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あちーぶ!  作者: キル
365/422

『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』295

~~~ギンガ~~~


 2日後の昼、鎧の革細工加工を頼んだベナジさんのお店で、試着をしてベルト位置の最終確認をしてもらっている。サイズやフィット感はゲームシステムによって自動変化するけど、腕を動かしたときに鎧が引っかかる部分は、自動変化による補正はされない。

 普通の布でできた服なら気にならないんだけど、金属鎧の場合は調整するべき箇所は直したほうが良い。


「この位置はどうでしょうか?」


「腕や足の動きの邪魔になってないかも!」


 数回の試着を経て、ベストなポジションに収まった。元々がギンガに合わせて調節された鎧をミスリルに変えたのだから、試着回数はお店で購入したときよりもはるかに少ない。

 それでも、ミスリルであることを隠すために革などで覆って加工した鎧は、多少厚みや摩擦が変化しているためベルトをつけるだけで調節完了とはいかなかった。


「可愛く作ってくれてよかったね」


「うん!」


 隣でギンガの試着を手伝ってくれた黄金音ちゃんが褒めてくれた!

 ミスリル金属を覆うように、少し青みがかった白い革が全体的に覆うように作られている。これは、ミスリルの色が青みがかった銀なので、鎧に傷がついても傷跡の色と大きく違わないようにするためだって!


 あとは、薄いピンク色の革が何か所か小さい面積だけど使われている。鎧の加工をお願いするにあたってギンガの意見を沢山入れたんだけど、黄金音ちゃんの意見もそれなりに入ってた。そのため、黄金音ちゃんの好みも入ってる。このピンク色は、黄金音ちゃんが選んだ色なんだけど、黄金音ちゃんがギンガにプレゼントしてくれるものってピンク色が入ってることが多いから、いつもと同じ感じがして嬉しい!


 胸元に入れた龍のイラストは、花に囲まれてのんびり眠っている龍になっていて可愛い! その他の防具箇所にも、色々と細かな模様を入れてくれたので、かなり華やかな鎧だ! いつの間にか入ってるハート模様は、多分黄金音ちゃんが注文したんじゃないかな?


 支払いを済ませてお礼を言ってから、次の店に移動する。今度は斧と刀を受け取りに、ラオグさんのお店へと向かう。

 お店には先客が居たけれど、ラオグさんは店番を弟子に任せて、奥の部屋へと案内してくれた。前と違ってお弟子さんは外に出ていかなかったけど、店舗部分とは距離が離れている上に途中でドアを閉めたので、話は向こうに伝わらないはず!


 最初に見せてくれたのは、ギンガの斧だった。ミスリルの大部分をマアズ鉄で覆っている。何も考えずに鑑定すれば、鉄の斧って判定されるんだって!

 加えて、ミスリルになって低下した重量も鉄で補ってくれたため、軽量化による斧の攻撃力低下の問題は無事に解決! もっと重くしたければここにお願いに来たらいいみたい!


「斧よりは、こっちのが問題だった」


 オリハルコンの武器を取り扱ったことは一度もなく、知り合いどころか文献にも情報が無いため、どんな道具を使って手入れをすればいいのか見当も付かずにかなり苦労したみたい!


 最終的にはギンガの斧を整備したときに出たミスリルの粉を利用して、新たに研磨用の道具を作って整備したのだとか。


「今回はギリギリ足りたが、次からは少量のミスリルがあると助かる」


 ラオグさんもミスリルが貴重なのはわかっているけど、それ以上に貴重なオリハルコンを手入れするのはミスリルじゃないと出来ないため、どうしても必要みたい!


 仕上がった刀は、金属こそ追加されていないけど、刀身部分には黒くうっすらと色が塗られていた。


「これに合わせて鞘も作った。居合をすることも見越して、使いやすいように作っておいた」


 ギンガに刀の鞘の良し悪しなんてわからないけど、受け取った未黒先輩が刀を鞘に納めたり取り出したりしたところ「これはすごいんよ」と言ってたから、かなり良い使い心地になったんだと思う。


 支払いを済ませて斧をストレージに収納する。鑑定をごまかせるといっても、用心のため街中ではストレージに入れておいた方がいいからね! それに、斧だけならすぐ取り出せるから、慣れれば一瞬で準備できる!


