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あちーぶ!  作者: キル
353/422

『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』283

~~~ギンガ~~~


 マアズに到着! マーキュリが母国なんだけど、この国にも思い入れがあるから、第2の故郷って感じがするよ!

 優先順位はサエバに向かうこと。いつも通り商業ギルドに寄って、運搬の依頼を受ける。運ぶのは相変わらずお酒ばっかり!


 船に乗ってサエバまで移動し、商業ギルドで商品のお酒を渡して依頼完了!

 このまま一直線にゼルザさんの工房へと進む。街は相変わらず寒くて、あちらこちらの煙突から煙が見える。寒い地域だから、鍛冶などに使う炉がそのまま暖房の役割としているのが効率的な感じだね!


 川沿いに続く道を進むと、他の工房と同じように川沿いに並ぶゼルザさんの工房が見えた。

 入り口の扉を開けて中に入ると、カリガがお客さんと話をしていたので、軽く手を振って奥の部屋に移動する。扉をくぐると、細工用の小さな金槌を打っている音が聞えた。邪魔をしないように、金槌の音が途切れたタイミングで「ただいま」と声をかける。


「おかえり、ギンガ。おふたりもよく来たね。ギンガ、隣の部屋で待ってるようにね」


「はい!」


 作業に集中しているゼルザさんの邪魔をしないように、音をあまり立てずに奥へ入る。ふたりには椅子に座ってもらい、ギンガはヤカンを沸かしてお茶の準備をする。

 お湯が沸く前にゼルザさんがこちらに来て、黄金音ちゃんたちがいる部屋の椅子に座ったのが見えた。

 しばらくしたらお湯が沸いたので、お茶を作って湯飲みに注いでからおぼんにのせて持っていく。お茶を出す順番は――先生であり相談相手となるゼルザさんが先で、次が部長の未黒先輩、次が黄金音ちゃんで、最後に自分。

 

 おぼんをキッチンに持って行ってから戻って席に着いたら、机の上には掘り出したインゴットが並んでいた。既にゼルザさんへ鑑定の依頼を出したみたいだ。手袋をしたゼルザさんはインゴットを持ち上げて確認した後、近くにある箱を引き寄せて道具を取り出す。

 箱に入っていた金属の板にインゴットを乗せ、その板の両側面から伸びた糸の先をゼルザさんがそれぞれ掴んで、インゴットを真剣に見つめる。


「……鑑定結果はオリハルコンって出たわ。品質の確認もしたけど、ふたつの魔力が均一に混ざり合ってると出たので、質も高いと言えるわね」


 両手を紐から離し、ゼルザさんは未黒先輩たちの方を見て鑑定結果を教えてくれた。


「オリハルコンの数そのものが少ないから、これだけのインゴットとなると偽物を疑われるかもしれないわね。鑑定結果の書類を出しておきましょうか? さすがに無料とはいかないけど」


「お願いします」


 むしろ鑑定そのものにも支払いするって言ったんだけど、それについては興味や研究のためってことで無料になった。鑑定証は魔力を込めた正式な書類で、王様に提出するときの証明書にもなるみたい。


コガネ:戦争時代の紹介状を、初期時代で使えるのかな?

ミク:わからんけど、試すのはありだと思うんよ。


 あとは、ゼルザさんがギンガたちに依頼したインゴットをそれぞれ渡す。それらについては、金属板のチェックは行わずに鑑定だけ行って受け渡しが完了した。


「ゼルザさん! これ、どうしよう?」


 インゴットの相談が終わったので、次は装備について相談をすることに。ストレージから、装備一式を取り出してテーブルの上に置く。ミスリルに変化しているけど、装備するためのベルトが全部なくなったから、装備できない状態になっていた。


「これは……うん、装備したらかなり目立つわね。ベルトの追加もそうだけど、鎧の部分を鑑定されないように何かで覆わないと。前に渡した鑑定阻害の指輪はアクセサリが対象だから、鎧全体となると難しいわね」


「そう言われたらそうなんよな。貴重な金属で鎧を作ったら、盗賊に襲ってくださいって言ってるようなものなんよ」


 あんまり考えもせずにミスリルに変えたけど、アイテムドロップする世界でこんな装備していたら、狙ってくださいって言ってるようなものだよね。もしベルトが残ってて装備できたら、普通に装備して街中を歩いてたよ!


