『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』311
ミカン:時間が経過しすぎてるせいか、探すのは難しいな。
30分ほど王都の上空から痕跡を探して回ったけど、はっきりと魔物の影響で壊されたものだといえる痕跡は見つからなかったよ~。
メテオストライクではないもので崩された建物や、焼け跡の残る壁などは見つかっても、それが魔物とは断言できなかったんだよね~。
アオナ:推定100年前ですからね。痕跡も自然に消えてしまったのでしょう。
ミカン:今回は仮説だけにとどめておいて、またどこかで情報があれば精査するで良さそうだ。
痕跡探しも終わりそうな雰囲気だから、萌黄先輩と一緒にみんなと合流することにした。
「ただいま~。なにもなかったよ~」
「おかえりー。こっちもわからなかったよ」
崩れた家の壁の上に乗っていた茜が返事をする。茜の感覚でも痕跡は見つからなかったのか~。
茜と一緒に瓦礫の上に立って、他のメンバーが集まるのを待つ。しばらくすると地上組4人がやってきて情報共有をするけど、結局は見つからなかったんだよね~。
「爪跡のような、巨体がのしかかったような、それらしく見える痕跡はあったんだけどね。探索や鑑定の判定にも引っかからないから、それが魔物の攻撃の跡なのか自然にできたものなのか区別できなかった」
「空からも同じだよ~」
「痕跡が古いってのと、多分スキルがかみ合ってないんだろうな。100年以上前の調査なら、【考古学】スキルが該当するんじゃないか?」
考古学って言うと、すごく古いものを調査するイメージだけど、100年くらい前の調査も考古学に入るんだって~。結構古いものを調べる機会も多いから、覚えるのもありかもね~。
「アオナちゃんの知識魔法はどうだったの?」
「まだレベルが低いため、成功しませんでした。遡る年代が古いほど難しくなってます」
「地下の壁の方が、かなり古いんじゃないの~?」
「あれは、今も機能している魔法の調査だから。今回は長期間野外に放置された痕跡に魔法をかけたから、覚えたばかりの魔法では成功しなかった」
魔法が発動しても判定に失敗って感じか~。レベルが低いとそういうのってあるよね~。
「可能性としてはアオナちゃんの推測が正解に近そうだから、それに関する資料が出てくるといいよね」
地上にいきなり現れた魔物と戦うほど印象的な出来事なら、誰かが記録に残してるかもしれないからね~。
「そうですね。王都にも資料が残っているといいのですけど」
黄里先輩にうなずく蒼奈。確か、蒼奈がこの廃墟になったマーキュラスから回収した資料があったはずだけど、蒼奈の反応を見る限り今回のようなことは書かれてなかったんだろうね~。
「それでは、マアズに行って拠点へ戻りましょうか」
紫帆先輩が軽く手を叩いて、話を切り替える。色々寄り道をしたけど、戦争時代に戻るつもりだからね~。さっそく帰還石を使って、マアズの王都マールスに移動するぞ~。
帰還石で戻ったマアズの王都を眺める。こっちも、メテオストライクと思われる痕跡が幾つも目に入るんだよね~。なんとなくさっきまでの癖で魔物の痕跡を探すように目をこらしたけれど、それらしいものは見当たらなかったよ~。
ここでは時間をとって探すことなく、王都付近のダンジョンへ移動した。王都にこれだけ近いダンジョンって便利だよね~。
あたしたちがマールスのお城とかを調べている間に、蜜柑先輩と蒼奈が、洞窟にめり込んだダンジョンの入り口の裏側を、土魔法で出入りできるように空間を作ってくれた。これで妖精だけじゃなくて普通のサイズの人も中に入れそう~。
ダンジョン裏に手を当てる。これまで妖精の出入口として使われてこなかったダンジョンを使えるようにするのだから、かなり魔力が必要になるんだよね~。
じわじわと消費し続ける魔力を意識しながら、入り口の魔力が満たされた感じになったって感覚で理解できた~。
「【妖精の隠れ家】」