 こちらでもお礼を言って店を出て、ゼルザさんの家へと戻る。


「紹介していただきありがとうございます」


 武器も鎧も、ゼルザさんの知り合いを紹介してくれたから何とか整備ができた。特殊な金属だから、普通のところに持っていっても受け付けてもらえないかもしれないし、妙な噂が立つかもしれなかった。下手したら、町中のドワーフから金属の出所を聞かれたり入手依頼が殺到したかもしれないんだって!


「それじゃあ、また冒険かしら?」


「はい。また来ます!」


 インゴットの鑑定と受け渡し、装備の整備が完了したので、ここに留まる理由はギンガの個人的な気持ち以外無くなった。ゼルザさんやカリガとお別れの挨拶をして、サエバの街を離れる。


 次の目的地は、初期時代のネプチュン王国。王族に直訴できる短剣をもらうために、何か功績をあげる必要があった。オリハルコンのインゴットを渡せばそれに該当するんじゃないかと思って、手に入れるために色々回ったんだよね!


 今は戦争時代なので、帰還石を使ってネプチュン王国の王都ネプラスに移動する。相変わらず高さの低い建物が密集しているけれど、出店はすごく活気がある。

 出店を適当に流し見て、野菜を挟んだパンとオレンジジュースを購入。お肉を挟んだパンもよかったけど、今は野菜が食べたかった気分!


 購入したご飯を手に持って、乗合馬車の駅まで移動。ここからネルイの街へと移動して、初期時代に向かう。

 ネルイまでの乗合馬車は相変わらず人気があるのか、待ち時間が発生している。

 この状況を予想していたから屋台で買い物をしたんだよね! 馬車の順番を待ちながら、さっき買ったパンとジュースをゆっくりいただく。


 この時代にプルトさんたちと会ったんだよなって考えながら周りを見渡すけど、特に会うこともなく時間が過ぎて、ギンガたちが乗り込む馬車が到着した。


 馬車に乗り込み、ガタガタと揺れながらネルイに向かう。


「ネルイで宿泊になるかもしれないんよ」


 馬車から外を見ると、夕方ではないにしても日が傾いている。ネルイに到着してから初期時代に移ることはできても、王都に戻る馬車が出ているかどうかは怪しいところだった。


「どっちの時代に泊まろうか?」


「こっちの方が店の数は多いはずなんよ」


 初期時代と戦争時代が開通してから、プレイヤーが利用する人口が劇的に増加。それに伴い街が活気にあふれて、街がかなり発展している。その発展具合も時代ごとに違っていて、比べると戦争時代の方が街の規模も大きく活気がある。

 夕方に到着することを考えると、宿の空き部屋を探すのなら戦争時代の方が店の数が多いぶんだけ望みはありそう!


 日の光も少し陰ってきたころに、馬車がネルイの街に到着した。御者さんにお礼を言ってから街の中に入ると、通りのあちらこちらで、宿屋の呼び込みをしている。


「思ってた以上に活気があるんよ」


「宿屋の質がどうなのかわかりづらいけどね」


 呼び込みしている宿屋の宿泊料は、思っているより安い値段が提示されている店が多い。これが良いことなのかどうかは、ちょっとわからない。

 呼び込みしている人の後ろの建物が宿屋だと検討をつけて、見た目が良さそうなのを選んでから呼び込みの人に声をかける。


「うちの宿はここだよ!」


 呼び込みの人と宿屋の場所が一致したので、部屋や食事の条件を確認する。


「ここにするんよ」


「ありがとうございます! こちらへどうぞ!」


 呼び込みの人に宿屋へ案内されて、入り口をくぐったところで正面にいる受け付けの人と話をする。呼び込みの人はまた外に出ていった。

 受け付けで鍵をもらい、2階にある1部屋を借りて宿泊。1部屋に2段ベッドがふたつある部屋で、テーブルと人数分の椅子はあるけどあまり大きくない。くつろぐのではなくて、宿泊だけの場所って感じだ!

 黄金音がピンクを渡しているのは似合うだろうという考えもありますが、年下の親戚の子に渡すものとしてよくあるパターンの、男の子にはこの色で女の子にはこの色という考えから来ています。似合ってると思っているので、今でもそれが変わっていないのですが。

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