「知り合いの職人を紹介するほうが良いわね。私の弟子って言えば必ず黙ってくれてるでしょうから」


「はい、紹介お願いします!」


 ゼルザさんに頭を下げてお願いすると、頭を撫でられて「口が堅い人だから大丈夫」と言ってくれた。


「あー、うちの刀はこれなんだけど、どうなんよ?」


 未黒先輩が刀を外して机の上に置いて、ゼルザさんが手に取る。ゼルザさんは刀を鞘から数センチだけ引き抜いて刀身をじっくり見た後、鞘から全体を引き抜く。色々な角度で刀を見た後、鞘に戻して未黒先輩の前に戻した。


「研ぎが必要ね。オリハルコンの刀は扱える職人もほぼいないでしょうし、こちらも紹介しましょう。オリハルコンに変わる過程で、状態が変化したのでしょう。ギンガの斧も、その人に依頼すればいいと思うわ。使いやすい持ち手をつけてもらいましょう」


「斧は鞘が無いけど、大丈夫かな?」


「刃先以外は鉄で表面を覆えばごまかせるかもしれないわね。希少なミスリルだけど、刃の表面にミスリルコーティングした武器を使っている人も少なくはないもの」


 刃の部分だけミスリルを使うことで、魔力の通りがよくなり切れ味を増す方法があるみたい。一般的なミスリルの武器は、表面を覆う方法がよく使われているらしくて、武器全体がミスリルで構成されている武器は少ないんだって!


「でも、オリハルコンは無理ね。もし斧をオリハルコンに変えるのなら、常にストレージから出し入れする以外に方法はないわ。戦争や護衛依頼など、武器を出しっぱなしにするような場面では使えないと思った方がいいわね。その点で言えば、刀は常に鞘へ収めておくことさえ意識すればどこでも使えるわ。そういった戦い方ってあったわよね?」


「居合術なんよな。あまり使ってこなかったから、練習が必須なんよ」


「ダンジョンなど仲間内だけの場合は良いけど、人の多いところで他人が勝手に鑑定をする機会を作らないようにするのが肝心ね。出来ることなら、その居合術を学んでおいたほうが良いわ」


 物語とかでよく見る抜刀術! 大抵は強い技って書かれることが多いよね!

 斧だとそういった派手な技が無くて、単純に重さと攻撃力で戦うスキルが多い。ギンガはそれが気に入ってるんだけどね!


「紹介状を書くから少し待ってて。案内をしてあげたいけど、依頼品の制作をしているから手が離せないからね」


「こちらこそ、突然来てしまい申し訳ありません」


「いいのよ、オリハルコンは私の依頼でもあったのだし」


 小さな引き出しを開けて、既に文字がいくつも書かれた書類を取り出す。あの書類は、ゼルザさん自身を証明する書類で、魔力を通せば本人で間違いないことを示す。魔力を込める量によって持続時間が決まるので、今回みたいな近場の工房なら数日ぶんの魔力を込めればいい。その期間を超えた場合、署名が消えるので他で使われるようなこともない。

 その証明書と一緒に、依頼内容を書き留めた紙も一緒に書いて渡してくれた。


「これで私からの紹介だから秘密は守ってもらえるわ。ギンガが弟子だと伝えるから、装備にかかる費用も安く抑えられるはずよ」


 机に街の地図を広げたゼルザさんは、それぞれの店の位置を教えてくれた。工房が多くあるから初見ではわかりにくいけれど、それぞれの店には看板があるから店名で探せば間違えることはないんだって!


 お礼を言って紹介状を手にお店を出る。店先でカリガに聞こえるような感じで「すぐ戻ります」って言って出てきた。お客さん対応しているカリガに戻るって伝えたかったからね!

 魔力という謎の力があるため、鑑定書でも証明書でも便利に使わせています。書類作成に関する魔法の設定は今のところ考えてませんが、情報魔法が存在するので、それで作られている設定にするかもしれません。

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