妖精魔法でもなんでもない、あたしの特殊能力をダンジョン入り口の板に向けて使用する。じわじわ減っていた魔力が、もう少し多めに魔力をもっていった。
消費魔力はかなりの量だったけど、おかげで魔法を無事に発動することが出来た~。
「入れるよ~」
「はい。ありがとうね、チャコちゃん」
真っ先に萌黄先輩に褒められてから、他の人からもお礼を言われる。小さなことでもお礼を言われるとやる気が出るよ~。
「では、先に入ります」
いつもの流れのまま、前衛の黄里先輩がダンジョンに入る。どの状況であっても、先陣を切るのはパーティーの前衛だ。その次は探索役の蜜柑先輩が入り、後はあたし以外は入る順番がバラバラだ。あたしは、妖精の国へ入る入り口の展開を維持しているから、自動的に最後になる。
全員が通ったのを確認してから、妖精の国に入る。
相変わらず真っ暗で、何かがあったという痕跡も見当たらない。
「ひどいね、これ」
蒼奈が周りを見渡してから、思わず声がこぼれている。蒼奈は前の妖精が居た光景を知っているから、変わり果てた姿になった妖精の国を、何とも言えない表情で見ている。
「[コンティニュアルライト」の光がないですね]
「さすがに、あれから数日たってるからね。ストレージに入れない限り効果時間は過ぎちゃうよ」
萌黄先輩と茜が暗闇を眺めながら話している。[コンティニュアルライト]を使うときに持続時間の拡大を行っていれば、数日たった今でも光がついていたかもしれないけど、あの時はその場限りの目印に使っていただけだからそこまで持続するように魔法は使っていない。
「私たちの拠点って、この妖精の国の外側ですよね?」
「そうね。木龍の範囲だったはずよ」
各妖精の国は、それぞれの龍が影響を及ぼすことができる土地の範囲と対応しているっぽいんだよね~。そのあたりは、妖精の国から外に出た時に見えた光景で判断したよ~。
前に妖精の国から外に出られるゲートを幾つもくぐって、その位置情報を後から地図で場所の確認したら、この世界をドーナツ状に一周していたんだ~。
龍の魔力の流れや影響を考えると、妖精の国とそれぞれの龍はある程度関係がある気がするよ~。
「それでは、あのゲートに移動しましょう」
暗闇の中を指さす蒼奈。誰が見ても蒼奈が言う妖精国の出入口のゲートは見れないけれど、闇視を持っている蒼奈だけはこの暗闇を普通に見通すことが出来るんだよね~。
「チャコちゃんの妖精眼では見えないの?」
「距離があるからね~」
最初に中央の街へ向かう過程で見えたゲートは、近寄ったらぼんやりと見えたけど遠くからではわからなかった。蒼奈が普通に見える距離ってことは、妖精眼は距離制限が有るんだと思う~。
「どれが外側のゲートかわかる?」
「ううん。完全な等間隔なら見ただけでわかりそうだけど、そうじゃないからね。次のゲートに入れば現在地がわかる」
中央の、入り口が7つある内側に該当する妖精国へ向かうゲート。
そこから距離を取って周辺に散らばるダンジョンの裏側から出入りできるゲート。
そしてさらに外側にある、今いる妖精の国から外側に該当する妖精の国へのゲート。
拠点のゲートは、今の場所よりひとつ外側の妖精の国にあるから、外側のゲートに向かう必要があるんだよ~。
今向かっているゲートが、入り口が7つあるなら中央で~、別の妖精の国に入れたら外側のゲートになるよ~。
もし外に出たら~、出た場所の景色を確認すれば、時計回りで移動したのかそうじゃないのか判断できるから、それで目指す外側のゲートの方向がわかるんだ~。
「念のため[コンティニュアルライト]をかけた石を置いておこうか」
「お願いします」
萌黄先輩が石を拾い上げて魔法をかける。前もこの光が目印になってたので、助かるよ~。
ゲートの付近に石を置いて、手持ちの明かりも別で用意して、蒼奈が指さしたゲートへ移動開始~。
妖精の国の最果てに何があるかは決まっていません。ここでの外周は、ゲートがある位置を基準に外周としているだけで、妖精の国全体の外周ではありません。




