがどこにあるのかわからないけど、蒼奈ははっきりとゲートが見えるらしいから、先導は蒼奈だけど周辺の危険察知はあたしの役目だよ~。

 妖精眼を使いつつ周辺を警戒しながら進むと、進行方向がぼんやりと光り出した~。


「ゲートが見えてきたよ~」


「うちらはまだ見えんな」


「そうですねー」


 あたしの言葉に暗視持ちの蜜柑先輩と茜が答える。妖精眼は、真っ暗闇だと暗視よりは遠くがみえるのか~。暗視も便利だけど、光が少しはないと効果が薄いから、今いるような真っ暗闇の場所では効果を発揮しないんだよね~。


 ゲートへ近寄るにつれて、暗視組、普通の視界組が順番に見えるようになってゲートに到着~。

 さっそくゲートを触って開くけど、石の形状からここは拠点じゃないはず~。


 妖精の隠れ家を使ってゲートを開き、中に入る。外から見渡す景色から……うん、フローベル付近のダンジョンだ~。


「予想通りフローベールだったよ~」


 マーキュリ王国の隣国、マアズ王国のダンジョンから妖精の国に入って、ゲートひとつぶんだけ横に移動してから外周部に向かい別の妖精の国へ移動。

 移動先から真っすぐ内側に向かった先にあるダンジョンがこの場所だから、位置的にはマーキュリ王国とマアズ王国の国境に近いフローベールのダンジョンに出るのが一番可能性が高かったんだよね~。

 あとはこのまま反時計回りに隣のゲートに向かえば、拠点のゲートに到着する予定~。


「そういえば~、アオナはこの妖精の国で調べものをしたいって言わないよね~」


「調べるといっても……何もないからね」


 ぐるりと周りを見渡す蒼奈。闇視で見る景色でも、これといって調べたい対象がこの状態の妖精の国にはないらしい。


 この場所にいても特にやることもないので、さっさと拠点のゲートまで移動をする。何も危険なこともなく無事に到着~。

 ゲートをくぐり、廃墟時代の拠点に帰ることが出来た~。


「では、別の時代に戻りましょうか」


「いや、ちょっと待ってもらっていいか? どうせならベリクに行った方がいい」


「ベリク? 街は無くなってるんじゃないかな」


「リバ石登録したほうが、[マスイサー]移動は楽になるんじゃね?」


 あの暗闇の空間に行ける[マスイサー]か~。元の世界に戻るときに、自分が行ったことのあるリバ石を指定できるシステムだったから、リバ石登録地点を増やすのはありだよね~。


 登録だけはしておこうってことになって、拠点から歩いてベリクの街があった方面へ進む。


「[マスイサー]を使える人をできるだけ増やすのも良い手段じゃないか?」


「各学年にひとりは、となると私が覚えるのがいいのかしら」


「うちが覚えてもいいけど、どっちが使えても便利だろうな」


 消費MPのことを考えると、各自が使えるようになるのが一番いいかもしれないな~。MPを譲渡する魔法に頼ってもいいんだけど、手順に時間がかかるからね~。1年生だと、蒼奈以外に魔法の適性が高いのは茜かあたしかな~? でも、マスイサーを覚える前に座標を確認する魔法を優先して覚えたいんだよね~。


 マスイサーに関するちょっとした目標を立てながら話し合ってると、あっという間にベリクの街が見えてきた。川を利用した輸送の中継地点になっていて、人が多くかなりにぎわっていた街だ~。


 残っている建物の残骸や崩れた建物から、リバ石があったおおよその位置を把握する。基本的には、街を出入りする門がある付近に、リバ石が設置されていることが多いんだよね~。

 街道に沿って作られている建物の位置や道路の状況を見れば、門がどこにあるかは推測できるから、まずは門まで移動~。。

 もちろん、あたしも空を飛んで位置を把握したから、進んでいる方向は間違いないよ~。こういうときに、飛べるのは便利だと実感するね~。


 門まで続く大通りまで誘導して、そこからは高度をみんなと同じ位置に戻してゆっくり進む。


「街は荒廃して壊れてるけど、王都のような魔法で壊れた感じじゃないんだね」


 萌黄先輩に抱えられながら、茜がキョロキョロと周りを見渡す。王都の壊れ方とは違うよね~。瓦礫が家のすぐ近くに落ちているから、壊されたというより崩れ落ちたって感じに見える。


「この街でも調べものはしないの~?」


「歴史的に龍に関して重要な街ではないからね」


「ベリクで龍って、ア――むにゃにゃ」


 茜の口元を紫帆先輩が塞いで、そのまま頭を撫でまわす。


「萌黄先輩、私が茜さんを抱いても良いですか?」


「うん、いいよ」


 萌黄先輩の腕から茜が手渡される。茜を受け取った紫帆先輩は、ずいぶん熱心に茜を撫でまわしているね~。


「紫帆ちゃんも猫は好きなの?」


「ええ、見るだけなら動物は好きな方ですわ。ゲームでも触れ合うことは少ないですが」


「それなら、紫帆先輩も『もふれ! もふもふの里♪』をやりませんか? 動物いっぱいで楽しいですよ」


 紫帆先輩の、猫顔撫でまくり攻撃をかいくぐって茜がゲームを布教する。1年には全員布教してたな~。


「ゲームとはいえ、飼う責任がありますから。ログインしなくなったらかわいそうでしょ? 責任のないところで触れ合うか、少し離れたところで見てるのが良いのです」


 なるほどね~。ゲームだとしても、ペットはペットだからね~。あたしはそのあたり割り切って遊ぶけど、そうじゃない考えもあるよね~。


「それで、茜は何か言ってなかったか?」


 ペットゲームの話が一段落したところで、蜜柑先輩が茜に話しかける。その茜が、紫帆先輩に顔はほっぺたをムニムニもまれておかしな表情になっている。


「特にないわよね?」


「にゃにゃにゃ」


 茜の肯定とも否定ともとれる返事を聞いて、「まぁいいか」と蜜柑先輩が離れる。そんなに重要な話じゃないんだろうね~。


 しばらく進むと、立派な塀と開きっぱなしの門が見えた。門の周囲は小さいけれど広場になっているっぽいね~。


「リバ石は何処だろう?」


「そこじゃなかったかしら?」


「こっちだよ」


 紫帆先輩の腕から茜が飛び出して、門の外側へと向かう。別の時代にリバ石の登録をしたことがあるから、位置が分かっているらしい。

 茜が走っていった先にリバ石が見つかった。茜が触っていたので、その後に追いついたあたしもすぐに触って登録更新~。


「中央と違ってリバ石は残ってるんだな」


「あれだけ砕けた王都も残ってるからね」


 興味深そうにリバ石を見つめる蜜柑先輩と、それに答えつつさっさと触って情報を更新する黄里先輩。


「前に来たときに触りませんでしたね」


 蒼奈がリバ石を触るときにそうつぶやいた。そういえば、蒼奈は過去にもこの時代のベリクに来たことがあるんだっけ~。


「雨宿りしたよね、懐かしい」


 萌黄先輩もそう答えてリバ石を触る。紫帆先輩もリバ石を更新して全員がここに飛べるようになった~。


「それでは、拠点に戻りましょうか」


「一度ログアウトしないか? 戻る途中で夜になるぞ」


 そういわれてみれば、既に夕方っぽいな~。今日はマーレさんとも会ったし、色々あったかも~。


「時間的には今日はこのまま落ちて、明日学校で再スタートくらいかな? あと1日くらいはできそうだけどね。一応、未黒たちには私が連絡とるから、何かあったら連絡するよ」


 萌黄先輩の言う通り、もう現実のほうで寝る時間かもね~。学校もあるし、そろそろ完全に落ちてもいいかも~。


「じゃあ、今日はここまでだね~」


「はーい。じゃあ、落ちるねー、おやすみー」


「おやすみ、また明日」


 茜と蒼奈が仲良く同時にログアウトした。あたしも落ちよう~。


「ミカンはギリギリまで入ってるんでしょ?」


「この街でできるスキル上げにとどめるけどな」


 ログアウトする間際に、そんな話が聞こえた。蜜柑先輩は相変わらずだな~。

 ゲーム内のペットはプレイヤーがログインするまで待ってます。ましてや、茜たちの環境ではペットにもAIで独立した感情が組み込まれているため、紫帆のように遊べない人は少なくはないと思います。

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